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死者に寄り添い、生者を見送る

80点 2010/2/2 21:44 by olddog

ラブリーボーン

まるで「連続殺人鬼を被害者の魂が断罪する」と言わんばかりの予告編のミスリーディングは、今回に限っては観客に有利に働いた。ほとんど全編に渡って犯人の狡猾さ、卑怯さ、醜悪さに付き合わされ、彼に相応しい裁きが下される事を今か今かと期待していた観客は、最後の最後にスージー・サーモンが選び取った行為で改めて気付くのだ。彼女にはもっとずっと大事な用事が残されている。

オカルトサスペンスを期待して劇場にやってきた観客は、冒頭の幸福そうな一家の様子に寄り添ううちに、すとんと物語の中心に落ちて行く。人生に本来あるべき幸福と、それが無惨に破壊される予感を感じながら、観客は悟る事になるだろう。この物語において真に重要なのは、下らない男が裁かれる事では無い。今眼前に展開していくはかない幸福を、如何にして守り再生させる事ができるかなのだ、という事に。

死者を送るのに必要な事は死因の再評価ではなく、死者そのものを再評価し、然るべき位置に落ち着かせる事だ。この映画ではそれを死者自身が実現する。14歳のスージー・サーモンは、14歳という全てが途上にある状態で世界から切り離され、"途上のまま切り離された事"を得心する為に彷徨う事になる。さもなければ彼女は、そして彼女と様々な形で絆を維持している彼女の家族もまた、次の世界に踏み出す事が出来ないだろう。

だからこそ彼女は、最後にして最大の証拠が封印されようとするその瞬間に、そんな事態には目もくれずに、彼女なりの方法で「世界に別れを告げる」方を選択する。スージーを欠いたサーモン一家もまた、彼女のいない一家の在り方をそれぞれに選択し、それぞれに受け入れてみせるのだ。生者は生者の、死者は死者の取るべき道があり、それぞれに互いの助けは必要無い。互いが互いを"想っている"という実感があればそれで充分だ。

ここに至って観客は思い知る事になる。仮令いまさら犯人が挙げられたからと言って、スージー・サーモンの"途上"が再び続いて行く訳では無い。彼女は"途上"を"終点"に置き換える必要があり、過たず彼女はそれを果たしたのだ。それ以上の何が必要だろうか?

クライマックスの静かで力強いカットバックと、そこに至るまでに経て来た驚く程繊細で注意深い演出を見ていると、失礼ながらこの映画がスピルバーグとピーター・ジャクソンの手により生み出されたという事実に疑いを抱きたくなる。主題にスタイルを沿わせ一直線にそれを視覚化できるスピルバーグと、既にある物語を解体し、より力強くテーマを語る形で再生させるジャクソンそれぞれの長所が、(時にぞんざいな二人の演出スタイルを越えて)今回は良い方に働いた様だ。

 

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