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剣術より堅実(10.12/10)

70点 2010/12/13 19:41 by HALU

武士の家計簿

滋賀県大津市のシネコンにて、公開初日に、私の親と一緒に親子揃って観賞。

率直な感想と致しましては、<算盤侍>、そして<実話>という点からも、題材がスゴく良い映画で有りながらも、特に、後半部分の失速感が非常に勿体ない作りの出来映えの映画ではありました。

さて、映画自体は、
加賀藩の御算用者(いわゆる経理係に相当するサラリーマン的な侍)として、幕末に生きた下級武士・猪山一家の<家計簿>。
『加賀藩士猪山家文書』から幕末の武士の生活を読み解いた、歴史教養新書としては、異例のベストセラーである『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』という新書本の実話がベースの原作なだけに、所謂、英雄譚では無く、チャンチャンバラバラな剣術の活劇シーンはこれといって無い、非常に地味な時代劇ホームドラマという内容ではありました。

しかしながらも、これまでの<武士は喰わねど高楊枝>と言われていた武士の生活振りについての国史研究の上での通念を覆すほどに、世間体などの体面を重んじる<武士の世>にあって、世間の嘲笑を浴びながらも<家計内リストラ計画>を実践し、智恵と工夫、そして家族の愛で、日々の暮らしを前向きに乗り越えようとした姿には、現代社会の在り方とも共通するテーマでもあり、ほのぼのとして、そして笑いのペーソスも溢れる内容の映画でしたし、前半部分から後半部分にかけては面白く、好感の持てる映画ではありました。

ただ、惜しまれるのは、<幕末の武士>という設定からすれば、その後半にかけての方が、むしろ、より一層に激動の時代で有るはずなのですが、その肝心の最後の後半部分が、算盤を弾く音をバックにナレーションが流れるといった様な、あたかもドキュメンタリータッチで、非常に足早に描写なされている点が非常に残念でなりませんでした。
それは、製作予算の関係なのか、それとも、二代目の御算用者の猪山直之役を演じる堺雅人さんの一代記として、スポットを当てて着目して欲しかったのかもしれないですが、少なくとも御算用者の三代記なのですから、前半部分の丁寧な描写の様に、特に、後半部分の激動の時代をも、もっと丁寧に手厚く描写して欲しかったところでした。

また、そして、更に残念だった点と致しましては、森田芳光監督が、大学の落語研究会出身者の監督さんだけあって、せっかく、笑いのツボを押さえているにも拘わらず、すべてが全てではありませんでしたが、劇場版予告編やTVスポットCMなどにて、再三、せっかくの笑いのツボの要素の多くを露出し過ぎてしまっていた点から、期待値以上の過大な笑いどころが得られず終いでしたので、その点も、今後の映画配給会社の宣伝部さんの広報戦略の課題として欲しいところではありましたね。

・いつもながら、トボけた演技がよく似合う松坂慶子さんのお婆ちゃん役。
・懐かしのTVドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』以来(?)の三枚目役の中村雅俊さんのお爺ちゃん役。
・<貧しい>時も<豊かな>愛を育む妻であり、母親役として好演した仲間由紀恵さん。
・チョイ役にしては存在感が輝る、<おばば様>役の草笛光子さん。
・そして、息子・猪山直吉役(子役)の大八木凱斗くんの好演も輝る作品でも有り、今後の注目株でもありました。

その他、この映画の出演者の皆様方による、あたかも本当の家族の様な、ほのぼのとした空気感が、実に絶妙だっただけに、特に、後半部分の失速感が非常に勿体ない映画ではありました。

私的な評価と致しましては、劇場版予告編などによる、映画の内容の、笑えるツボの垂れ流し状態の在り方などからも、予想した期待値以上では無かった点も有りましたが、時代劇ホームドラマという内容といった地味な内容ながらも、よく頑張った映画だとも思われましたし、その点は評価致しますが、せっかくの肝心の後半部分の激動の時代の描き方が、非常に足早に描写なされ過ぎていた点を差し引きまして、辛口評価かもしれないですが、★★★☆(70点)とさせて頂きました。

※尚、ご参考までに、私の親の世代(70代)の感想と致しましては大満足だったみたいでしたので、親子揃って観賞して観ても、<目出度し、目出度し>でした。

 

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  • Re: 剣術より堅実(10.12/10)

