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映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 隠し砦の三悪人 > 感想・評価 > 正しい「裏切り御免」の使い方

正しい「裏切り御免」の使い方

100点 2008/5/31 20:54 by 出木杉のびた

『隠し砦の三悪人』は、黒澤明監督作を言うのであって、最近のリメイクの邦題からは『隠し砦の三悪人』は抜かしてもらいたい。『THE LAST PRINCESS』だけで十分だ。

139分、とにかく最後まで楽しめた。
太平と又七の小悪党コンビには、最初から最後まで、にやにやさせられ通しで、面白い。キャラクターが起っているのだ。ルーカスが真似したくなるのも頷ける。
とにかくこの二人からは目が離せない。その徹底した強欲振りはどこまでも信用がおけない。
喧嘩と仲直りを繰り返しているこの二人は、金が絡むと益々お互いの疑心暗鬼もエスカレート。

二人を利用しようとした、六郎太の裏まで掻こうとするそのしたたかさには、舌を巻く。
観客はこの双方の駆け引きに、ハラハラし通しだ。
秋月再興の為の軍資金とは露知らず、少しでもたくさん分け前を頂こうとするその行動が、危機を招き、その度に解決にあたる、六郎太の涙ぐましい努力。

作戦が功を奏した時の、快感。
すぐ敵がそのトリックに気付き、ピンチが予想される展開。
失敗が結果的には成功を呼んだり、その逆もある。
この練りに練られた脚本の、何とうまいことか。

黒澤明を中心とした4人の名脚本家が知恵を絞って作り上げた脚本に、リメイクした樋口監督はケチをつけている。
キネ旬のインタビューで「姫様と出会って百姓たちが何も変わらないのはおかしい」と言っていたが、一体何を見ていたのだろう。この作品のラストでは、ついにこの二人には変化が見えたではないか。
それは本当にラストショットの、僅か一分程のシーンだが、その前までの138分間、何も学習していなかったかと思われたこの二人に、劇的な変化が訪れた。
こけぞ脚本の妙。
偉大な前人の名人芸に難癖をつける前に、何故いまだに語り継がれている傑作と成り得たかを、何度も何度も観て勉強してから、出直してほしい。

そして、これが正しい「裏切り御免」の使い方。
「人のいのちぃはぁ〜、火と燃やせ〜、いえいっ!」
雪姫に感化されたか「裏切り御免!」
こちらはとても爽快感がある裏切りだ。
こうでなくてはいけない。

爆薬なんか使わなくても、迫力ある映像は撮れる。
冒頭、金掘りをさせられていた人々が、山名の銃撃に次々と倒れながらも、砂煙を上げながら石段を下るシーンの見応えのあること。
六郎太が、敵の馬を追撃するシーンや、助けた女を片手を取って、馬に乗せるシーンにも力がこもる。

これを傑作と言わずに、今の日本映画は語れない

 

14人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • 本物は白黒だが色彩を感じさせる

    2008/6/2 21:10 by 青島等

    > 『隠し砦の三悪人』は、黒澤明監督作を言うのであって、最近のリメイクの邦題…

    のびたさん、オリジナル版を観てくださったのですね。
    私はリメイクを「隠し芸大会のTHE LAST PRINCESS」と呼んでいます。

    > 黒澤明を中心とした4人の名脚本家が知恵を絞って作り上げた脚本に…

    ≪追っ手≫と≪逃げ手≫の二組に分かれて脚本を練ったという説と黒澤が三人に無理難題を与えて作ったという説があり更に奇抜なアイディアを競わせて最高の物を採用したとも言われています。

    六郎太が太平と又七に与える試練、急勾配で足場の悪い山登りや穴掘りが後半に生きていますね。

    三船が危険なスタントを自ら演じた騎馬追撃シーンもマルチカム(マルチカメラ方式=複数のカメラで同時撮影)で撮ってあの迫力を出しており劇場ではあのシーンで毎回客席から歓声があがりました。

    武士道精神というより騎士道的な正々堂々とした一対一の槍試合では山名の家紋いり幔幕(まんまく)をお互いに槍でい破いてしまい、まるでスクリーンを破って客席に向ってくるような立体感がありました。
    この幔幕は白黒映画なのに鮮烈な紫色を感じました。

    >「人のいのちぃはぁ〜、火と燃やせ〜、いえいっ!」

    ≪火祭り≫は百姓たちの豊作祈願であり、この詩は人間の生命の尊さを意味しており、決してナンパ目的のキャンプファイヤーではありません。
    中盤で如何わしい木賃宿に身売りされた百姓娘を雪姫が救う場面で六郎太に“姫の心までオシにする気か!”というシーンの駄目押しになっていて、敵領土である山名の百姓たちと楽しく踊る雪姫の成長を見事に描いています。
    また、日劇ダンシングチームによる火を廻っての踊りはシネマスコープ画面の左右の開放感という特製を生かしており、中央の火は天に向って燃えるために上下の広がりすら感じさせます。
    追伸:雪姫の秋月の紋章入り櫛にも朱色が見えました。

  • はい、観ましたとも

    2008/6/3 20:58 by 出木杉のびた

    夢寝由来さん、こんばんは。

    >私はリメイクを「隠し芸大会のTHE LAST PRINCESS」と呼んでいます。

    ↑これ、傑作ですね。僕も使わせて下さい。

    オリジナルを観るのは、これで何回目でしょうか。口直しのつもりで再見させていただきましたが、うまいし、面白いとしか言いようがありません。
    黒澤作品で観ていないのは『赤ひげ』だけです。これもビデオはありますので、いつでも観られるのですが、勿体ぶってなかなか観ていません。
    いずれそのうち鑑賞したいと思っています。

    >三船が危険なスタントを自ら演じた騎馬追撃シーンもマルチカム(マルチカメラ方式=複数のカメラで同時撮影)で撮ってあの迫力を出しており劇場ではあのシーンで毎回客席から歓声があがりました。

    そうですか、マルチカムですか。それであの迫力なんですね。編集作業もさぞかし頭を捻って作り上げたんでしょうね。

    >“姫の心までオシにする気か!”

    このセリフには僕もしびれました。
    民を思う姫様のお気持ちに、胸打たれました。
    また、楽しそうに踊るシーンも見事です。

    旅の終わりに姫もちゃんと成長しているのですね。僕には今までその視点が抜けていました。

    夢寝由来さん、ありがとうございます。

満足度データ

隠し砦の三悪人
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採点者数
137人
レビュー者数
43
満足度平均
79
レビュー者満足度平均
83
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観たい人
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