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忠犬ジョーは折紙羊の夢を見るか

50点 2017/11/5 23:30 by くりふ

ブレードランナー 2049

米本国では評判よいが客入りは悪い、らしい。私には胡散臭い監督なので期待薄で臨みましたが、薄い映画でした。前の『メッセージ』もそうだったがこの監督、外堀は尤もらしく固めるが、肝心なところがスコーンと抜けたドーナツみたいな映画撮るよなあ。でも外側は美しいから、何も考えず見ればうっとり浸れるのだろうとは思った。

美術畑出身のリドリー・スコットは前作の頃、ビジュアリスト、というように言われていたが納得で、逆にストーリーテラー、また感情の伝え手としては随分と堅い人だと思う。前作は、独自の世界観を提示した美術品としては凄いが、言ってることはフランケンシュタインの物語を新たなパッケージに包んだだけで、特に新しさは感じなかった。

生命とは何ぞや?みたいな野暮なコト(笑)は言わず、人間に対する鏡としてレプリカントを造り、あくまで主体は人間とした上で、人造の鏡に映る揺らぎを観客に問いかけていた。前作はそこで止めたからよかったし、いったん物語も終わらせられたのだと思う。

本作の主人公K捜査官は、新型レプリカントだそうな。いきなり“鏡”が出てくるわけだ。で、まー色んなものがそこに映り込んでは来ますが、何でもありの状況提示だけなんですよね。30年後のそれらは丁寧には見せるけれど、これでは何も言っていないに等しいと思った。前作の投げかけを維持するだけなら、こうなっても止む無しか、とも思いますが。

日常の中のレプリ差別を描いたのは新しさかもですが、これが現実の差別の鏡になって、その先で例えば、SFの世界ならこういう解決法があるよ、という提示まで行かなければ意味がないと思う。あ、物語上ではレイチェル差別が一番ひどいと思ったよ(笑)。

鏡たるレプリにAIを寄り添わせた事も、私にはノイズだった等、まだまだ書きたいことありますが…大変なので後は最小に止めます(笑)。

映像美映像美と騒がれていますが、私は広告の類の美しさだと思いました。贈答用カレンダーなどに使われる風景写真と言うか。絵葉書とかね。…そのディストピア版。「どう、クールでしょ」感が邪魔でした。ロジャー・ディーキンスは何撮っても巧いと思うけれど、改めて、現実に一味加えるところで本領発揮する人だなーと感じた。こう何でもアリだと、行きすぎちゃう気がする。

無機質なディストピアっていえば、70年代のSFに散々出てきたよね。主人公の物語も、最後までみていくとアメリカン・ニューシネマみたいだ。これ『ローグ・ワン』みた時も感じたけれど。やっぱりSFもどっち行けばいいかわからなくなっていて、気づけば懐古に向かっていないだろうか? この件、けっこう気になっています。

悪口ばかり書きましたが、前作で運動神経えれえ悪く、敵にも毎度毎度反撃されまるで腕利きには見えなかったリック・デッカードが、本作ではけっこう使える爺に変わっていたのが驚きで、感心しました。

とりあえずの個人的結論として、リックその後の物語として、終盤キーパーソンとなるあの人物絡みに絞った展開…1時間程度でまとまるのでは?…の外伝的短編として、それが見たいファン向けに作った方がよかったろうと思いました。前作とそれとで「二つで十分ですよ」てな気分です。

 

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  • スネークフットランナー

    2017/11/10 15:21 by くりふ

    本作はなぜ自分には退屈なのか、ダメなのかを“色々考えさせられる”点では、面白い体験でした。だから色々湧いて来ましたが、書いておきたいな、と思ったものをとりあえず追記。「自己犠牲は人間特有のものでうんちゃら」の件。

    上の人間から下へと、自己犠牲を強いるのはどんな場合か?を考えれば、人間がレプリカントに自己犠牲を匂わすのは欺瞞で、搾取の為だろう、と思います。だから主人公Kは、結局それに乗せられたんだなと。本感想のタイトルに“忠犬”と付けたのはそんな理由からですが、この映画は最後まで、徹底的にペシミスティックでした。せめてラストの展開がああなれば…との思いつきも湧いたのですが、ネタバレになるため書くのは避けます。

    対し、後で思い出したのが、前作での要となったレプリカント、ロイ・バッティの物語です。表面上は悪役を担わされ、リドリー特有のホラー演出で強面に仕立てられ、実際殺人者で“●殺し”までやらかす。が、そんな彼が最後に取ったあの行動は…。

    私には、本作で物語上において、彼より“進んだ”言動をするレプリカントが見つかりません。旧型ロイの方が極端ながら、新型より興味深い。人間的で強い。前作は荒っぽい作りだが、人造ゆえの葛藤が既に明確化されていた(Kの絶望も前作既出)。他にも本作から振り返る時、気づかなかった噛み応えがもっとあったのでは?と思えてきました。

    また、より根っこの部分でみると、レプリカントが人間に似過ぎちゃう問題を前作から追っているけれど、ここまで似たのが当り前に溢れて来ちゃうと…そもそも人間の役者がレプリやAIのふりしたゴッコに過ぎないのだから、見ていてもうどっちでもいいじゃん!て気分になりますね私は(笑)。

    人間と変わらぬ生き物が既に溢れているなら、どうやって共生すべきか?という映画をとっとと作ればいい。相も変わらず殺った殺られたでたけし映画みたいの見せられても、もう飽きたよ。レプリカントの死に顔アップを見せたからってそれが何なんだ。

    現実をリードするのがSFであり映画じゃないのか。

    本作に対しては、私は蛇足や停滞ばかりしか感じられない。せめて、時間が短ければまだ、よかったと思うけどね。

    あ、楽しかったこともひとつ。今回のヘンテコニッポン大賞は、Kんち屋上にどどーん!と飾られた文字看板だと思った。昭和の日本映画か!とツッコミたくなったが、あれ、表記は“メビウスアパート”らしいですね。

  • いちおう補足

    2017/11/12 23:09 by くりふ

    >(Kの絶望も前作既出)

    ネタばれ避けようとこう書いたものの、あまりに詰めすぎかと思ったので一応、補足します。

    ずっとAとして生きてきたが、実は自分はBだったのか!?…ドキドキワクワク…え!やっぱAだったのガッビ〜ン!!!…というのがK君の絶望ですが、前作で既に、Bとして生きてきたのにAとわかり愕然!というキャラは既出でした。そちらの絶望はいか程かと思うのですが、比べるとK君の方は“ぬか喜び”から落とされたようなものだと思います。

    前作では、そんな絶望の先で、共生へとトライする姿が既にありましたが、その結果育まれた貯金に依存して、続編は成り立っています。しかしK君が動いたおかげで貯金の在処がバレてしまった。

    あの後、間違いなく彼らは追われることになるのだから、“自己犠牲”などに酔っていないで、最後まで守ったるわ!という有無を言わせぬ“人間らしさ”を見せてくれたら、ずっと共感できるものになっただろうな、と思いました。

    ライアン・ゴズリングの個性に寄り掛かった、女子ウケ狙いの締め方のようで、何だかなーとシラケてしまったのでありました。

満足度データ

ブレードランナー 2049
100点
11人(10%) 
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採点者数
106人
レビュー者数
56
満足度平均
74
レビュー者満足度平均
73
ファン
20人
観たい人
71人

 

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