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闇の告白

90点 2017/9/10 13:13 by STAYGOLD

三度目の殺人

骨太な物語だ。

裁判劇としては、よく調べて監修しているが、物語を紡ぐうえで多々甘い部分がある。だが、正直それはどうでもいい。この作品は裁判劇ではない。裁判劇を観たい方は避けた方がいい。裁判はあくまで器で、伝えたいものは別に存在する。ふらついているホンだからこそ出る、予想できない味。題名の意味を飲み込んだとき、始めてこの作品の意味と価値に辿り着く。

役者は、かなりいい演技をしている。

福山雅治は、御都合主義の器に隠していた正義を貫く弁護士の姿を。役所広司は、本音の見えない容疑者を狂気すら感じる安定の演技力で見事に演じきっている。

しかし、本作の白眉はあざとい役を与えられた、限りなくすっぴんに近い姿の広瀬すずだろう。ファーストカット。メイクで鎧わない彼女の姿は年齢なりの少女の姿。健康的な魅力を見事に隠し、訳ありの少女を演じている。やはり彼女は役者だ。役によって姿を変える。今回は正直、難しい役だったろう。特に端緒になる事案を告白する場面は事務所的には彼女に喋らせたく無い台詞だったはずだ。だが、踏み込んだ。そして演じ切った。やはり、天は彼女に二物を与えてしまった。銀幕の中から、私たちを見つめる彼女のまっすぐで黒い瞳に、何度息苦しさを感じたことか。

福山の同期生弁護士役の吉田鋼太郎とイソ弁役の満島真之介も、しっかりと味のあるバイキャラを演じている。

広瀬すずの母親役の斉藤由貴は、この映画の宣伝のように不倫報道がなされているが、彼女はそんなに甘くない。尾崎にしろ、川崎麻世にしろ、才能のある同志を籠絡する魔性を持っている。天然に見えて弁も立つ。頭がいいのだ。だから、演技などしていない。地だ。素のままだ。自由な女性だ。何にも縛られない。宗教にも戒律にも。広瀬すずには、この悪女から、できる限り全ての感性を盗んで欲しいものである。

そして是枝カントク。ドアップ多用のやりすぎくらいの画創りは、効いてもいるがくどくもあって双刃な印象だった。でかい画でのオーバーラップの多用は、度が過ぎれば胸やけを起こす。だが、「誰も知らない」と同じように痛みと哀しみと苦しさを感じさせる手法は健在。唐突に落とす着地点も相変わらずで、逆に安心した。変わらないのも信頼になる。

とにかく、かなり太い映画だ。
単なるファン向け映画では無い。お客さまに考えさせる、という大切な背骨がある。観賞後、すぐにでも誰かに語りたくなるほどの想いを持ち帰れるだろう。覚悟して映画館に出向いて欲しい。

※2017/09/09 TOHOシネマズ新宿 SCREEN5にて。

 

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  • Re: 闇の告白

    2017/9/11 21:45 by 無責任な傍観者

    ああ、やっぱりどアップは鼻につくよね。
    斉藤由貴に関しては、あんな報道ないでしょ。しかも、あの暴走が物語に何の影響も与えていない。

    本作は脚本の練り込み不足の一言だと思います。

  • こんばんわ。

    2017/9/12 2:52 by STAYGOLD

    もうすぐ、おはようございます、か。

    クチコミ拝見しました。かなりお怒りの様ですね。

    たしかに、このホンは私も推敲が足りないと感じます。まあ、カントク本人が流れのままに落ち着いたホンで撮った的な事を言ってるので、実際完成度は低いのでしょう。

    クチコミにも書きましたが、私は裁判シーンは全く評価していません。ぜんぜん裁判劇じゃない。今作は、あくまで「人間と言う業の深い生物」に関して描いたものだと考えています。裁判モノならマイナス評価かな。これじゃお金にならない。もっと詳しい作家や脚本家に書き直してもらった方が良い。

    そういう意味で役者がホンを元に勝手に動いてると感じてます。これは小説やシナリオ、漫画等でよくあるキャラが勝手に動き出すという奴です。私は、その点で役者陣を評価しました。

    斉藤由貴に関しては、損な役回りになりましたね。スケープゴートかな。ただ現実世界とのリンクは、尾崎時代からの彼女の魔性を知る人間としては、面白かったです。彼女は平気でうそを吐ける役者。あの時代は、そういう女優が数多くいました。

    私の評価は、このホンでの役者陣の頑張りの対価と考えて頂ければ幸いです。これもカントクが同じ様な事を言ってましたが、役者が考えたのであろう演技自体は良かったと感じました。それをドアップのオンパレードで撮るのは頂けないけど。

  • 2回目鑑賞。

    2017/9/13 10:42 by STAYGOLD

    そうか。全ては十字架が示しているのだ。
    一番後ろの席から銀幕とお客さまの姿を見つめて、ようやくたどり着いた。

    全編に渡って散りばめられる光と影が描き出す宗教色。登場人物それぞれの罪を背負って、男は十字架へと歩んでいく。ゆるやかな死と言う名の再生に向かって。

    やはり裁判劇では無かった。宗教映画なのだ、本作は。台詞の、演出の、画の端々から、それが垣間見える。風のささやき。鳥のさえずり。木々のざわめき。平気でうそを吐く登場人物。彼らを照らす光。そして暗闇の中から私たちを窺う瞳。

    ピーナッツバターを塗りたくったパンを貪り食う彼の姿。宗教的なパンの意味を考えると、なんとも意味深なシーンだ。

    斉藤由貴も、やはりうそを吐いていた。現実でも劇中でも。彼女の肉体に刻まれて消える事の無い「色欲」と言う名の大罪。しかし彼女の属する教会は、罪を背負った今だからこそこの場所があるのだと、彼女の全てを包み込む。

    責めるのではなく許す。そう、許しなのだ。人間が背負う業の全てを。なぜ公開時に映画関係者が海外にいたかも、これですっと腑に落ちた。

    しかし…これだけのテーマを背負いながら描ききれなかったホンが哀しい。クライマックスのシーンが勝負だった。だが、お客さまには届いていない−

    批判は簡単だ。だが挑戦は評価すべきだろう。今の居場所に甘んじていないのだから。

    映画は眼に見える部分だけでは拾えない。
    今後、どの様な方向性に舵を取るかわからないが、この作品はカントクの分岐点となる可能性を秘めている。再生するか否か。まずは次回作を待ちたいと思う。

満足度データ

三度目の殺人
100点
3人(2%) 
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26人(24%) 
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採点者数
106人
レビュー者数
49
満足度平均
72
レビュー者満足度平均
72
ファン
8人
観たい人
74人

 

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