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複雑な気持ち

80点 2017/6/28 0:26 by ぱおう

ハクソー・リッジ

設定は最初からほぼネタバレ状態ですので、この特殊な信念を持った主人公が、最後まで生き延びるのかどうかくらいがスリルの元でした。
「個人としての信念を貫く」というテーマには、感動するところ大です。戦争という国をあげての異常事態の中で、殺人を拒否するという信念を、どうとらえるのか。
多くの一般国民は、戦争だから人を殺すのもやむをえないと考えます。また、普通の良心的兵役拒否者は、人を殺す兵士にはなれないと考えます。ところが、主人公は、仲間の命を助ける衛生兵にならなれるという、一種の逆転の発想をし、それを極限状態の中でも実行し続けます。その姿は圧巻でした。

ただ、日本人にはつらい面もあり。日本軍がまるでエイリアンのように伝わってくるんですよねえ。
アメリカ軍が、日本軍(日本人)の本土決戦を極端に恐れて、原爆投下という狂気に走ったのは、こういう感覚で受け止めていたからなのかなとも思います。戦後七十年以上経っても、普通のアメリカ人の日本人観はこんなものなのでしょうか。
実際には、敗色濃厚でろくな武器もない中、後方に残してきた家族のために、一人でも多くの「鬼畜米英」と刺し違えようとしたのであろうご先祖様たちは、勇猛果敢な戦士などではなく、ただ追い込まれていた真面目な人たちだったのだと思うのです。
そういったことをつい考えてしまいますので、歴史を知っている日本人が観ると、副作用としての悲しさも残るのではないでしょうか。

 

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  • Re: 複雑な気持ち

    2017/6/28 23:39 by みかずき

    こんばんは。ぱおうさん。
    みかずきです。

    私のレビューへのレスありがとうございます。戦争映画って、難しいですね。特に、日本が当事国の太平洋戦争を題材にした洋画では、日本側から戦争を捉えてきた日本人としては、色々な感情が沸きあがってきますね。

    > 「個人としての信念を貫く」というテーマには、感動するところ大です。戦争という国をあげての異常事態の中で、殺人を拒否するという信念を、どうとらえるのか。

    戦争をしている国の国民としては、タブーともいえる信念でしたが、学生時代に読んだ欧米の書籍で、第二次世界大戦中、宗教の教義と戦争の現実との葛藤で、精神疾患になる欧米人が多かったという記事を思い出しました。

    > 多くの一般国民は、戦争だから人を殺すのもやむをえないと考えます。また、普通の良心的兵役拒否者は、人を殺す兵士にはなれないと考えます。ところが、主人公は、仲間の命を助ける衛生兵にならなれるという、一種の逆転の発想をし、それを極限状態の中でも実行し続けます。その姿は圧巻でした。

    そうですね。ただ殺さないという宗教の教義を守ろうとしたばかりではなく、積極的に戦争に参加して、信念を曲げずに、仲間の命を救うという発想に至ったのは凄いと思いました。信念を行動に昇華したところが常人とは違うと感じました。

    > ただ、日本人にはつらい面もあり。日本軍がまるでエイリアンのように伝わってくるんですよねえ。
    > アメリカ軍が、日本軍(日本人)の本土決戦を極端に恐れて、原爆投下という狂気に走ったのは、こういう感覚で受け止めていたからなのかなとも思います。戦後七十年以上経っても、普通のアメリカ人の日本人観はこんなものなのでしょうか。

    ここが本作の賛否の分岐点でしょう。私は、太平洋戦争を日本側から捉えた作品を多く観てきました。沖縄戦も多くみてきました。圧倒的なアメリカ軍の兵力、物量、に、精神力で戦った日本軍という構図で、悲劇的な内容のものが多かったです。敗戦国という言葉がいつも頭を過りました。

