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モルモット吉田、宇野維正、門間雄介がたっぷり語る!

第39回 PFF(ぴあフィルムフェスティバル)特集

『第39回 PFF』 9月16日(土)〜9月29日(金)(月曜休館)
東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催!

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1977年から続く“発見映画祭”が今年も開催!

“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに1977年にスタートし、今年で39回目を迎える“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”。世界最大級の自主映画コンペティション部門「PFFアワード」では、今年は多彩な入選作品17本が上映される。また動画配信サイト「青山シアター」でも、オンラインでアワード作品を視聴可能。映画祭期間中の9月23日(土)より同時配信がスタートする。

その他にも、“長い映画”を紹介する「映画の闘い/闘いの映画」をはじめ、映画の世界にどっぷりと浸れる企画が用意されている。

ぴあ映画生活ではそんな魅力満載のPFFの見どころをご紹介。アワード入選作品を観たライター陣による貴重なコメントが満載の“映画のプロに聞いた!「PFFアワード2017」”も必見です!

映画のプロに聞いた!
「PFFアワード2017」
「映画の闘い/闘いの映画」ほか特集企画 アワード作品をオンライン
で配信!「青山シアター」

映画のプロに聞いた! 「PFFアワード2017」

モルモット吉田
(映画評論家)
宇野維正
(映画・音楽ジャーナリスト)
門間雄介
(編集者/ライター)

映画のプロはPFFアワードをどう観る!?
モルモット吉田、宇野維正、門間雄介がたっぷり語る!

過去には黒沢清監督や矢口史靖監督などを輩出してきた歴史ある「PFFアワード」だが、まだ観たことがない人も多いはず。そこでぴあ映画生活編集部では、今年の入選作品17本の中からいくつかピックアップしたものを映画のプロの方々に観ていただき、インタビューを決行! 「自主映画の魅力って?」「PFFアワードってどんな風に楽しめばいいの?」などなど、気になる疑問をぶつけてみました。自主映画を作る人にも観る人にも、ためになる貴重な話が満載です。

当日券のみ 一般1,000円/ぴあ割引800円
PFFアワード2017入選作品の詳細はこちら

自主映画を楽しむためには画一的な見方をしないこと
モルモット吉田(映画評論家)

『ブンデスリーガ』太田達成監督 『春みたいだ』シガヤダイスケ監督 『わたしたちの家』清原惟監督

――廃校となった母校で卓球プロリーグを目指す『ブンデスリーガ』、男性同士の恋愛を描く『春みたいだ』、ひとつの家の中のふたつの世界を描いた『わたしたちの家』の3作品を観ていただきましたが、率直な感想を教えて下さい。
自主映画やインディーズ系映画の傾向として、ドラマとしての完成度の高さが評価される部分もあれば、一方で商業映画にないような自主映画独自の魅力、映画としては多少破綻していたり、乱暴な部分があったりしても、それこそが魅力になる面もあります。完成度で言えば、特にデジタルの時代になってから、画や音の作りも含めて、クオリティの高い作品が増えていると思います。昨年のPFFアワードで準グランプリを受賞した岩切一空監督の『花に嵐』(2017年)は「上手すぎる」という批判もあって、それは逆に褒め言葉だなと思いました。上手いけれども、それでも自主映画でしかできないような“ひっかかる部分”をちゃんと作っていて、とても刺激的な作品でした。今回観た3本も、自主映画の中でしか作れない作品という意味で、非常に面白かったですね。

――特に印象に残ったところは?
『ブンデスリーガ』は16mmフィルムで撮っていますよね。(仕上げはデジタル)おそらくそんなにフィルムを回し放題にできるわけではないと思うので、撮るべきものを厳選してこれぞというものを撮った緊張感が画面を引き締めたものにしています。それから空間の描き方が突出していますね。最初の校舎の中にいる主人公と外にいる友人が、外と内で共に歩きはじめて、カメラも廊下を一緒に移動していく。途中、窓を開けたところで外と中の空間が一部繋がって、そのまま廊下を歩いて行くと体育館に入って2人が一緒になるシーンなんて、内容としては何でもないんですけど、空間を持続させていく感覚に驚かされるので見入ってしまいますね。この映画は、学校とその周辺だけで、様々な空間を切り取っていますが、その切り取り方がすごく良くて、豊かな画面が次々出て来るので飽きさせないですね。
『春みたいだ』は光線の使い方がすごくよかったです。逆光や室内灯が効果的に使われているし、差し込む光が丁寧に映されていますね。それから色の配置もいいですね。緑の机があって、黄色のベッドシーツがあって、赤い毛布に黄色い枕が並んでいるのがフレームの中に同時に収まっていると、はっとさせる鮮やかさがあります。こういう繊細な画面を作る作品は、出てくる人々も同じように繊細に描き出していますね。
『わたしたちの家』は内容からして監督の空間を把握する感覚がないと図式的になってしまいますが、同じ家の中の同じ空間に重なり合う別のレイヤーが、とても心地よく描かれていますね。古い家だと妙な音がしたり、人の気配を感じたりする経験があったりしますが、そういう感覚が見事に映像になっている。
今回見せていただいた3本は、空間や光、色などに意識的な作品ばかりで、見ていてとても心地よかったです。最近はデジタル撮影なので、とりあえず一通り色んなアングルから撮ってさえおけばスムーズにつながる。それにカメラの性能もあがって無造作に撮ってもプロと同じぐらい綺麗に撮れるだけに、そういった作品が増える中で光や空間を繊細に撮った作品は突出して見えます。

