ただいまの掲載件数は タイトル57389件 口コミ 1124299件 劇場 594件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 少女ファニーと運命の旅 > 感想・評価 > 命綱は小さな足

命綱は小さな足

60点 2017/9/6 18:22 by くりふ

少女ファニーと運命の旅

ジュブナイル映画ではないが、現代の子供に見せることがまずは制作動機のようですね。その点からはよかった。後で原作者ファニーの自伝も読みましたが、日本版はジュニア向けに翻訳されており、そちらにも、子供たちに伝えたいとの意志を感じますね。そして原作と映画の差異から色々と…ナルホドでした。

現代のための視点・感覚から史実を捉え直し、子供の目線になるべく沿って構築したのかな、と感じました。これには良し悪しあるのでしょうが、本作では悪くなかったと思います。

この作風から心に残ったのは、当時はより日常的であったろう、子供に銃口を向ける行為の愚劣さ、が異様に際立つこと。そしてその先で待つ、いくら子供だろうが、助かるために最後は、自分の足で走るしかないという生々しさ。演じる現代っ子のリアクションや、たどたどしく走る姿から、よりその恐ろしさが増してきます。

年少メンバーが逃亡しながら、何の事情もわかっていない…という脆さが物語としての緊張感を高めますが、これも現代の子供の姿と重ねてしまい、複雑な気持ちになりました。

一方で子供は子供、という姿も素直に捉えており、気持ちよい風も映画に吹き込みますね。命がけの逃亡中でも、ちょっとしたきっかけで燥ぎ出し、そのまま戯れる生命力。

主人公ファニーは、ちょっと不器用な“頑固キャラ”にチューニングされていました。原作を素直に取ると、実際はいつも自然とリーダー格になってしまう達者な子供だったようです。映画ではそこに弱みを強めた調整も現代味かと。全体がふらつくような効果が出ています。ファニー役の子は微妙な演技でしたが、彼女との距離を縮めてゆく少年が巧くて、よいコントラストでした。

本作が出てきたのは、歴史からの後押しもあるようですね。フランスでは、当時のヴィシー政府への実態解明と断罪、が20世紀中に落ち着き、21世紀になってからユダヤ人を助けたフランス人に光が当てられるようになったそうです。確かに、原作自伝も1986年にイスラエルで出版されていますが、フランス語版は2011年に出ています。そこから火が着き、映画化となったようですね。

子どもたちの姿ばかりに眼を奪われてしまいますが、彼らを助けた“平均的フランス人”が居たからこそ、逃亡の旅を続けられたわけで、その点、地味ながらもしっかり見せたのが本作の価値でありましょう。

が、こうした映画を作り浸透させる意義は感じるものの、現代で近似の境遇である子供たち、への実効性からだと、実際に困っているのは、映画など見る余裕のない子供たち、なわけですけれどね…。

 

このレビューに対する評価はまだありません。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

  • Re: 命綱は小さな足

    2017/9/6 20:31 by 10年目のソフィ

    おっ!!珍しくカブったゾとww
    おっしゃる通りヴィクトール少年がいい味出してましたね。本作、ミニシアター系ゆえなかなか話題には上がりませんでしたが、上映中思いっきりハマりました。
    いま掛かっている中になかなか合いそうなものが浮かばず、しばらく映画館から足が遠のいています。
    オススメあれば是非に!
    ジュブナイルかぁ、いい響きだなぁww

  • 大人はわかりあってくれない

    2017/9/7 12:04 by くりふ

    ごぶのさたです。

    原作では、子供たちが全員で捕まった時、かつて修道院に匿われていた一部の子供たちに倣って皆でカトリックのマネをして、秘密警察に“ユダヤ人でない疑惑”を起こさせるエピソードが出てきます。ヴィクトール君はここから膨らませているな、と思いました。

    ここでは細かく書けないですが、キリスト教の二重性が描かれており恐ろしかった。が、何と言ってもひどいのは、ファニーたちが逃げねばならなくなったのは、村の司祭がそう仕向けたからなのですよね。原作でそう書かれており、映画も倣っていました。この司祭、戦後どうしたのだろうか。

    おススメですかあ?公開中の新作ですよね?
    う〜ん…最近は、劇場でみたものは全て投稿しているので、そこから参考にして頂くのがよろしいかと。

    単純によくできていて面白かったのは『新感染』ですが、ゾンビですぜ。あと質的には『エル ELLE』ですが、効能効果には個人差があります。

    おススメということではないのですが、ファニーつながりで、『さよなら、アドルフ』はみました?

