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映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > クリーピー 偽りの隣人 > 感想・評価 > 心がない

心がない

70点 2016/6/21 5:35 by 出木杉のびた

クリーピー 偽りの隣人

香川照之演じる西野が実に気色悪い。その奇妙な歩き方、捉えどころのない表情、何気ない問いかけに対する異常な反応。唐突に剥がす電柱のチラシ。何を考えているのか全く分からない、気味の悪さでは出色だ。高倉(西島秀俊)と妻・康子(竹内結子)が越した家の隣人・西野と、6年前に起った一家失踪事件の謎。犯罪心理学者で元刑事の高倉と、サイコパスとの闘いを描くサスペンス・スリラーだ。

西野家を訪れた時の突如暗くなる陰や、事件の起きた箇所の家の並びを示す、ドローンと思われるカメラの俯瞰への移動。ただならぬ雰囲気を醸し出す黒沢清演出は健在で嬉しくなるが、馴染みのない観客は戸惑うことだろう。万人に受け入れられる作風ではないので、一般の方には正直お薦めし難い。細部は語られず、西野の生い立ちも描かれない。どうしてこんな人物が創り上げられてしまったのか、どういう過程を経て人が操られてしまうのか、そんな説明は一切排除して、出来事だけが提示される。だから特に康子の心境の変化が分かりにくい。

ミステリーな前半に興味をそそられるが、澪(藤野涼子)が「全然知らない人です」という予告編は全く余計なお世話だ。ご丁寧にチラシにまで大きく書かれている。観客は驚く楽しみを最初から奪われてしまっているのだ。登場人物たちは、みんな一人で危険な場所に赴き、案の定嵌められる。ここも突っ込まれそうな気がするが、恐怖映画の常套手段ではある。普通の民家の奥に突如として現われる、異空間のような特殊な部屋も違和感ありと誰もが思うだろう。玄関からそこへの通路の繋がりが全く感じられないのだ。そこは正に黒澤監督が好みそうな舞台装置であり、そこに隠しておきたい全てが凝縮されている。

6年前の一家失踪事件で、娘・早紀(川口春奈)だけが生き残り、記憶を失っているというのは、物語的に都合のいい不可解。もしかしたら澪と同じ境遇だったのかも知れないし、その方が話は繋がると思うがそんな描写はない。高倉は早紀の記憶を頼りに事件解明に乗り出すのだが、「面白い」と何度も口をついて出る。被害者の感情を無視する態度を、早紀から「心がない」となじられる。事件そのものにしか興味を示さない犯罪心理学者も、西野と同じ穴のむじな。犯罪を犯す人間と興味を抱く人間は、表と裏であることを暗示させる。犯罪者になってしまうかは、紙一重であるのかも知れない。

終盤の展開も賛否ありそう。何らかの決着はつけてほしかったものの、これは黒沢映画らしからぬ、娯楽作品を意図した終わり方だ。

 