    それに対して、本作は、戦勝国であるアメリカ側から捉えた沖縄戦であり、もっとアメリカ軍の悠然とした戦いを予想していましたが、全く違っていました。アメリカ軍と日本軍の互角の激しい戦闘シーンには圧倒されました。アメリカから日本は難敵と見られていたのだなと感じました。

    実際、沖縄に行った時、ひめゆりの塔にも立ち寄ったことがありますが、資料館で、数キロの距離を何十日もかかってアメリカ軍は前進したと書かれていたのを思い出しました。それ程に、物資不足、兵力不足であっても日本軍は激しく戦ったと思うと熱いものが込み上げてきたのを思い出しました。

    また、日本軍は、不気味な、得体の知れないものという描写が随所に見られます。ここは、アメリカの日本という国への理解不足、認識不足が原因だと感じました。未だに、アメリカにとって、日本は、東洋の摩訶不思議な国なんだなと思いました。アメリカにとって、日本は、価値観、文化の異なる別世界なのでしょう。

    > 実際には、敗色濃厚でろくな武器もない中、後方に残してきた家族のために、一人でも多くの「鬼畜米英」と刺し違えようとしたのであろうご先祖様たちは、勇猛果敢な戦士などではなく、ただ追い込まれていた真面目な人たちだったのだと思うのです。
    > そういったことをつい考えてしまいますので、歴史を知っている日本人が観ると、副作用としての悲しさも残るのではないでしょうか。

    そうですね。沖縄戦作品を数多く観てきた私にとっては、異質の沖縄戦でした。最初は、そうじゃないと叫びたくなる気持ちにもなりましたが、観続けるつれ、これが、アメリカから見た沖縄戦なんだと思えるようになりました。

    敗戦国から見た戦争をメインに観てきた私にとって、戦勝国から見た戦争はとても意外なものでした。真実の多面性について考えさせられる作品でした。

    失礼しました。

  • Re: 複雑な気持ち

    2017/6/30 20:45 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    大作のレスをありがとうございます(笑)

    本作は、作品自体への評価は私も★4つと高めです。

    > ここが本作の賛否の分岐点でしょう。

    ここですよねえ、やはり。
    画面の外の現実に意識が向くと、しらけてしまう一面がありました。
    米軍にしても、日本軍にしても、一兵士の立場から見れば、戦争なんて悲劇以外の何物でもないと思っています。
    国家レベルでは圧倒的に強力な米軍の一員であっても、最前線で死に物狂いの日本兵に対峙する時には、そんな事実は何の慰めにもならないでしょう。

    『パトリオット・デイ』でも感じましたが、殺戮の悲劇を「愛の戦い」やら英雄譚に格上げされると、せっかくのリアルな描写とのちぐはぐ感が生じるように思うのです。
    諧謔的な意図を込めるのなら分かりますが、本作終盤の演出はどうも勧善懲悪的すぎました。

    本作でも、途中で日本軍の自殺者や負傷者の描写が挿入され、真実の一片は見せましたが、その伏線は回収されないままで、終盤がただのアクション映画のように薄っぺらく感じられたのが残念でした。

    特に、議論が集中している例のシーンですが、「矢折れ刀尽き、もはやこれまで」といった敗北感をもっと描いて貰いたかったところです。
    司令官はともかく、部下たちはもっと悔しがって泣き叫ぶくらいでも良かったと思います。

    > 未だに、アメリカにとって、日本は、東洋の摩訶不思議な国なんだなと思いました。アメリカにとって、日本は、価値観、文化の異なる別世界なのでしょう。

    せっかくの素晴らしい感動作なのに、こういった気持ちが副作用として湧いてきてしまうのが、まことに残念です。
    サムライ伝説がありがた迷惑とでも申しましょうか。

    それでは、今回はこの辺にしておきます。
    長々と失礼しました。

満足度データ

ハクソー・リッジ
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採点者数
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レビュー者数
43
満足度平均
80
レビュー者満足度平均
80
満足度ランキング
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