    2010/12/13 20:47 by ありりん

    こんばんは、HALU様。

    > 率直な感想と致しましては、<算盤侍>、そして<実話>という点からも、題材がスゴく良い映画で有りながらも、特に、後半部分の失速感が非常に勿体ない作りの出来映えの映画ではありました。

    まさにこれに尽きる、です。
    前半、体面も偏見もものともせず、家族で協力して家計を立て直すという、この武士の時代にあってなかなかできないことを断行した好いお話だったのに、と、ホント勿体ない作り方でした。

    > さて、映画自体は、
    > 加賀藩の御算用者(いわゆる経理係に相当するサラリーマン的な侍)として、幕末に生きた下級武士・猪山一家の<家計簿>。
    > 『加賀藩士猪山家文書』から幕末の武士の生活を読み解いた、歴史教養新書としては、異例のベストセラーである『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』という新書本の実話がベースの原作なだけに、所謂、英雄譚では無く、チャンチャンバラバラな剣術の活劇シーンはこれといって無い、非常に地味な時代劇ホームドラマという内容ではありました。

    ここら辺は納得づくで観賞したものの…。

    >その肝心の最後の後半部分が、算盤を弾く音をバックにナレーションが流れるといった様な、あたかもドキュメンタリータッチで、非常に足早に描写なされている点が非常に残念でなりませんでした。

    資料がなかったのかもしれませんが、あの幕末期、戦う武士より裏方で奮闘した武士の存在がどうであったか、をもうちょっとお話を膨らませて描いて欲しかったですね。たとえば、武器や食料をどう参段して工夫し調達したか、とか…。算盤を弾く姿と音だけではあまりに芸がないと言わざるを得ないです。

    > ※尚、ご参考までに、私の親の世代(70代)の感想と致しましては大満足だったみたいでしたので、親子揃って観賞して観ても、<目出度し、目出度し>でした。

    チャンバラでも胸弾む英雄壇でもないけど、その点だけは評価できます。それだけに、前半はよかったのに、と惜しい気持ちで一杯でした。

  • 早速にも、コメントをお寄せ下さり、本当に有り難うございました。

    2010/12/13 22:36 by HALU

    ありりん様。こんばんは(^^)/
    HALUです。

    早速にも、私。HALUのレビュー投稿の方へもコメントをお寄せ下さり、誠に有り難うございました。
    本当に嬉しかったです。

    >>その肝心の最後の後半部分が、算盤を弾く音をバックにナレーションが流れるといった様な、あたかもドキュメンタリータッチで、非常に足早に描写なされている点が非常に残念でなりませんでした。

    >資料がなかったのかもしれませんが、あの幕末期、戦う武士より裏方で奮闘した武士の存在がどうであったか、をもうちょっとお話を膨らませて描いて欲しかったですね。
    >たとえば、武器や食料をどう参段して工夫し調達したか、とか…。算盤を弾く姿と音だけではあまりに芸がないと言わざるを得ないです。

    そうですよね。
    そこら辺りは、あくまでも、この映画の主題たるテーマが、武士の<家計内>の家計簿ですから、加賀藩としての<入払帳>については、官軍では無いので、負け戦により、資料を破棄なされていたのかもしれないですが、仮にせっかくの加賀藩内の資料が有ったとしたのでしたらば、スッゴく勿体ないですよね。
    そうでないと、なんとも合点がいかないですよね。

    まぁ〜。時代劇ホームドラマといった趣の映画ですから、そこはあえてスルーさせて、クローズアップすべきは、その当時の<体面を重んじる武士の世>の中にあっても、<家庭内事業仕分け・リストラ計画>を実践する様な、<算盤バカ侍>が居たということを謳いたかった映画だったのかもしれないですね。

    私。HALU個人的には、不満点も残り、やや納得し辛い作品でしたが、あの<睨み鯛>ではないですが、私の親と、親子水入らずで、観賞するには持ってこいの映画ではありましたので、結果的に、例の実写版『ヤマト』にはせずに、この映画の鑑賞をすることになりましたが、殊の外、親は気に入ってくれた映画でしたので、<目出鯛>、<目出鯛>ですね。