――吉田さんにはこれまでにも何度かPFFに来ていただいていますが、最近印象に残っている作品や監督はいますか?
『Her Res〜出会いをめぐる三分間の試問3本立て〜』の山戸結希監督ですね。映画を発見しながら撮っている感じがして、映画の中で映画が成長していくようで、観ていて面白かったです。ぼくは大阪芸術大学の映像学科だったんですが、入学した年にPFFで熊切和嘉監督の『鬼畜大宴会』(1997年)が入選して。そこから卒業制作作品はPFFで賞をとって、劇場公開までもっていく、という流れをみんな意識するようになりましたね。

――大阪芸大といえば橋口亮輔監督や石井裕也監督もいらっしゃいますね。
そういえば、今回観た『春みたいだ』は橋口亮輔監督のPFFスカラシップ作品『二十才の微熱』(1992年)みたいでしたね。内容がというより、90年代前半ぐらいまでの自主映画の匂いがして。水とか雨とかの見せ方もとても繊細で、登場人物に寄り添った作りになっていましたね。

――自主映画の楽しみ方を教えて下さい。
映画とはこういうものだと画一的な見方をしないことですね。自主映画の中でも商業映画を凌駕するようなクオリティの高い作品もあれば、園子温監督や平野勝之監督が80年代のPFFでヴァンダリズムと評されたような、映画を破壊しようとする破天荒な作品もあります。両方を同じ視点で見てしまうと、片方は普通の映画に近いから良くて、もう片方は自分の考える映画のフォーマットから外れているので最初からダメと思ってしまう。そうじゃなくて、1本1本柔軟に見方を変えていきながら見ていくと、自分のひっかかる部分が出てくると思います。

最近、ぼくはYouTuberに期待しています。園監督や平野監督がやっていた80年代のヴァンダリズム系の映画は減っていましたが、継承するのはYouTuberなんじゃないかなと。やっていることは基本変わらないんですよね。 映像系の専門学校で教えてる知り合いには、ついに今年からYouTuber志望者が入ってきたと聞きました。彼らの動画を見ると、スマホを自分に向けながら歩いて喋ったり、ネタをやったりしてますよね。自分の心情を語り続けたりするのを、中学生や小学生までやって自分で編集してる。 今のところテレビのバラエティや既存のものの真似が多いけど、それも飽きられて独自の表現に昇華されていくのは時間の問題だと思います。YouTubeにアップしていた動画をPFFに送ってくるようになると、また自主映画の状況も変わってくるんじゃないでしょうか。

――PFFアワードを観るとき、どうやって作品を選んだらいいですか?
特集上映や映画祭で映画を見つけるときと同じで、タイトル、スチール写真、短いあらすじから、自分の直感を信じて“勘”で選ぶといいと思います。一発でアタリを見つけようなんて思わないで、何本も観ないと“自分のアタリ”は絶対見つからないんですよ。だから作り手も、掲載するスチール写真1枚から、あらすじ、タイトルも、見たくなるようなものをお願いしたいです。

――今回観ていただいた3本以外に、PFF入選作品の中で気になる作品はありますか? 直感で。 『さよなら、ごくろうさん』『赤色彗星倶楽部』『うつらうつら』あたりかな。あっ、『沈没家族』はこのタイトルで見たくさせますね。

音楽への感度は大事! 自信がなければ優秀なブレインを味方につければいい
宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)

