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李香蘭の歌声

80点 2010/8/22 20:36 by 出木杉のびた

谷口千吉監督と共に、黒澤明も脚本を書いている。黒澤作品『わが青春に悔いなし』の原節子は、当時の女性としてはかなり積極的に行動する役柄だった。本作の山口淑子演じる春美も、軍人である男が圧倒されるくらいに、猛烈なアタックをしかける。恋するお相手、三上上等兵役には、池部良。良い男だ。

中国での戦線に連れて行かれた慰安歌手の女性の一人、春美と、彼女たちの面倒をみるように命令された三上。三上は副官の世話係でもあった。この副官が立場を利用して、とにかくやることが嫌らしい。演じているのが小沢栄太郎なので、ますます嫌らしい。僕は何本か小沢栄太郎の出演作品を観ているが、大体こんな役ばかりだ。まさにはまり役。春美を自分の女にしようと、あれこれ手を出してくるのだ。

その副官の魔の手から、機転を効かせて救ったのが三上であり、その前にも銃撃から春美を守ったこともあり、春美はすっかり三上にお熱なのだ。戦争の真っただ中である今、三上もいつ命を落とすか分からない。春美は思いを遂げたくて、必死なのだ。

ところが三上は、かなりストイックであり、表向きはとにかく副官に使えることを最優先してしまうので、春美も観客も相当焦らされることになる。

この映画の目的は、反戦である。敵は中国ではなく、あくまでも日本軍の身内にいる。敵は副官だ。最後に至るまで。軍の上層部の人間こそ、諸悪の根源だと言っているように感じられる。酒場で騒ぎまくっている日本軍人たちもまた、戦争の被害者なのだ。

中国軍に捕まってしまった三上は、その捕虜という立場に耐えきれない。脱走するか、死ぬか。中国側の軍医や将校は、日本軍の上層部よりも、人格者として描かれている。

それに引き換え、三上に対する、いや兵隊全体に対する日本軍上層部の態度は、人間を消耗品としか扱っていないようだ。

三上と春美に対しては、他の軍人たちと同じ思いで、観客も画面を見詰めていたことだろう。そんな二人の前に立ちはだかるのは、やはり副官だ。

暁の脱走とは、日本軍を象徴する、日の丸からの脱走ではなかったかと、感じた。

 

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満足度データ

暁の脱走
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採点者数
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80
レビュー者満足度平均
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