    この度も、私。HALUのレビュー投稿へもコメントをお寄せ下さり、誠に有り難うございました。
    本当に嬉しかったです。

    それでは失礼致します。

  • 12/14に、NHKの『爆問学問』にて、本作品の原作者・磯田道史筑波大准教授が出演なされましたよ♪

    2010/12/15 22:47 by HALU

    皆様方。こんばんは(^^)/
    HALUです。

    昨晩(12/14)のNHKの『爆問学問』という、あの<爆笑問題>のお二人が、時の人たる研究者や学者と対談する番組に、この映画の原作者たる筑波大准教授の磯田道史さんの特集番組が放送なされておられましたよ。

    この磯田道史准教授は、幕末の、いち下級武士のみならず、今度は、あの<忍者>の生活実態を研究課題として、<忍者>の生活振りの資料を掘り起こしておられるそうです。

    今度は、<武士>ならぬ<忍者の家計簿>という歴史教養物新書本がベストセラーになるかもしれないですね。

    この放送を観逃された御方々は、<NHK>の公式サイトにて、この『爆問学問』という番組の、ご自身の地域の再放送の時間帯をご確認のうえ、是非ともご覧下さいませ。
    結構、面白い特集番組でした。

    取り急ぎ情報まで。

    それでは失礼致します。

  • Re: 剣術より堅実(10.12/10)

    2011/1/28 11:23 by 705

    HALU様、こんにちは、お邪魔させていただきます。

    本作はまるで二部構成のように前半と後半とではガラリと様相が変わってしまいましたね。ちょっと滑稽な笑いのペーソス溢れる前半から、後半は冷たい雨が降ってしまいました。個人的には雨の後の虹も有りと思いますので、後半の流れも悪いとは思わないし嫌いではなかったですね。でも仰る通り、後半の失速感は少し気になるところではありました。

    確かに幕末から明治へかけての激動期にもかかわらず、台詞だけで早回ししてしまったような後半はもう少し手厚く描いてほしかったところでした。
    でも地味な作品ながらもいい感動は頂けましたね。
    有難うございました。

  • この度も、ご多忙の折から、コメントをお寄せ下さり、本当に有り難うございました♪

    2011/1/28 22:06 by HALU

    705様。こんばんは(^^)/
    HALUです。

    この度も、ご多忙の折から、私。HALUのレビュー投稿の方へもコメントをお寄せ下さり、誠に有り難うございました。
    本当に嬉しかったです♪

    >本作はまるで二部構成のように前半と後半とではガラリと様相が変わってしまいましたね。
    >ちょっと滑稽な笑いのペーソス溢れる前半から、後半は冷たい雨が降ってしまいました。
    >個人的には雨の後の虹も有りと思いますので、後半の流れも悪いとは思わないし嫌いではなかったですね。でも仰る通り、後半の失速感は少し気になるところではありました。

    そうですね。
    私。HALUの場合には、やや欲張り過ぎた見方をしてしまったのかもしれないですね。

    >確かに幕末から明治へかけての激動期にもかかわらず、台詞だけで早回ししてしまったような後半はもう少し手厚く描いてほしかったところでした。

    そうなんですよね。
    肝心の幕末の激動期を、ナレーションだけで早回してしまっては非常に勿体ない素材に思えたんですよね。
    でも、あくまでも<武士の家計簿>ですから、下級侍の個人の家の家計にスポット当てたホームドラマと捉えれば、そこは描く必要はないのかもしれないのですが、やはり欲張った見方をしているのかもしれないですが、その幕末の動乱期の部分の描写が非常に惜しいですよね。

    >でも地味な作品ながらもいい感動は頂けましたね。

    そうですね。
    トータル的に捉えれば、地味ながらも、非常によく出来た映画では有りましたね。
    面白かったですし、感動も得られましたよね。
    堺雅人さんのファンには必見の映画では無いかとも思われるほど、朴訥な演技が冴えた映画でしたね。

    この度も、コメントをお寄せ下さり、誠に有り難うございました。
    本当に嬉しかったです。

    それでは失礼致します。

満足度データ

武士の家計簿
100点
7人(2%) 
90点
17人(6%) 
80点
54人(19%) 
70点
81人(28%) 
60点
71人(25%) 
50点
29人(10%) 
40点
13人(4%) 
30点
6人(2%) 
20点
2人(0%) 
10点
1人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
281人
レビュー者数
86
満足度平均
66
レビュー者満足度平均
69
ファン
19人
観たい人
188人

 

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