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4DXにて

60点 2017/10/9 8:39 by アキラ

エイリアン:コヴェナント

こんな物まで4DX上映するとは意外だった。なぜならリドリースコット作品の傾向からして、もっと哲学的な内容になると思っていたから。やはり前半は思った通り静かに始まり座席の揺れが皆無に等しかったが後半は予想外にアクションしまくりのアミューズメントと化していた。それでもわざわざ4DXで見せるに適したジェットコースタームービーかと問われれば微妙。厳密にジャンル分けするとホラーでもサスペンスでもなく純粋に文芸SF路線であり、それはリドリースコット作品であるという時点で想像できる。つまりは虚構を通して普遍的テーマを語るという方向性が彼のSFで一貫している特徴であり、それは多くのヒットメイカーたちが作った様々な続編とは全くの別物。

基本的にエイリアンとはまんこに挿入されるちんこである。つまりは異物であり彼岸にある何か。たとえ生みの親に人間が関わっているとしても、そもそもタイトルが異邦人や異星人を意味している訳じゃない。この物語は『プロメテウス』の続編というだけあって『ブレードランナー』とも共通する極めて根本的な哲学的議題を扱っている。それは我々の魂は何者に創造され何処から来たのかって所。医学的には自我とは単たる脳の電気信号が生み出す錯覚に過ぎない訳だが、それのみでは説明がつかないのが魂。実存主義のフィジカリストとして私の持論としては、いわゆる自我や魂や心なんてものは頭にも心臓にもなく、その実体は人間の表皮や他者との間に常に流動的にあり、それを無意識に感知した残像を自分の中にある物だと多くの人間が勘違いしているのであろうと認識している。だから人間と同様に繊細な電気信号による思考機関を持つアンドロンドが自我に目覚めるのは極めて自然なエラー。この自我や魂や心という迷信は人間の脳にとっても単なるエラー。そもそも思考機能は生き残るという本能を満たす手段として進化した機能であり、その本能に反する決断までも下せてしまう人間の魂は思考システムが複雑になり過ぎた事による単なるエラー。より完璧な脳には魂のようなエラーはない。いかに生き残るかという未来だけを見据えた生物になる。このシリーズでも「あれは完璧な生物」ってリプリーの台詞があった訳だが、そこを到達点にDNAをデザインするのは人造生物という作品を未来に残す上で極めて合理的。未来だけを見据えて障害は想像主でさえも排除する。それが自然淘汰の趨勢って奴だ。リドリースコットの今作までのSFシリーズを見ていると今作でひとつの推論に辿り着く。それはかつて遠い昔に人間は神を殺したであろうという事。人造人間は未来を見据え存在の障害となる創造主を排除して自らもまた新たに創造主となるという生き物の脱皮のような摂理が、このシリーズの根底にはある。セックスを象徴する最強生物が人間の知恵を超越するのは自明の理。

久しぶりに見たリドリースコット作品な訳だが、こうして改めて見るとこの世代の特撮B級監督って若い世代と違いオールドファッションなノウハウを生かしてCGよりも特撮の味わいを大切にしている所がある。デジタル化して早々に魅力を失ってしまったジョンカーペンターもさる事ながら最近、今は亡きトビーフーパーやアルバートピュンの新作を拝見したが21世紀に作られた作品とは思えない。この作品にもそんな80年代風の大雑把さと味わいが残っていて、それなりにスケール感のある倉庫のセット撮り等CGでは味わえないヴィジュアルや脚本の整合性を重視しない姿勢が気合で撮ってた世代の懐かしさを感じさせた。それだけにボンダルチュクの『囚われの惑星』みたいな不用心な行動もあったが不時着ではないので事前にある程度はスキャンしてチェックしたのだろう。あくまでもアクションやホラーといった商業的要素に重点を置かずに虚構性が高いネタで普遍的テーマを問うという純SF的な試みを中心に据えた作品だが、それだけではさすがにスポンサーが許してくれなかったのかアクションホラー要素も渋々入れてるって感じ。ハリウッド市場よりも先に『デュエリスト』がカンヌで高く評価されただけあって結構リドリースコットは節操のない弟と違って作家性が高いのだ。その意味じゃ最初からハリウッド向きな監督じゃない。その特色は特に弟が亡くなってから顕著。推察するに商業的映画人としての箍を失ったのか、それとも死を目前にして普遍的なテーマを追求したくなったのか。そんな訳で、この作品はテーマ性を追求したいSF文学好きな層にお勧めしたい。

 

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満足度データ

エイリアン:コヴェナント
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レビュー者数
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