    ファニーをみて思い出したのですが、真逆な立場となる少女のお話。主人公がナチス高官の娘で14歳。終戦直後、両親が家に戻らないため、900キロ離れた祖母の家へ、幼い兄弟たちを連れて旅に出る。当然、反ナチスに見つかれば何をされるかわからない。

    私は公開時にみており、印象に残った箇所は幾つもあったのですが、投稿はしていませんでした。これを機に再見しようかと思っています。

  • Re: 命綱は小さな足

    2017/9/7 12:50 by 10年目のソフィ

    こにゃにゃちは。
    早速の返信ありがとうございます。ペコリ
    ヴィクトールくん擬人化元ネタ、なるほど。ユダヤ人を描く上ではキリスト教の二面性は感じざるを得ないですよね。その世界が身近な方々には私たち日本人とは、また別の様々な思いが浮かぶのでしょうね。 ダン・ブラウンシリーズでも強く感じます。

    さてさて、ご紹介ありがとうございます。
    ゾンビ耐性はありです。ブラピのワールド・ウォーZなども、楽しく??鑑賞しました。新感染も候補ではあります。
    「さよなら、アドルフ」!!強く惹かれますねぇ。ちょっと週末に探索してみようかしら。

    それと本作、邦題いけてなくないですか?それと手紙の彼、なかなかイケメンですよね?
    と、追加のしゅちょー!です。

    ではでは

  • 小さな指揮官

    2017/9/8 11:10 by くりふ

    私の週末は、地方に行きまして、映画生活はお休みです。

    ヴィクトールくんの件補足しておきますと、原作にも登場するので実在の人物と思われます。が、映画のような属性は与えられていなかったので、膨らませたのだなあ、と思った次第です。

    邦題ですが、私は、邦題は悪くて当たり前、という感覚なので、まあこんなモンかと思いました。よくある“愛とナントカ”みたいなモンかと。

    原題は“Le voyage de Fanny”で、シンプルにファニーの旅、ですよね。これはフランス語版の原作と同じですが、原作では“L'Histoire Vraie d'une Jeune Fille au Destin Hors du Commun”というサブタイが付いていて、正確な訳はわかりませんが、Destin…運命という言葉が入っており、邦題はそこから持ってきたのではと。

    ちなみに、元々のイスラエル版原作タイトルは“小さな指揮官 ファニー・ベン=アミの私的な物語”という意味のようです。

    手紙の彼、は原作ではもっと存在感薄くて、あとよろ!を実行するために出てきたような男でした。映画では少女の視点から、あのような存在感にしたのは女性監督らしいな、と思います。いいキャラでしたが、イケメン印象はあまり残ってませんね…。私がゲイなら萌えたかも(笑)。

    『さよなら、アドルフ』は、ファニーのような結末は期待しない方がよいかと。もう少し冷めた視線から描かれていた記憶があります。こちらも女性監督の作であることが興味深いです。

    でわ。

満足度データ

少女ファニーと運命の旅
100点
0人(0%) 
90点
6人(23%) 
80点
9人(34%) 
70点
8人(30%) 
60点
2人(7%) 
50点
1人(3%) 
40点
0人(0%) 
30点
0人(0%) 
20点
0人(0%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
26人
レビュー者数
18
満足度平均
77
レビュー者満足度平均
77
満足度ランキング
86位
ファン
1人
観たい人
20人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
レビューを初心者モードで投稿する



掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2017 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


上映情報

下高井戸 

他の地域

この映画のファン

  • クリス・トフォルー

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

ぴあ×ららぽーと “エンタメ・コレクション” Vol.4『オリエント急行殺人事件』無料特別上映会ご招待!
まるでおじいちゃん版『オーシャンズ11』!?『ジーサンズ はじめての強盗』特集
スーパーヒーロー、遂に終結!DCコミック映画まとめ
ぴあ Movie Special 2018 Winter ぴあ映画特別号 冬号登場! 冬の話題作の特集や最新情報がいっぱい! ご招待も大量放出!
物語、演出、キャスト三拍子揃ったエンタメ快作! 関ジャニ・丸山隆平主演『泥棒役者』ほか『火花』『gifted/ギフテッド』など11月公開の話題作更新! 映画論評・批評の新コーナー
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

ぴあ Movie Special 2017 Autumn ぴあ映画特別号 秋号登場! 秋の話題作の特集や最新情報がいっぱい! ご招待も大量放出!
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』まとめ