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映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > ベニスに死す > 感想・評価 > 地中海の風

地中海の風

80点 2004/9/10 10:44 by アキラ

この作品がなければヴィスコンティはただの
映画ごっこ好きな浪費家のクソブルジョワだ。
これだけは明らかに一流の力を持っている。

原作でさえ言葉では表し切れなかった劣情が
まるで妖気の様に漂う恐ろしい映像だ。
常識的にこの原作のエピソードを並べれば
30分のドラマにも足りない位であるにも拘らず
2時間に渡ってじっくり見せ、しかも
その中身は決してスカスカにはなっていない。
むしろ体感時間は30分足らずだ。
このタイムワープ、傑作のみが成せる業です。

憧れという感情。地中海の狂気の風が迫ります。
見ているこっちは正気でいられるだろうか。
まるで満たされない欲望の世界へ
放り出されたかのようなエキセントリックな空間。
是非是非、体験してみて下さい。

 

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  • ↑注釈

    2004/9/10 11:00 by アキラ

    正確には地中海から入り組んだアドリア海ですが
    ガウディの作品を見た時に覚える様な妖気を
    感じたので、あえて地中海としました。

  • レジスタンス活動家として...

    2004/9/16 0:10 by 未登録ユーザ レクター博士

    アキラさま。

    > この作品がなければヴィスコンティはただの
    > 映画ごっこ好きな浪費家のクソブルジョワだ。

    第二次大戦末期、銃殺寸前で救われたのです、彼は。
    レジスタンス活動をしていたからです。
    1976年(と記憶してますが間違いかも)の死去後、
    ミラノ市内(だと思います)の壁面にビラが貼られました。
    「レジスタンスの闘志として活動した彼の業績を我々は忘れない」と...。
    もちろん、銃を手にした訳では無いと思いますが、活動拠点
    として彼の住居(というか戦後も7箇所有ったヴィスコンティ家の城)
    にレジスタンス闘士を匿ったのです。
    「浪費家のクソブルジョワ」なんかではありません。

    連合軍の解放が遅れていたら、彼は銃殺され、「ベニスに死す」は
    この世に存在しなかったのです。

    >これだけは明らかに一流の力を持っている。
    私は「山猫」がベストだと思っています。彼の出自絡みで。
    もちろん、「ベニス〜」と双璧です。

    「映画感覚」や「意見」はここでは尊重すべきですが、
    「無知」は別です。
    「映画の至宝」たる「ヴィスコンティ」です。
    全方位で調べてからのご意見、ヨロシク!!!

  • 補足しますと

    2004/9/16 10:54 by アキラ

    当時のイタリアにはまだ王制がありました。
    テロリストムッソリーニが捕まるまでの間
    保守派の市民を守るのは貴族の務めでした。

    イタリアの場合どっちがレジスタンスか微妙ですね。
    ナチス統治が始まってからの事に関しては
    戦後のアメリカに歪められた情報しかないので
    当然、反ナチスはヒーロー扱いですけど。

    >これだけは明らかに一流の力を持っている。

    これはちょっと表現を間違えました。
    「誰にでも解る力を持っている」と言った方が適当ですね。

  • もうひとつ補足しますと

    2004/9/16 13:33 by アキラ

    私の知人が彼の親類から聞いてきた話によりますと
    7つの豪邸は全て彼の代で抵当に入っています。
    莫大だった遺産も同じく、全て売り払っても
    日本円にして数億の負債を抱えたまま亡くなったとか。
    待機時のスタッフの人件費、セット、小道具のレンタル料
    湯水の様に使っていたと聞きました。羨ましい限りです。

  • 補足の補足、になれば...

    2004/9/16 22:14 by 未登録ユーザ レクター博士

    アキラさま。

    をを! 抵当の件、知りませんでした。さもありなん。
    すごいニュース・ソースをお持ちですね。

    ドロンだったか、ヘルムート・バーガーだったか、ヴィスコンティが
    7つの城の内の一つを彼に与えた、と記憶してますが如何に!

    >「誰にでも解る力を持っている」と言った方が適当ですね。
    「ベニス〜」はどれだけ正確に理解されているのでしょう。
    このカキコを見ている方々へ。
    過去のレスを参照して頂ければ、その一助になるかと(^-^;)。
    えっ!? お前は分かっとらんって?
    スミマセーン!

