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理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ

90点 2017/6/17 22:39 by みかずき

パトリオット・デイ

本作は、2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の全貌をドキュメンタリー仕立てで描いた社会派ドラマである。脇目を振らず、只管、事件発生から事件解決までにフォーカスすることで、シンプルではあるが、作品全体が引き締まって迫力ある見応え十分な作品になっている。

主人公は、ボストン警察の警察官トミー(マーク・ウォールバーグ)。彼は、ボストンマラソンで群衆の多いゴール付近の警備を担当するが、突然、数か所で爆発が起き、華やかな祭典は、一変して多くの死傷者が横たわる地獄と化す。FBIは事件をテロと断定する。主人公達はFBIとの確執に苦悩しながらも、仲間達と協力して、執念の捜査で犯人を追い詰めていく・・・。

冒頭、事件のカウントダウンになっている時刻表示とともに、事件に遭遇する人々の細やかな日常が丁寧に描かれるので、テロ発生時の目を覆いたくなるような惨状が際立っている。市井の人々が突然の悲劇に見舞われる描写は、臨場感が半端なく、彼らの理不尽で残酷な運命に涙が溢れてくる。

本作は事件を早期解決した捜査本部の活躍を美化せず、FBIとボストン警察の確執を生々しく描いている。リアリティに徹している。事件解決よりも自分たちの立場、面子を優先するFBI特別捜査官(ケビン・ベーコン)、ボストン市民に寄り添い泥臭く捜査をしていくボストン警察。両者の違いは、警視庁と所轄の確執を描いた“踊る大捜査線シリーズ”を彷彿とさせる。

本作では、ボストンを守るという表現が頻繁に使われる。ボストンへの愛が強調されている。ボストンは、アメリカ建国の地であり、フロンティア精神の起点である。本作を観て、そのフロンティア精神が脈々と受け継がれていると感じた。アメリカの強さを感じた。

事件解決のための主人公達の命懸けの行動、事件解決後にレッドソックスの選手が叫ぶ台詞、エンディングでの実際に被害に遭った人々のその後の再生描写から、本作のメッセージは明確である。“生きる自由、権利は与えられるものではなく、強く守り抜くもの。そして、どんな理不尽な運命に遭っても、それでもなお人は強く生きていける”である。

本作は不条理な悲劇を描いているが、力強いメッセージで、我々に生きる勇気を与えてくれる作品である。

それにしても、今年に入ってから観た洋画は全く外れがない。今年は、近年にない洋画豊作の年である。7月からの下期では、洋画と邦画の拮抗を期待したい。

 

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  • Re: 理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ

    2017/6/18 8:43 by 無責任な傍観者

    凄かったですよね。
    あの悲惨な事件はニュースで見て、テロと言うよりはスポーツの大会そのものに爆弾を仕掛けられたことにショックを感じました(他なら良いって訳ではありませんが、カルチャーショックのような感覚)。

    しばらく経って、犯人が逮捕されたと知りましたが、実際はこんな経緯だったとはビックリ。
    言っちゃなんだけど、日本は、意味不明の人権尊重で凶悪犯優遇や移民受け入れでこういう状況にしてはいけませんね。
    こういう事件が起こっても、「犯人への憎悪や処罰では何の問題解決にもならない。相手に対する理解と話し合いが〜」なんて脳天気なことを真顔で主張するクズ共が多すぎて、ボストンのようには絶対にならない(笑)

    邦画に関しては全くの同感で、去年の充実さから考えると別の時代になったみたい…

  • Re: 理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ

    2017/6/18 15:04 by みかずき

    こんにちは。無責任な傍観者さん。
    みかずきです。

    レスありがとうございます。

    本作は、事件発生から事件解決までのプロセス描写に徹していました。
    事件が起きてからの迅速な初動と市民との一体が事件の早期解決に必要だということを示唆していました。

    どんなに防御を強固にしても、本作のような事件を100%防ぐことはできません。事件が起きたらどうするのかをしっかり考えるべきです。事件被害を最小限に食い止めること、迅速な初動による事件の早期解決が大切です。本作を観ると、そういうことが良く分かります。

    邦画については、仰る様に、現時点では昨年との差は歴然です。今後の奮起に期待したいです。

    失礼しました。

  • Re: 理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ

    2017/6/18 20:51 by Yosu

    こんばんんは
    みかずきさん

    レスありがとうございました。
    Yosuです。
    鑑賞は「花戦さ」と思っていましたが
    この作品、ご鑑賞されたのですね。

    こっち(日本)に流される報道は
    爆破現場と犯人逮捕のみで
    深掘りされた内容に座席で
    頷いてしまったわたしでした。

    このような作品を鑑賞すると
    みかずきさんのコメントにあるように
    >力強いメッセージで、我々に生きる勇気を
    >与えてくれる作品である。

    歴史は教えてくれますね。
    そして、映画はそれを分かり易く
    解説してくれる。

    それでは、また次の作品で・・・

  • レスありがとうございます。

    2017/6/18 21:06 by みかずき

    こんばんは。Yosuさん。
    みかずきです。

    レスありがとうございます。

    ”花戦さ”も観たかったです。
    しかし、今年の邦画は、内容は悪くはないですが、
    心に響く作品が少ないので、本作を選択しました。
    本作は単なるドキュメンタリー仕立ての作品ではなく、ドキュメンタリーに様々な要素を巧みに織り込んだ傑作でした。

    本作を含め、今年の洋画には勢いがあり、心にビンビン響く作品が多いです。作品メッセージが明確な作品が多いです。

    今後の邦画の奮起に期待したいところです。

    失礼しました。

  • Re: 理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ

    2017/6/19 0:43 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    皆様、お邪魔致します。

    結局、順当に第一志望をご覧になったようで(笑)

    その結果、90点の高評価!
    選択が的中して何よりでした。

    併せて、緻密なレビューの投稿、まことにありがとうございます。

    他の方もおっしゃっていますが、みかずきさんが大好きでいらっしゃる『ハドソン川の奇跡』にもどこか通じる、淡々とした中に緊張感の高まるドキュメンタリータッチの作品でした。

    > それにしても、今年に入ってから観た洋画は全く外れがない。今年は、近年にない洋画豊作の年である。7月からの下期では、洋画と邦画の拮抗を期待したい。

    おっしゃる通りかもしれません。
    今年も気が付けば前半戦終了間近で、洋画の圧勝状態ですね。
    ファンの方もおられるので言葉には気を付けないといけませんが、タレント俳優目当てで観る方が多い作品は、レビューの評価が甘すぎ異常値になる傾向が出てきているように感じています。
    タレントさんが出演することにまったく問題はありませんが、タレント頼みでは困りますし、邦画の製作側には矜持を持って頂きたいと思っています。
    ※ハリウッド作品のチャイナ・シンドロームにも食傷気味ではありますが(笑)

  • ぱおうさん。レスありがとうござます。

    2017/6/20 0:04 by みかずき

    こんばんは。ぱおうさん。
    みかずきです。

    レスありがとうございます。

    そうですね。仰る様に、ハドソン川に類似した作品だったですね。

    爆弾テロシーンは臨場感があり、その理不尽さに心を揺さぶられました。

    本作を含め、今年の洋画は、心に響くものが多いです。圧巻、圧倒的と表現したくなるシーンが多いです。

    邦画も悪くはないのですが、何故か、心穏やかに、客観的、冷静に観ることができる作品が多いです。
    昨年に比べ、穏やかで、大人しい作品が多いと思います。

    邦画の今後の頑張りに期待したいです。

    失礼しました。

満足度データ

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採点者数
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レビュー者数
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レビュー者満足度平均
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