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凄い映画と面白い映画

80点 2011/10/23 10:01 by ペンギン

猿の惑星/創世記〈ジェネシス〉

凄い映画だったと確かに思う。
CGの、或いはSFXのレベルがここまで来たかと。
今後も3D技術も交えて限りなくテクノロジーは進んでいくだろうし、いつかこの作品も「昔はこんなモンだった」と言われる日が来るのだろう。
1968年当時、驚愕の声を以て絶賛の嵐を巻き起こし、「特殊メイク」という技術を一躍表舞台に引き上げた、フランクリン・シャフナーによる「猿の惑星」が、今日こう言われているように。
確かに特撮技術は凄い進化を遂げ、あまたのビジュアルショックを観客に提供してくれている。
しかし、オリジナルの「猿の惑星」の功績は特殊メイクや特撮によるものだけだっただろうか?
1970年代後半、コンピュータ制御技術が格段の進化を遂げたのを受け、映画界、とりわけSF作品に於いて売り物のメインは特撮技術になった。
合成画面は一作ごとに精度を増し、80年代以降フルCGによる作品も創られるようになった。
それらの技術を披露するにはSFは恰好の舞台だったのだ。
そして次々と「凄い映画」が量産されてゆく。
だけど、SFの醍醐味って本当にそこにあるんだろうか?

実はこの映画の観賞中私は、ついぞ「猿の惑星」を観ている気分になれなかった。
これは例えばティム・バートンの「バットマン」シリーズに慣れ親しんだファンには、いくら傑作と言われてもクリストファー・ノーランの「ダークナイト」に違和感があり、「これってバットマン?」という疑問があるのと似ている。
何というか「世界観」が違うのだ。
世界観に於いては10年前のティム・バートン版の「猿の惑星」の方がオリジナルのムードがあった。
お話のリアリティよりも、ハイセンスな洒落っ気がそこここに漂っていた。
ここが「ビジュアルショック」という隠れ蓑を脱いだSFとしての根幹の部分ではないか?
「こんな面白い映画は観たことがない」
1968年当時「猿の惑星」を観た多くの人たちがそう思った。
人々を驚かせた特殊メイクすら小道具のひとつに過ぎず、細部にわたる設定の機微、立場が逆転した事による人間批判、謎の見せ方、サスペンスの盛り上げ方、そして衝撃のラストシーン。
どれをとっても観客の脳を心地よく刺激し、空想に浸る喜びを与えてくれた。
2011年、「凄い映画」である本作は果たして観客にそう思わせることが出来ただろうか?
シナリオはビジュアルを超えられていただろうか?
ひとつだけ具体的に書かせて貰うならば、物語の要である「新薬」の、猿と人間に対する作用があまりにも「オチ」に対して都合良過ぎはしないか?

そうは言ってもこの映画、確かに面白くそれなりに満足はした。
特にクライマックスの金門橋の攻防戦は圧巻の一言で、ここを見るだけでもこの作品を観る価値はある。
橋の構造と猿の習性をを利用した演出にはSF的カタルシスを感じた。
「オチ」にも、この設定の着地点としてこれ以上はないと思える説得力はあった。
見せ方も洒落ていて、猿たちのCGよりもこのワンシーンの方に、この映画で一番ビジュアルセンスがあると思った。
しかしその内容は、本編に自分で用意した設定をを踏まえたものに過ぎず、当然ながらオリジナルの持つ「意外性」には及ばない。
一方「猿の惑星」旧シリーズのオチの付け方は、未来から来た遺伝子が過去に作用するという「タイムパラドックス」を利用した、永遠に説明のつかない矛盾の無限ループに引き込むものだった。
これは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などにも観られる、SFの持つ典型的なサイキックなオチで、私はこういう「洒落」にこそSFの醍醐味を感じるのである。

 

11人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • Re: 凄い映画と面白い映画

    2011/10/23 12:48 by Endymion

    ペンギンさんこんにちは
    わかりやすい投稿楽しませていただきました。

    > シナリオはビジュアルを超えられていただろうか?
    > ひとつだけ具体的に書かせて貰うならば、物語の要である「新薬」の、猿と人間に対する作用があまりにも「オチ」に対して都合良過ぎはしないか?

