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音楽、美景、人間ドラマの三重奏

80点 2017/5/14 14:03 by みかずき

追憶

観終わって、久々に典型的ではあるが良質な日本映画を観たなと感じた。本作は、甘美な挿入歌、美しい日本の原風景を巧みに織り交ぜた、過酷な運命に翻弄される男達の重厚な人間ドラマである。名作『砂の器』に代表される情緒的な日本映画の良さを愚直なまでに継承している。派手ではないが、きめ細やかな丁寧な描写で、観客の心に静かに響く趣のある作品である。

主人公は、富山県警の刑事・四方篤(岡田准一)。幼少期に、主人公と2人の幼馴染、田所啓太(小栗旬)、川端悟(柄本佑)は、ある事件を起こし、その過去を封印して生きてきた。しかし、25年後に発生した殺人事件によって、被害者、容疑者、そして刑事という立場で、3人の運命は再び交差する。容疑者である啓太(小栗旬)を信じたいという思いと、彼が犯人ではという思いが交錯して苦悩する主人公。ドラマは、過去と現在を行き交いながら、3人の人生を炙り出していく。そして、次第に事件の核心に迫っていく。同時に、幼い時の3人の救世主だった女性・仁科涼子(安藤サクラ)の数奇な運命と彼女を巡る3人の想いが明らかになっていく・・・。

登場人物が多いので、いくらでも人物像を膨らますことも、サイドストーリーを盛り込むことも可能だったろう。しかし、敢えて、殺人事件を軸にしたストーリーと殺人事件に関わった人物像に絞り込むことで、余韻が残る心洗われる人間ドラマになっている。また、本作は、昭和の雰囲気が色濃く残っている作風だが、色褪せた感じはしない。それは、本作が、普遍的な人間の感情を描いているからである。

仁科涼子を演じる安藤サクラの演技力が抜群。台詞は少ないが、表情と佇まいで、薄幸の運命と主人公達への慈愛に満ちた想いを見事に表現している。岡田准一は、刑事としての正義感、だらしない母への想い、妻への想いなど、複雑な心境で不器用な生き方をしている主人公を硬派な演技で好演。特に、正義と友情とのあいだで揺れ動く心情を熱演している。小栗旬も、一見優しそうではあるが、どこか謎めいた流石の演技がGood。

甘美なメロディーと日本の原風景の象徴である夕陽の美しさが際立つエンディングが作品全体を集約しているようで、悲しく切ない。

本作は、名匠降旗監督の手腕が冴え渡る、大人が鑑賞できる邦画の良さが光る作品である。

 

3人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • Re: 音楽、美景、人間ドラマの三重奏

    2017/5/14 21:12 by ぱおう

    みかずきさん、こんばんは。
    本作では、好みが一致したようでうれしいです。

    > 名作『砂の器』に代表される情緒的な日本映画の良さを愚直なまでに継承している。派手ではないが、きめ細やかな丁寧な描写で、観客の心に静かに響く趣のある作品である。

    「情緒的な日本映画の良さ」という表現には共感します。良くも悪しくも日本映画というしかない印象ですね。ちなみに、私の場合、吉岡秀隆さんが出演していることもあるのか、何となく「北の国から」を思い出しました。

    > 容疑者である啓太(小栗旬)を信じたいという思いと、彼が犯人ではという思いが交錯して苦悩する主人公。

    この辺で、本格推理ドラマかという先入観を持ってしまうと、後半で肩透かしと感じる恐れもなきにしもあらずかと。

    > 登場人物が多いので、いくらでも人物像を膨らますことも、サイドストーリーを盛り込むことも可能だったろう。しかし、敢えて、殺人事件を軸にしたストーリーと殺人事件に関わった人物像に絞り込むことで、余韻が残る心洗われる人間ドラマになっている。

    重いストーリーのはずなのに、なぜか温かい余韻が残るのが見事と思いました。

    > また、本作は、昭和の雰囲気が色濃く残っている作風だが、色褪せた感じはしない。それは、本作が、普遍的な人間の感情を描いているからである。

    そうですね。本質はいつの時代も変わらない人情ものという印象を受けました。

    > 甘美なメロディーと日本の原風景の象徴である夕陽の美しさが際立つエンディングが作品全体を集約しているようで、悲しく切ない。

    三重奏と評しておられますが、実に印象的なエンディングでしたね。思わず、「切なハッピー」の方に上げてしまいました。
    ソプラノの済んだ歌声とチェロの深い音色が、夕陽と相まって、温かみを含んだ悲しみを余韻として残してくれました。

    日本映画ならではの情緒って、いいものですね。
    それでは、また、宜しくお願いします。

  • Re: 音楽、美景、人間ドラマの三重奏

    2017/5/14 21:44 by みかずき

    こんばんは。ぱおうさん。
    みかずきです。

    邦画の得意とするジャンルの作品でしたね。

    砂の器のような、ヒューマンミステリーかと思っていましたが、豪華俳優陣の演技力を存分に活かした人間ドラマに絞ったことが、ラストの切なハッピーにつながったと思います。

    ミステリーを期待した方には、肩透かしのような展開だったと思いますが、邦画の良さが光る人間ドラマに仕上がっていました。

    日本人の心に静かに響く作品でした。

    では、また、共感作でお会いしましょう。

    失礼しました。

満足度データ

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