ただいまの掲載件数は タイトル59713件 口コミ 1154625件 劇場 587件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > ドリーム > 感想・評価 > 理不尽に立向った逞しい女達

理不尽に立向った逞しい女達

90点 2017/10/2 23:20 by みかずき

ドリーム

本作は、人種差別を主題とした硬派の作品ではなく、人種差別、アメリカ宇宙飛行開発史など、様々な要素を巧みにブレンドしたヒューマンドラマの快作である

舞台は1960年代のアメリカ。バージニア州にあるNASA研究所は、有人宇宙飛行の開発でソ連としのぎを削っていた。夢を抱いて、そこで働くことになった有能な3人の黒人女性、主人公・キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)、友人のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)とメアリー(ジャネール・モネイ)は、当初、様々な理不尽な壁に阻まれ、その才能を十分に発揮できずにいた。しかし、彼女たちは、決して諦めず、次第に、自らの力で、一つ一つ、壁を乗り越えていこうとしていた。折しも、ソ連が有人宇宙飛行に成功し、NASA研究所はアメリカの威信をかけて巻き返しを図るが、試行錯誤の連続だった。3人は夫々のやり方で、有人宇宙飛行の成功を目指して奮闘していく・・・。

本作は人種差別を取り扱っているが、重さ、悲惨さは少なく、3人の女性の活躍をコミカルに描いている。彼女たちは才能豊かであるが、それだけではなく、生きる姿勢が前向きで、何といっても行動力が素晴らしい。理不尽な扱いを受け、3人で愚痴ることもあるが、それだけでは終わらず、形振り構わず行動していく。自らのスキルを見せることで周囲の評価を高めていく。現状のスキルに固執せず、貪欲に新しいスキルを吸収していく。自らの道を自らの力で開いていく姿勢には爽快感があり胸を打つ。彼女達の行動力を支えているものは、生まれた時から経験してきた不条理な壁を打ち砕き、現状を打開しようする揺るぎない信念と覚悟だろうと推察できる。

本作では、黒板を効果的に使っている。問題を解決するため、一心不乱に黒板に難解な数式を書き殴っていく主人公が持っている白いチョークの音は、夢に向かって突き進む主人公の足音のようであり、心地良い響きである。

1960年代といえば、人種分離政策により、白人と非白人は、レストラン、トイレなど様々なものが別々だった。劇中で、キャサリンが何度も往復した非白人トイレへの800mの距離は、そのまま、彼女が感じている理不尽の大きさを示すものだろう。ラスト近くで、トイレで白人女性が呟く“偏見は持っていない”という台詞に、ドロシーが返す台詞が当時の人種差別の実態を如実に物語っていて凄味がある。差別する側とされる側の考え方の違いが端的に表現されている。

3人の行動は素晴らしかったが、旨く行きすぎ過ぎ感が皆無だったのは、背景に、アメリカの威信をかけた有人宇宙飛行問題があったからだろう。アメリカが形振り構わずソ連を追走していたからだろう。上司役のケビンコスナーがそんなアメリカの立場を代弁する役どころになっている。彼は、主人公の良き理解者的立場であり、主人公の問題提起を快諾してくれる。彼にとっては、部下の才能を最大限に引き出して、有人宇宙飛行を成功させることが至上命題であり、それを阻害するものは、どんなものでも排除していくという明確な姿勢が清々しい。ケビンコスナーの持ち味であるストイックさが奏功している。

ラスト。紆余曲折はあるが、史実通り、3人の女性を始めとした多くに人々の努力は見事に結実する。ベタではあるがストレートで感動的な幕切れである。

本作は、どんな苦難にも挫けず、夢を追かけていく3人の黒人女性の姿が深く心に刻まれると同時に、様々な問題を内在しながらも逞しく前進していくアメリカという国の強かさを実感できる作品である。

 

2人がこのレビューに共感したと評価しています。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/10/3 7:06 by 無責任な傍観者

    本作で一番リアルっぽかったのはケビン・コスナーと部下。
    ケビン・コスナーは仕事のことしか頭になくて、部下が何しようと一切興味ない。差別にも興味なくて、それが仕事の邪魔になるなら、徹底的に排除する。
    部下は自分が凡才なのを薄々気づいているから、自分の立場を守るために積極的に差別する。
    いかにもありそうなキャラで本作を引き立ててました。

    なんにせよ、本作は誰にでも安心してお勧め出来る作品ですね。

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/10/10 19:22 by Yosu

    みかずきさん
    今晩は
    Yosuです。

    無責任な傍観者さんお邪魔します。

    レスありがとうございます。

    一度、入力したのですが、
    誤って削除しちゃいました。
    すみませんでした。

    >本作は人種差別を取り扱っているが、
    >重さ、悲惨さは少なく、3人の女性の
    >活躍をコミカルに描いている。

    テーマは違っていますが
    「ムーンライト」や
    「それでも夜は明ける」は
    私には重かったように感じます。

    >上司役のケビンコスナーが
    >そんなアメリカの立場を
    >代弁する役どころになっている。

    彼は支障になるこの時代に
    通例の垣根を壊してくれました。
    NASAの目的は
    一点集中、グレンを飛ばす事。
    コスナーだけじゃなく
    プロローグの強面の警官も裁判長も・・・

