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陰翳礼讃

100点 2014/5/10 8:26 by Blue Rose

最後の忠臣蔵

年末になると毎年のように映像化され、普通の切り口では今更映像化する意味もないとさえ言われる「忠臣蔵」。今作品ではどのようなお話を見せてくれるのかと興味津々で観せていただきましたが、こうきましたか。う〜〜ん、唸りました。

討ち入りを果たし、義士たちが切腹をした後のこと。討ち入りの前夜に逃亡した瀬尾孫左衛門のその後を中心としてお話は進みます。「逃亡した」と書きましたが実はそうではなく、それもすべて大石内蔵助の密命を受けてのことでありました。その命令とは、内蔵助の隠し子である「可音」をしっかりと育て上げ、良家に嫁がせること・・・。そのために孫左衛門(以下「まござ」)は「裏切り者」の汚名を着ながらも真実は明かさず、ただ主君の命を果たすためだけに生きていきます。
この「まござ」を演じた役所広司さんの演技が、本当にすばらしいです。辛さ・潔さを含めて「武士」というものの生き方を余すところなく表現されております。この役所さんの演技なくして、本作品の成功はあり得なかっただろうと思います。

そしてもう一人、この作品をすばらしいものにしたのは、「可音」を演じた桜庭ななみさんです。失礼ながら、彼女がここまでの演技をするとは思ってもいませんでした。役所広司さん・佐藤浩市さんを向こうに回して、堂々と渡り合っておられました。特に、この作品では役所さんと桜庭さんの「二人」のシーンが多いのですが、その所作・一つひとつの台詞まわしにおいて、まったくもって役所さんにひけをとってはいませんでした。お見事でした。淡い光の中、儚く輝く武家の娘「可音」がそこにいました。正直私は今でも、「可音」さまの「まござ・・・」という呼びかけを思い出すだけで、目が潤んできます(泣)。

裏切り者の汚名を着、また「可音」に淡い思いを抱きながらも、武士としてのあるべき姿を全うする「まござ」。自分を立派な武家の娘に育て上げてくれた「まござ」に父親以上の思いを抱きながら、その思いを押し殺し商人の家に嫁ぐ「可音」。途中挿入される「曽根崎心中」、この物語(人形浄瑠璃)を「可音」はどういう気持ちで観たのか・・・。心の中を推し量ると、さらに切ない気持ちになってきます。ただ、この二人の思いは浄瑠璃に託して語られるだけで、それ以外ではほとんど語られない・・・そこがまた淡くていいんですよね。

誤解を受ける・曲解されるというのは、本当に辛いことだと思いますが、最後には「まござ」の逃亡の真意も皆に知られるところとなり、観ていた私としてはほっとしました。ただ、それでも「可音」が嫁いだ後の「まござ」の行動にはとっても悲しくなりましたが。いえ、武士ですから、主君の命令を果たした後、ようやくそうすることを許され、実行に移すのかなあとは思っておりましたが、それでもやはり、悲しすぎます・・・。

今まで語り尽くされ、どのようなお話にしても新鮮さがないだろうと思っていた「忠臣蔵」というお話、見事に新しい切り口で観せてくれました。松の廊下のシーンはなくても、討ち入りのシーンはなくても、これも「忠臣蔵」、まさに「最後の」忠臣蔵でありました。堪え忍ぶこと・潔いこと・主君の命令には絶対に従うこと・・・。「武士」というのものの、美しくも悲しい本当の姿をみせてもらったような気がしました。


追伸:「可音」さまの婚礼に際して、父・大石内蔵助に世話になった人々が次々に集まってくるシーンがあります。このシーンをみて、人間の生き方・死に方というものを考えさせられました。死んでからも人々の心に残るような生き方・・・。いかに大石内蔵助がいろんな人に慕われていたか、それがよくわかるシーンでありました。「可音」さまにとっては、会ったこともない父ではありますが、これだけの人々に慕われていたのだと誇りに思い、自信を持って嫁いでいくことができたでしょう。いいシーンでありました。

追伸2:文中では全く触れませんでしたが、茶屋四郎次郎を演じた笈田ヨシさんや「おゆう」を演じた安田成美さんも、とってもよかったです。最後の「まござ」と「おゆう」の場面、切なかったです。

追伸3:全体的に静かな抑えたトーンで、かつて「陰翳礼賛」で谷崎潤一郎さんが書かれたような日本の伝統的な美しさを見せてもらったような気がしました。本当に第一級の日本映画だと思います。

 

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満足度データ

最後の忠臣蔵
100点
22人(10%) 
90点
38人(18%) 
80点
52人(24%) 
70点
43人(20%) 
60点
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2人(0%) 
20点
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1人(0%) 
採点者数
211人
レビュー者数
110
満足度平均
73
レビュー者満足度平均
74
ファン
25人
観たい人
86人

 

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