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今度は戦争だ!

90点 2014/8/18 16:04 by うなぎいぬ

今度は、戦争だ! This time,it's war!

これは傑作「エイリアン2」につけられた、聞くだけでアドレナリンが上昇する名コピーだ。
たしかキャメロンが最初の企画会議で口にしたといわれるこのフレーズは、そのまま「ガメラ2・レギオン襲来」にも当てはまる。

そう、前作がガメラとギャオスの一騎打ち、すなわち「椿三十郎」とするなら、こちらはガメラ(サムライ)+人類(百姓)連合軍vs.大群獣レギオン(野武士)の殲滅戦を描いた「七人の侍」なのだ!


「メカゴジラの逆襲」(75)を最後にゴジラシリーズが休眠期間に入った後、「スターウォーズ」(77)が世界的なSF映画ブームを巻き起こし、ほぼ同時に国内では「宇宙戦艦ヤマト」に端を発するアニメブームが起きた。この2つのブームで何が変わったかといえば、要するにいい年こいた大人が「特撮やアニメが好き」と広言しても恥ずかしくない世の中になった、ということだ。当然いい年こいた元怪獣少年たちはゴジラ復活のラブコールを送り、新しい怪獣映画への夢を熱く語った。
まず、黄金期の東宝怪獣映画の再生、さらには怪獣の生態やそれに対する自衛隊の動きを徹底的にリアルに描くというのが多くのファンに共通した想いだった。
だが、復活したゴジラはその想いに十全には応えてくれなかった。
「ガメラ・大怪獣空中決戦」で第一の課題を見事にクリアした金子修介・伊藤和典・樋口真嗣らの最強チームはつづいて第二の課題に挑戦する。

前作にも、ギャオスの糞ではなくペリットを出したり、出生にまつわる遺伝子工学的な味付け、または怪獣を攻撃する前に国会で法案を通すといったディティールが薬味として効果を発揮していたが、今度はそんなリアリズムを全面展開する。

まず、敵怪獣が単体でなく、ガメラを圧する大きさの女王レギオン、等身大のソルジャーレギオンの群れ、彼らに育てられ餌を供給するマンモスフラワーのごとき草体がセットになって生態系まるごとやってくるというアイデアが抜群に面白い。
彼らの眼に地球侵略のたくらみや人類に悪さをしてやろうなんて「意志」の光はなく、ただただ生存と種の存続の本能に従って北海道から首都・東京に向けて南下する。
以前、日本の怪獣映画の難点は怪獣が半端に巨大すぎて怪獣のバトルと人間のドラマが乖離しがちなことだ、と書いた。ひらたくいえばでかくて目立つし動きがゆっくりだから逃げりゃいいし、怪獣のいないところは安全と思えてしまうのだ。それに対して音もなく忍び寄り地下で繁殖し、大気の組成まで変えてしまうレギオンには、巨大怪獣のマクロな破壊力だけでなくシロアリか病原菌のようなミクロな怖さも備わっている。
対する自衛隊は未知の宇宙生物の生態を分析し、巣を爆破し、防衛線を張って進撃を水際で阻止しようとする。
雪の舞う札幌の中心地を特殊車両が走り回り、大通公園に前線基地を設営し、自動小銃を構えた小隊が地下鉄構内に突入するさまがドキュメンタリータッチで描かれる。「非常事態」のゾクゾクするような緊張感は全盛期のゴジラシリーズを凌ぐ。

これだけリアルな世界を構築してしまうと「正義の怪獣・ガメラ」が逆に浮いてしまいかねないが、作り手はガメラが何のために戦っているのかを敢えて曖昧にすることで問題をクリアしている。ガメラと人間が意志を通じ合っている(ように見える)のは、勾玉を持った巫女・浅黄とガメラの眼が合った(ように見える)瞬間だけだ。

戦場となる札幌・仙台・足利市近郊を再現したミニチュアワークも見事だ。実景とのつながりを重視して細部まで実物そっくりに作られたすすき野。ガメラが郊外から都心部に近づくにつれて建物が密集してくる仙台。
観光名所やランドマークをわざとらしく入れ込んで絵葉書みたいに切り取るなんて田舎臭い真似はせず、ファミレスの看板やディスカウントストア、町工場、住宅、田畑が無秩序に点在する日本のどこにでもある、絵にならない都市近郊のリアルな風景を敢えて再現した足利は特に秀逸。自分を含む観客の多くはウチの近所みたいと思ったんじゃないだろうか。
実写と見まがう「パシフィック・リム」のCGIの街並みには人のにおいが全くしないのに、あきらかにミニチュア然としたガメラの街並みに生活感が漂っているのは不思議だ。

甲殻類を模して、極力なかに入る人のシルエットを消すように工夫されたレギオンのデザインと造型は平成になって登場した怪獣の中ではもっともインパクトがあった。
(私見だが、巨大レギオンとソルジャーレギオンのデザインの発想の元は楳図かずおの「漂流教室」にあるように思う)

金子監督は山本薩夫の「戦争と人間」を引き合いに出して、戦争に巻き込まれていく人々の群像を描きたいといっていたように記憶するが、さすがにそこまでは行ってない。それをやるなら「レギオン」という単体の怪獣映画にするしかなかったろう。怪獣対決モノという究極の嘘八百映画でリアリティやドラマ性を追求するには限界があり、平成ガメラ三部作の完結編「ガメラ3・邪神覚醒」はそれにひとつの答えを出そうとした意欲作ではあったのだが…

 

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満足度データ

ガメラ2・レギオン襲来
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採点者数
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レビュー者数
14
満足度平均
74
レビュー者満足度平均
81
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15人

 

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