    痛快感は同時代を背景にした
    「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」を
    思った私です。

    それでは、次の共感できる作品まで

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/11/20 23:18 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    (先輩方、お邪魔します。)
    私の方にも、さっそくにレス下さってありがとうございました。

    それにしても、入魂の高密度・長文レビューですね!
    本作は、みかずきさんのお好みにも見事にマッチしたようで、90点の高評価。何よりです。
    私も本作はお見事としか言いようがないのですが、好みの関係で、どうしてもファンタジーやSF、青春ものが主戦場になるため、大人向けのノンフィクションである本作は☆4つになりました。

    今年も、気がつけばあと1か月と1週間。
    結構素敵な作品に多数出会えましたが、まだ決定打には至らず。
    引き続き、良さそうな作品は時間の許す限り、劇場で観たいと思っています。
    レビューでのご紹介、またどうぞ宜しくお願いします。

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/11/22 19:24 by ゴン吉

    レスありがとうございます。
    この作品、私は大好きです。
    たくさんの要素が盛り込まれていますね。
    理不尽に立向った逞しい彼女たちの姿を、明るく演出しているのが素晴らしいと思います。

    2017年も残すところあと僅かですが、この作品は、私の今年度のNo.1の実写のお気に入り作品です。
    みかずきさんのNo,1作品はどれでしょうか?

    確か、みかずきさんも理系出身だったと思いますが、研究開発者の彼女たちの姿勢は、いかがでしたでしょうか?

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/11/24 17:47 by みかずき

    こんばんは。ゴン吉さん。
    みかずきです。

    レスありがとうございます。

    今年度No.1ですか、
    本作もGoodですが、NO.1となると、
    沈黙、ララランド、美女と野獣、彼女がその名を知らない鳥たち、あたりが候補でしょうか。

    ゴン吉さんの今年度NO.1は決まりましたか?

    本作の理系女子達は、何と言っても、行動力が凄かったですね。女性に限りませんが、理系人間って、考え抜いてから行動するタイプが多いと思います。しかし、本作の理系女子達は、知力は超一流ですが、それ以上に、行動力が凄かったです。
    やはり、自己実現のためには、DOが大切であることを痛感した次第です。

    では、次なる共感作でお遭いしましょう。

    失礼しました。

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/11/27 0:11 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    いつもお勧め作品を紹介して頂いておりますので、こちらにお邪魔しました。

    今回は、残念なお知らせです。
    高評価作品の『泥棒役者』を観てきたのですが、あいにく期待外れ。舞台劇風の地味な作品でした。
    話自体は悪くはありませんが、特記すべき点もない凡作ですので、私としてはお勧めしません。
    これを観る時間とお金があるのなら、他を観られることをお勧めします。

    以上、ご報告でした。

  • Re: 理不尽に立向った逞しい女達

    2017/11/27 23:17 by みかずき

    こんばんは。ぱおうさん。
    みかずきです。

    情報提供ありがとうございます。

    凄い高評価作でしたが、予告編を観た感じでは
    普通の作品だと思っていました。

    高評価だからといって、
    自分の相性に合っているかどうかは分からないということでしょう。

    作品選びって難しいですが、大当たりした時の興奮が忘れられないですね。

    私は、今週末は、探偵は・・・を鑑賞予定です。
    大泉洋は好きな俳優ですが、あまり過度な期待はせずに、気楽に見たいですね。

    では、また共感作でお遭いしましょう。

    失礼しました。

満足度データ

ドリーム
100点
26人(17%) 
90点
61人(40%) 
80点
39人(26%) 
70点
19人(12%) 
60点
4人(2%) 
50点
0人(0%) 
40点
1人(0%) 
30点
0人(0%) 
20点
0人(0%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
150人
レビュー者数
66
満足度平均
85
レビュー者満足度平均
86
ファン
28人
観たい人
75人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
レビューを初心者モードで投稿する



掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2018 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


 

この映画のファン

  • ざくろ617
  • ツィトローネ
  • yumixyumi
  • クリス・トフォルー
  • cinerama
  • ラッキーココア
  • 佳辰
  • 謎の管理人
  • ☆HIRO☆
  • 鶯谷畳一畳
  • Yosu
  • mikikar
  • みかずき
  • うららん
  • リュウ、

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連DVD

ドリーム 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

  • 定価:4309円(税込)
  • 価格:3145円(税込)
  • OFF:1164円(27%)

 

映画ファンが注目ポイントはどこ? 『プーと大人になった僕』特集
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる秋号が10/1発売!
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』まとめ
『インクレディブル・ファミリー』特集
音を立てたら即死!? 全米大ヒットホラー『クワイエット・プレイス』をはじめ、あの“くまのプーさん”を実写化した『プーと大人になった僕』、豪華キャスト集結の『食べる女』など新作続々更新中! 映画論評・批評の新コーナー“critic”

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』まとめ
未来の映画監督たちよ、ここに集え!