  • Re: ちんぷんかんぷん

    2004/9/18 14:31 by ekoeko

    私は、ヴィスコンティって、ちんぷんかんぷんなんです。
    好きなのは『夏の嵐』だけ。
    くやしいなぁ〜。

  • 古典はお宝。

    2004/9/19 23:12 by 未登録ユーザ レクター博士

    ekoekoさま。

    >私は、ヴィスコンティって、ちんぷんかんぷんなんです。
    好きなのは『夏の嵐』だけ。
    いいえ、十分にヴィスコンティを味わう資質をお持ちです。
    古典を味わうには、或る種の「格闘」が必要です。
    諦めてはいけません。
    今日まで残るのは、意味が有ります。
    映画好きな友人、先輩に聞いて下さい。

    ヴィスコンティを堪能する喜びは特別です。
    かの映画評論家、故淀川長治先生は、若い映画ファンに、
    観ていない「ヴィスコンティの映画』の『数」だけ、
    「素晴らしい映画体験が出来る」と仰っていました。
    映画に限らず、オペラ、歌舞伎、文楽、落語、バレエ、日本舞踊
    など、味わい尽くせない数々の「地平線」が存在します。
    映画は、その集大成であり、上記の古典への入り口、なんです。

  • 『栄光の日々』

    2004/10/9 19:24 by アキラ

    レクター博士さま

    『ファニーとアレクサンドル』『スタートレック』等、
    数々のトリビアありがとうございます。数々の名作を
    リアルタイムで体感しての見解、楽しく拝見しております。
    ついでといっては何ですが本日ヴィスコンティ特集にて
    『栄光の日々』を見て来ましたので、失礼ながら
    その感想をここに書かせていただきます。

    『山猫』のリマスター版をビデオで見て以来、3年ぶりの
    ヴィスコンティ体験でしたが予想以上に楽しめました。
    ご存知の通り、この作品はナチス統治下のイタリアでの
    パルチザンの活躍を追ったドキュメントです。
    意外な事に、さりげなく再現映像が混ざっていたり
    煽り立てるような口調のナレーションで挑発したりと
    文法的にはネオレアレズモと言うよりはプロパガンダ風の
    語り口でした。ジョンフォードの『真珠湾攻撃』や
    レニリーフェンシュタールの『意志の勝利』や
    ルイスブニュエルの『糧なき土地』を思わせました。

    小川伸介の三里塚シリーズに『第2砦の人々』という
    ドキュメントがあります。闘争の中に描かれる微妙な関係。
    座り込む農民。立ち退きを迫る公団。農民を守るという
    大義名分の下、体制への抵抗を美徳として暴れる青年行動隊。
    彼らを取り締まるために集まる機動隊。この4者の中で
    カメラの興味は青年行動隊から農民へと移ってゆきます。
    最も切実なのが農民なので、当然と言えば当然でしょうが
    この行動は今でもジャーナリスト達のお手本になっています。

    これより更に36年前に作られたこの作品ですが
    立派な事に、パルチザンの行動を軸に見せながらも
    実は根底には一般市民の冷静な働きを描いています。
    小川ドキュメントの精神に通じるものを感じました。
    裁判長を襲う暴徒をなだめ、秩序の混乱を防ぐ冷静な国民。
    貴族という政府に近い立場にあったヴィスコンティ自身も
    彼ら同様、冷静に事の動向を見つめていたのでしょう。
    山にこもりドイツ兵を襲うパルチザンだけでなく
    善良なるイタリア国民こそが真のレジスタンスだった
    と受け取りました。なかなか良い作品です。

    ちなみに同時上映で『ボカッチオ'70』の一篇『前金』も
    見ました。こちらは実に洗練されたドラマです。
    世間体を守るために打算的に行動する夫の愛を試す妻。
    傍目にはとてもカワイイ行動。ラストの表情が絶妙です。

    ついでに『ベニスに死す』ですが、私としては
    リルケ、ヘッセ同様にトーマスマンも実存主義文学の
    延長線として捉えています。サルトルの戯曲や小説上の
    デカタンスに近い劣情の表現を試みているのだと思います。
    その肌触りをこの映画には原作より強く感じました。
    ヴィスコンティは体験した本人であるはずの
    原作者より鋭い感性を持っていたかのように見えます。

