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ツキッ!!

80点 2016/10/13 5:40 by 出木杉のびた

映画「聲の形」

言葉、手話、筆談、リップリーディング、そして声にならない心の声…。コミュニケーションの基本である、発話がうまくできない聴覚障害者・西宮硝子は、周囲に気持ちが伝わり難い為、どうしても孤立してしまう。普通学級で学ぶ難しさを痛感させられる。自分たちと異なる存在を受け入れられない、成熟していない子供たちの群れに投げ込まれると、ターゲットにされ易い。いじめられる子供の姿を、大人になった今の我々はとても見ていられず、何とかしてあげたいと思う。しかし、子供時代にそれはできない相談なのだ。

因果応報、虐めていた石田将也が虐められる存在となる。将也が無視されていることの表現として、周囲の人間の顔にバツ印がついているのが面白い。きっとその人間達の顔をまともに見ることが怖くて、自分から心を閉ざしてしまったのだろう。このバツがとれた時が新しい関係の始まりであり、将也の心の解放となる。

高校時代、最初に友達となる永束のキャラが実にいい。小柄でモコモコ頭で、一度信頼したなら徹底的に関係性を貫き通そうとするのが好感度大。下手をするとウザキャラになりかねないところだが、適度なユーモアが、日射しのような温もりさえ感じさせてホッとする。更に、硝子を守ろうとする結絃の存在もユニーク。長束と結絃から、将也の世界が開けていく展開に希望の糸口があった。

対して、いつまでも虐めをやめない植野直花のひねくれた性格は、最後まで感じ悪い。将也が好きであり、彼と接近している硝子を妬ましく思うのも分かる。しかし、将也たちとの関係性が崩れたのは、硝子のせいだと決めつける狭量さには腹が立つ。どうしたらこんな自分勝手な人間に育つのか、家庭環境まで描いてほしかったところ。ついでにかっこいいばっかの小学校教諭もダメ。将也を虐めの犯人と分かっていたなら、何とかしろよと思ってしまう。

男子は好きな女子を虐めてしまうというのが定説だが、将也は出会った時から硝子が気になっていたことは確か。からかっているうちに、自分の気持ちを隠すために虐めに発展した可能性は否めない。その罪滅ぼしか、手話を覚えての再会のドラマは泣かせる。それでも彼女が一所懸命「ツキッ!」と叫んでも、その意味を解せない鈍感さは情けない。まさか硝子が自分に好意を抱いているとは、夢にも思っていなかったのだろう。これは心を閉ざして、自らの世界を小さくしてしまっていた将也の物語。硝子と関わることに因って、本当の自分の姿と気持ちに気付いていく。長く苦しい日々だった。それだけに、終盤効果的に使われるバツに、涙が溢れそうになった。

本作は「君の名は。」と共に大ヒットしている。ほとんど若い観客ばかり。これを機会に、いつまでも止まないいじめの問題をもう一度見つめ直してほしいが、おそらく虐め、差別する人間はこういう映画を観ないだろう。ならば周囲の人間として、傍観者にならない勇気を培ってもらえたら、素晴らしいことだと思う。

 

2人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • Re: ツキッ!!

    2017/11/15 4:06 by 未登録ユーザ 焼津のウサギ

    映画は2週間くらい前にDVDで観て、原作漫画全7巻を先ほど読み終えました。
    小学生の残酷さ、悪い事だと思わずに正当化して行われるいじめ、容赦の無さ、いつ自分が標的になるのか分からない恐怖感が詰まっている中で主人公が贖罪し、もがき苦しむ様が描かれていましたがこのいじめに関して言えば本当に悪いのは担任ですね。
    まず転入生に障害がある事を事前に生徒たちに説明しない、障害がある事を分かっていながら突き放したように自己紹介をさせる、いじめを黙認する等々…原作では高校編でも担任が再び登場しますがそこで最低の人間であった事がハッキリとわかります。
    植野直花も強烈でいじめの一件に関しては悪いですが彼女なりの筋があり、それを貫いている事が分かったので少しはマシでした。
    原作では映画のラストだった学園祭以降の卒業や進路、成人式まで描かれる上にキャラクター一人一人のバックボーンも描かれるので良い補完になりました。

    主人公が心を閉ざした人間の顔に×が付いて心の壁が消えると剥がれ落ちる演出はアニメーションで活きますね。ラストで全ての×が剥がれ落ちるシーンは感動でした。

  • Re: ツキッ!!

    2017/11/15 6:01 by 出木杉のびた

    焼津のウサギさん、おはようございます。

    何でイジメって、なくならないんだろうと思います。悲しいかな、人間とはそういうことがやめられない生き物なんでしょうね。本作では担任も嫌いですが、植野直花も大嫌いでした。原作読むと、もう少し彼女のバックボーンが分かるんですね。長い作品を映画化すると、どうしても説明不足の部分が出てしまうのは、残念ですね。

満足度データ

映画「聲の形」
100点
14人(15%) 
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30人(34%) 
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28人(31%) 
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採点者数
88人
レビュー者数
38
満足度平均
84
レビュー者満足度平均
85
ファン
19人
観たい人
57人

 

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