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変幻自在な愛の形

90点 2018/3/11 14:29 by みかずき

シェイプ・オブ・ウォーター

極めて個性的で、現実的な私の価値観を根底から揺さぶる衝撃作だった。本作は、人間の女性と異種生物とのラブファンタジーではあるが、全編、他の作品では味わうことのできない、独特の雰囲気、世界観が漂っていて、不思議な世界に迷い込んでしまった感覚に襲われる。更に、1962年アメリカという時代背景をしっかり踏まえたストーリ展開になっていて、サスペンス、ミュージカルの要素も巧みに織り込んだ深みのある作品に仕上がっている。

本作の舞台は東西冷戦真只中の1962年アメリカ。主人公イライザは、聴力はあるものの、喋ることが出来ず、ある研究所で清掃員として働いていた。ある日、不思議な生物が研究所に持ち込まれ、イライザはその生物に興味を抱き、手話を使って交流を試みる。そして、徐々に意思疎通が図れるようになり、いつしか、彼女はその生物に惹かれていくが・・・。

本作がキワモノ作品になっていないのは、この物語に注がれるギレルモ・デル・トロ監督の暖かな眼差しと、主役のイライザを演じるサリー・ホーキンスを始めとする出演者たちの演技力の賜物である。サリー・ホーキンスは喋れない主人公の心情変化を仕草、顔、目の表情で見事に表現している。特に、人間ではない生物に惹かれていくときの艶やかさ、妖艶さに魅せられる。人間同士の恋愛をしている時の“恋する女”そのものである。恋愛対象が人間ではないという違和感、異質感は、彼女の演技で完全に払拭される。

職場の黒人の同僚であり、イライザの良き助言者であるゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーは、際どい、キツイ台詞が多いが、サバサバしたカラッとした自然体の演技が奏功して、毒々しさ、説経臭くさが無い。画家である隣人のジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスは、穏やかな佇まい、優しい眼差しで、イライザの想い、行動を受け入れていく。研究所のホフステトラー博士役のマイケル・スタールバーグは、東西冷戦という時代を背負った役どころであるが、真理を極めたいという科学者として葛藤を静かで落ち着いた演技で表現している。軍人ストリックランド役のマイケル・シャノンは典型的なヒール役であるが、人物像がしっかり描かれているので、人間臭さが出ていて、現実感のある悪党振りが際立っている。やはり、ヒール役がしっかりしていると、作品全体が引き締まって緊迫感がある。

大袈裟でない、力みのないラストが良い。監督の想いが集約されているので、心地良い余韻に浸ることができる。題名“水の形”が作品メッセージになっている。水の形は器によって変化する。愛の形も同様であるが、外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。

 

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  • Re: 変幻自在な愛の形

    2018/3/12 12:50 by 悶mon

    みかずきさん、こんにちは。
    悶monです。
    私のレビューへのレス、ありがとうございます。

    鑑賞するかどうか迷われていたとのことですが、結果として、作品に満足していただいたようで、本当に良かったと思います。

    レビューも拝見させていただきましたが、いつもながらの、的確な分析で、大変に参考になりました。

    >大袈裟でない、力みのないラストが良い。監督の想いが集約されているので、心地良い余韻に浸ることができる。題名“水の形”が作品メッセージになっている。水の形は器によって変化する。愛の形も同様であるが、外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。

    全く同感です。最初に抱いていたキワモノというイメージとは、全く逆の心地よさを感じる作品となっていたのは、「愛の形は変幻自在」というメッセージが観客である私たちに十分に伝わってくるからでしょうね。

    これからも素晴らしい作品に出会っていきたいですね。

    それではまた、共感作で再会しましょう。

  • Re: 変幻自在な愛の形

    2018/3/14 22:56 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    悶monさん、お邪魔します。

    私の方にもレスありがとうございました。

    > 1962年アメリカという時代背景をしっかり踏まえたストーリ展開になっていて、サスペンス、ミュージカルの要素も巧みに織り込んだ深みのある作品に仕上がっている。

    おっしゃる通り、流れは自然ながら、複雑な要素が織り込まれて、深い味わいの作品でした。

    > 恋愛対象が人間ではないという違和感、異質感は、彼女の演技で完全に払拭される。

    これは、本当に不思議でした。荒唐無稽と言われかねない構図を、自然に感じさせる演技力は絶賛ものでした。

    > 外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。

    やはり、本作に込められたメッセージはこの辺でしょうね。
    私は、時々ある「アメリカ万歳」的な愛国ノリは苦手である一方、本作で感じられるような「リベラル」色の強いのもちょっと相性が悪いようです。
    本作の悪役が、昔のアメリカ人の理想のように見えて、これを現代の「リベラル」の視点で糾弾しているかのように感じられるのです。
    もしかして、アメリカにも「自虐史観」があるのでしょうか。
    そういう訳で、ちょっとついて行けない印象も残った次第です。
    ヒロインの純粋な愛の姿に絞れば、『美女と野獣』の別バージョンのような感動作でした。

    それでは、また共感作でお目に掛かれますことを。
    お邪魔しました。

  • Re: 変幻自在な愛の形

    2018/3/18 15:42 by みかずき

    こんにちは。悶monさん。
    みかずきです。

    遅れましたが、
    レスありがとうございます。

    本作、我々が本当に愛の形は変幻自在と考えているのかどうかを試すような作品でした。

    年を重ねると、常識的になりすぎて、
    独創的なもの、常識外のものを知らず知らずに嫌う
    傾向になります。

    やはり、意識的に、こういう作品を観て、
    自分の守備範囲を広げて、いつもでも、
    色々な作品を楽しめるようにしたいです。
    映画鑑賞に限らず、仕事も同様ですが。

    では、また共感作でお逢いしましょう。

    失礼しました。

  • Re: 変幻自在な愛の形

    2018/3/18 16:03 by みかずき

    こんにちは。ぱおうさん。
    みかずきです。

    遅れましたが、レスありがとうございます。

    ぱおうさんのお好みとは些か異なる点もあった作品のようでしたね。

    なかなか、自分の価値観に完全一致する作品には出逢えませんが、だからこそ、色々な作品を観るしかありません。探すしかありません。

    では、今度は共感作でお逢いしましょう。

    失礼しました。

  • Re: 変幻自在な愛の形

    2018/3/27 6:25 by 小波

    みかずきさま

    レスありがとうございました。久し振りに映画を観て、レビューを
    残せました。やらねばならないことが山積している時こそ猛烈に映画が観たくなり、出かけてきました。楽しかった!固まっている心がほぐされました。

    ラブストーリーでありながら、社会的なメッセージもこめられているこの作品、悪役も人間くさく、魅力的に描かれていて、好きでした。

    映画館になかなか行けないのですが、みかずきさんや皆様のレビューを読むことを楽しみにさせていただいています。

満足度データ

シェイプ・オブ・ウォーター
100点
10人(5%) 
90点
31人(17%) 
80点
66人(36%) 
70点
47人(26%) 
60点
15人(8%) 
50点
5人(2%) 
40点
4人(2%) 
30点
0人(0%) 
20点
2人(1%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
180人
レビュー者数
82
満足度平均
76
レビュー者満足度平均
80
ファン
19人
観たい人
81人

 

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