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  • Re: 心がない

    2016/7/5 22:53 by 未登録ユーザ samataimuburusu

    > 香川照之演じる西野が実に気色悪い。その奇妙な歩き方、捉えどころのない表情、何気ない問いかけに対する異常な反応。唐突に剥がす電柱のチラシ。何を考えているのか全く分からない、気味の悪さでは出色だ。高倉(西島秀俊)と妻・康子(竹内結子)が越した家の隣人・西野と、6年前に起った一家失踪事件の謎。犯罪心理学者で元刑事の高倉と、サイコパスとの闘いを描くサスペンス・スリラーだ。
    >
    > 西野家を訪れた時の突如暗くなる陰や、事件の起きた箇所の家の並びを示す、ドローンと思われるカメラの俯瞰への移動。ただならぬ雰囲気を醸し出す黒沢清演出は健在で嬉しくなるが、馴染みのない観客は戸惑うことだろう。万人に受け入れられる作風ではないので、一般の方には正直お薦めし難い。細部は語られず、西野の生い立ちも描かれない。どうしてこんな人物が創り上げられてしまったのか、どういう過程を経て人が操られてしまうのか、そんな説明は一切排除して、出来事だけが提示される。だから特に康子の心境の変化が分かりにくい。
    >
    > ミステリーな前半に興味をそそられるが、澪(藤野涼子)が「全然知らない人です」という予告編は全く余計なお世話だ。ご丁寧にチラシにまで大きく書かれている。観客は驚く楽しみを最初から奪われてしまっているのだ。登場人物たちは、みんな一人で危険な場所に赴き、案の定嵌められる。ここも突っ込まれそうな気がするが、恐怖映画の常套手段ではある。普通の民家の奥に突如として現われる、異空間のような特殊な部屋も違和感ありと誰もが思うだろう。玄関からそこへの通路の繋がりが全く感じられないのだ。そこは正に黒澤監督が好みそうな舞台装置であり、そこに隠しておきたい全てが凝縮されている。
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    > 6年前の一家失踪事件で、娘・早紀(川口春奈)だけが生き残り、記憶を失っているというのは、物語的に都合のいい不可解。もしかしたら澪と同じ境遇だったのかも知れないし、その方が話は繋がると思うがそんな描写はない。高倉は早紀の記憶を頼りに事件解明に乗り出すのだが、「面白い」と何度も口をついて出る。被害者の感情を無視する態度を、早紀から「心がない」となじられる。事件そのものにしか興味を示さない犯罪心理学者も、西野と同じ穴のむじな。犯罪を犯す人間と興味を抱く人間は、表と裏であることを暗示させる。犯罪者になってしまうかは、紙一重であるのかも知れない。
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    > 終盤の展開も賛否ありそう。何らかの決着はつけてほしかったものの、これは黒沢映画らしからぬ、娯楽作品を意図した終わり方だ。

  • Re: 心がない

    2016/7/5 22:58 by 未登録ユーザ samataimuburusu

    主人公に共感できません。心がないと思い、楽しめませんでした。

  • Re: 心がない

    2017/2/21 23:09 by 未登録ユーザ 焼津のウサギ

    香川さんは様々な役を熟すカメレオンのような俳優ですね。そのせいか多用され過ぎているような気もしますが…

    過去の日野の事件と今回の事件が繋がりそうで結局最後まで同一犯だったのか決定的な描写が無い上に日野の事件の真相が分からないまま半端な形で終わってしまったのが残念でした。
    説明を省く事で不気味さや観ている人の不安感を煽るのは良いですがちょっと物足りなかったです。そして警察が無能過ぎるとも感じました。奥さんの心の変化も分かり難く、西野に簡単に取り込まれる無能に感じてしまいました。
    ラストは上映時間が差し迫りこのままバッドエンドで終わってしまうのかと思いきや急展開の快進撃に驚きました。
    バッドエンドが嫌いなので良かったと言えば良かったですが本当にこれで良かったのか何とも言えない拍子抜けのラストでした。
    西野は住処を転々としているわりに一般住宅をどうやって牢屋のように改築したのかなど疑問も多かったです。
    黒沢監督特有の雰囲気だけは全編に渡って伝わっていたのでそれだけは良かったです。

  • Re: 心がない

    2017/2/22 6:00 by 出木杉のびた

    焼津のウサギ。さん、おはようございます。

    困った時の香川照之頼み。その演技では、いつも楽しませてもらってます。西島秀俊とのコンビも多いですね。本作は僕も手放しでは喜べない部分もありましたが、黒澤清監督作は相変わらず評論家受けして、キネマ旬報ベストテンの第8位にランクインしましたね。ちなみに読者選出では23位に留まっておりました。

    黒沢作品だと思うと意外なエンディング。監督にも何か心境の変化が出てきたのでしょうか。

満足度データ

クリーピー 偽りの隣人
100点
13人(13%) 
90点
11人(11%) 
80点
21人(21%) 
70点
19人(19%) 
60点
18人(18%) 
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5人(5%) 
40点
4人(4%) 
30点
1人(1%) 
20点
3人(3%) 
10点
2人(2%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
97人
レビュー者数
40
満足度平均
71
レビュー者満足度平均
76
ファン
5人
観たい人
70人

 

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