    そして、貴族社会の終焉を悟った彼は映画という形で
    先祖代々が搾取してきた遺産を一般庶民に還元していた
    ように思えます。その中で確実に万人の心に残り得るのが
    この作品ではないでしょうか。学がなくてもこの作品の
    妖気だけは誰にでも感じ取れると思います。しかし、
    正確な事実は解りません。ヴィスコンティのみぞ知るです。
    この作品に関してここに書いたのは、
    あくまでも作品を見る限りの推論です。

    長文にてすみません。まだ頭が整理できていないようです。

  • 横入り失礼m(_ _)m

    2004/10/10 2:33 by 未登録ユーザ 素子様命

    このレベルの高いやりとりに参入するのは勇気が入りますが、
    「我が3本」からずり落ちたことのないこの作品について、
    ウズウズと語りたくなってしまいました。

    アキラさんはこの作品から「妖気」と「劣情」を感じ取られるのですね。
    もちろんそういう側面もビンビンに感じとってはいるのですが
    (いやもう、少年が妖気そのものだ)、
    私はもう少し宗教的なものを感じております。
    「神の恩寵と人間」とでも言うか...

    老いた作曲家は曲が作れなくなっています。
    そう、神のくだされた「美を作り出す芸術的才能」
    という恩寵が枯れたわけです。
    他人はなんといおうと、
    本人はもう「神に愛されなくなった自分」を自覚していたでしょう。

    そこに現れるのは、世阿弥言うところの「時分の花」をあでやかに咲かせた、
    神の恩寵を今一身に受ける少年です。
    しかも、作曲家はおそらく神の恩寵を
    血のにじむような努力でやっと受けたのに対し、
    この少年は「存在自体が愛されて」います。

    作曲家が必至の思いで作り上げようとした「美」を
    存在しているだけで体現する少年。
    失った神の愛を一身に受ける少年。
    彼が少年に声すらかけられないのは、
    それが自らが追い求めてきた、
    「神聖なるもの」がこの世に現出した姿だったからではないかと思います。
    自分からは永遠に失われてしまった「神の恩寵」への、
    愛惜と慟哭。
    少年のストーカーと化す彼に、
    私はそのようなものをビンビンに感じてしまいました。

    この少年への「神の愛」も永遠ではないだろうことを思うと、
    また一層この作品が悲しく美しく思えます。

  • Re:『栄光の日々』

    2004/10/10 2:34 by 未登録ユーザ レクター博士

    アキラさま。
    『栄光の日々』は未見です。しかし、ドキュメンタリー映画
    まで射程内におさめていらっしゃるとは!
    私はドキュメンタリー映画に関しては、全くの門外漢ですので、
    語る資格は有りません。コメントは控えさせて頂きます。

    「ヴィスコンティの肖像」というビデオで彼の生涯や、
    過去の作品の紹介、イタリア本国のTVで放映されたと
    思われる様々な映像の中に、『栄光の日々』の一部か、
    と思われるシーンが有りました。違うかも(^-^)。
    本物の「銃殺刑」で、脳が飛び出る所、とか...。

    「タッジオを求めて」も有ります。「ベニスに死す」の
    タッジオ役をオーディションするドキュメンタリー映画です。
    これもトリビア?

    ヴィスコンティ特集の映画祭、行けるかどうか(^-^;)。
    >『ボカッチオ'70』。
    ああ、ロミー・シュナイダーですよね。
    他にも日本未公開のTV作品が上映されると。
    せめて、大好きな「山猫」だけでも、と思います...。

  • 「時分の花」論に納得

    2004/10/10 3:16 by 未登録ユーザ レクター博士

    素子様命さま。
    >老いた作曲家は曲が作れなくなっています。
    >神のくだされた「美を作り出す芸術的才能」が枯れた..
    >「神に愛されなくなった自分」を自覚していたでしょう。
    >そこに現れるのは、世阿弥言うところの「時分の花」...
    >神の恩寵を今一身に受ける少年です。

    歌舞伎ファンとして「時分の花」は、目に鱗です。
    タッジオが「美」の化身、とは思いましたが、
    グスタフが「神に愛されなくなった自分」と思っていたなどと、
    考えもしませんでした。

    >「神聖なるもの」がこの世に現出した姿...
    「神に愛されし者」「神の寵児」= アマデウス。
    タッジオの存在、意味がくっきりと理解出来ました。

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