    この新作の「猿の惑星」に関するペンギンさんのこの指摘は厳しいところをついていますね。私もこの新作はとても楽しませていただいた一人ですが。かつて最初の「ゴジラ」が日本人に衝撃を与えたのと同様,旧シリーズの「猿の惑星」で現実からものすごく離れたことを描きながら心の奥の潜在意識に訴えかけたのは「核」の恐怖だったように思います。最後になって人間と猿の立場の逆転の背景にあったのが,実際に完成され日本で使われたことがあり,キューバ危機を始め冷戦の中でいつ使われてしまうかもしれなかった「核」兵器に対する恐れが,旧シリーズの最後の場面の落ちに向かう過程でじわじわと予感させられ,自由の女神の荒廃した姿で確信させられるという流れだったように思います。地球を離れ,地球に戻ってくると,結局,人間は「やってしまった」という現実を突きつけられる。いつかは起こるかもしれないという現実が映画を観ている人にも感じられたのが第1作の「猿の惑星」だったと私は解釈しています。それに比べて,本作品は,アルツハイマーという現実の人類の悩みを扱っていながら,それそのもので人類が猿になることはなく,その解決策として研究している治療薬が鍵になります。治療薬が人を滅ぼすというシナリオはショッキングな落ちにつながるかもしれませんが,そのようなことが起こるかもしれないという潜在的な恐怖を持っている人は,当時の「核」の恐怖に比べれば皆無に近いように思えます。映画制作者に都合がよい設定に過ぎない。112は液体の薬剤。途中でウィルスだということはわかりますが,113は気体に変わります。これは空気感染に都合がよい設定です。ウィルスを薬剤に使うなら管理は厳重のはず。患者には致死性がなく一般の人に致死性がある薬剤とうのも研究者は作るものだろうか。また,都合が良いくらい管理があまりにもひどすぎる。隣人がパイロットというのも可能性はあるものの,振り返ると都合良すぎる。
    振り返ってみるとこれらに気づくのですが,勢いがあり,映画を観ている間はとても楽しんでしまいました。でも,結局映画の域をでられなかったというところが,最初の猿の惑星シリーズが少年時代リアルタイムであった私が感じたことです。

  • コウモリからペンギンさんへ

    2011/10/23 19:11 by えんぞ

    素晴らしいレビュー ありがとうございます。

    > そして次々と「凄い映画」が量産されてゆく。
    > だけど、SFの醍醐味って本当にそこにあるんだろうか?

    > 実はこの映画の観賞中私は、ついぞ「猿の惑星」を観ている気分になれなかった。
    > これは例えばティム・バートンの「バットマン」シリーズに慣れ親しんだファンには、いくら傑作と言われてもクリストファー・ノーランの「ダークナイト」に違和感があり、「これってバットマン?」という疑問があるのと似ている。
    > 何というか「世界観」が違うのだ。

    まったくもって 同感。

    これからも アヒルに乗って活躍してください。
    ネコも応援しています。

    違和感ある返信ですいません。

  • レスありがとうございます。

    2011/10/24 0:12 by ペンギン

    Endymionさん、レスありがとうございました。
    こういう傑作のリメイクがハイリスクなことは初めから承知の上で、それでも挑戦したいという制作陣の熱い思いには拍手を送りたいと思います。
    だけど、ハイテクの扱いばかりうまくなった現代のクリエーターたちには、実はSFって一瞬の思いつきですべてが決まるっていう単純な発想が身についていないんじゃないかと思います。
    高価なコンピュータやアプリケーションを使って、動物の体毛を一本一本作り出してゆく事じゃないんですよね。
    旧作の脚本家、ロッド・サーリングは、ある日昼食を摂っていたレストランで、目の前に張られていた自由の女神のポスターを目にして、あの有名なラストシーンを、まず思いついたといいます。
    そこから、そのラストへ向けてシナリオを書いていったという事です。
    その一瞬の閃きがすべてだったわけです。
    これがSFです。
    一瞬の思いつきだけど、誰にでもできる訳じゃない。
    限られた才能にしか神は降りて来ないのです。
    ご指摘の、核に代表される人類の驕りへの警鐘というSFの持つ古典的命題も、本作では難病の治療薬が取って代わる事で、皮肉ではあっても「驕りへの警鐘」にはなっておらず、「自業自得」というわけではないので文明批判にはなっていないですね。
    ここは「テーマが古い」などと思わず、核戦争、あるいはせめて核施設の暴走にテーマを設定した方が説得力はあったと思います。

    えんぞさん、ペンギンへのエール、ありがとうございます。
    でも私はペンギンさんにミサイルを背負わせたりはしません。

    最新のテクノロジーでSF世界を映像化してくれるのはうれしいですね。
    いい時代に生きていると思います。
    でも、SFの起源は映像を伴わない小説でした。
    最高の映写装置は想像力だったのです。
    SF作家たちはどんな世界観で読者の想像力を喚起させるかが腕の見せ所でした。
    そう、SFの醍醐味は洒脱な語り口にあるのです。
    オリジナルの「猿の惑星」の魅力も、ロッド・サーリングの素晴らしい語り口にあったと思います。

    ペンギンでした。

満足度データ

猿の惑星/創世記〈ジェネシス〉
100点
31人(6%) 
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採点者数
457人
レビュー者数
127
満足度平均
75
レビュー者満足度平均
75
ファン
38人
観たい人
251人

 

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