『うつらうつら』高橋カンナ監督 『赤色彗星倶楽部』武井佑吏監督 『沈没家族』加納土監督

――何気ない日常で抱く繊細な心情を切り取った『うつらうつら』、高校の天文学部を舞台にした青春ドラマ『赤色彗星倶楽部』、監督自身の体験を捉えたドキュメンタリー『沈没家族』の3作を観ていただきましたが、それぞれいかがでしたか?
一番印象的だったのは『うつらうつら』ですね。繊細な録音から伝わってくる音への感性と、引っかかりのある台詞から伝わってくる言葉への感性が明確な長所だなと。気になったのは、インディーズ映画ならではのクリシェ(ありふれた表現)みたいなものが散見されたことです。例えばアコギがポロンとなって、弾き語りっぽい女の子の歌が流れるっていう、いわゆる“ギター女子”的な表現に大切なところを頼ってしまう。これって日本のインディーズ映画の不思議な風土で、せっかく独自の感性を持っているのに、そういう風土に影響されてしまっているのはもったいないなって思います。他にも、例えばお風呂に顔をつけたりとかっていう表現は色んな映画で観たことがありますね。なのでこの作品は、明確な長所とインディーズ的なクリシェが共存している映画だと思います。ただこの監督はかなり映画を勉強されている感じがする。“習作”としてこういう段階を踏むのはいいことですね。あとは作家性が強いので自身の世界を広げていく監督になると思います。今作はその原石的な作品ですね。

『赤色彗星倶楽部』相米慎二監督『台風クラブ』(1985年)とかから連なる、すごくドメスティックな、日本の良いインディーズ映画の末裔、といった印象ですね。あと、女優がすごく良い。女優さん自体も良いですが、女優をきれいに撮れています。女優をきれいに撮れるかどうかは監督にとってものすごく重要。特に日本で商業映画を撮る場合においてはとても重要なポイントです。気になったのは編集、カット割りです。ミュージック・ビデオ監督のようなせわしないカット割りが作品のテーマに合っていないんじゃないかなと。自分はMTV世代ですが、YouTubeのインフラ化以降、また若い世代にとってミュージック・ビデオって映像体験や映像制作の入り口になっているわけですが、そういう意味でも、日本のインディーズ映画的なテーマと最近のミュージック・ビデオの手法とが合わさった映画だなという気がしました。

『沈没家族』については私小説的すぎる印象はありましたが、世界に持っていって一番評価を得るのはこの作品かもしれないですね。ドキュメンタリー映画って、海外ではマイケル・ムーア監督以降マーケットが確立されて、今ではNetflixなどのストリーミングサービスのおかげもあってすごくニーズも増えてますよね。これからさらに世界的に求められている有望なジャンルなのに、日本ではいまだに私小説的なドキュメンタリーが主流で。単純に思うのは、すごく簡単に観れるようになったんだから、日本のドキュメンタリー映画の作り手ももっと世界中の作品を観ようよって(笑)。この作品もとても私小説的な内容なので、作品単体での評価は別として、この監督が次に何を撮りたいのかが見えづらくてちょっと困惑しました。あと、これは一般論ですが、日本のドキュメンンタリー映画の作り手は真面目過ぎるなと思っていて。色気やケレン味やユーモアをもっと持ち込んでもいいんじゃないかと。そういう意味では、『沈没家族』はそこで描かれている世界の語られていない部分にすごく興味を引かれましたね。人間の怖さ、業のようなものが作品の背景に存在していて、ちゃんと「何これ?」って思わせてくれる題材でしたね。

――音楽ジャーナリストでもある宇野さんならではの視点でコメントをお願いします。
他との差をつけるという意味で、劇伴や音楽ってすごく大きなポイントだと思います。『うつらうつら』にも言えますが、独自性を出したいなら、よくありがちなアコギの劇伴から逃げたほうがいい。それって、日本以外では90年代のインディーズ映画っぽい表現で、日本だけ何故かそこで止まっている。今はそんなにコストをかけずに音楽は作れますし、オーケストラである必要もない。エレクトロニック系全般の音楽に視野を広げたり、音楽に詳しい友達からアドバイスを求めたりして、新鮮なサウンドを探した方がいいです。例えばデイミアン・チャゼルエドガー・ライトなど若手の監督が注目を集めたきっかけも、音楽の使い方でしたよね。もっと前のタランティーノとかもそうですが、監督本人が音楽に造詣が深いだけじゃなくて、必ず近くに音楽に関する優秀なブレインがいるんです。優れた選曲家や作曲家と共犯関係を作ることって、監督にとってすごく重要なことです。編集のセンスはどれだけ意識的に映画を観てきたかの蓄積だからそう簡単には変わらないですけど、音楽のセンスは優秀な人間をひとりつければ一気に変わるわけですから。

――自主映画監督にアドバイスを。
わかりやすいことを恥じる必要はないんだよ、と言いたいですね。映画が好きな人って、テレビドラマのカウンター的意識を持っている人が多いと思うんです。ほとんどの日本のテレビドラマは全部セリフで説明しますよね。確かにそれはリテラシーの低い人に合わせた表現で、映画好きな若い人が嫌うというのはわかる。ただそれを意識するあまり、あまりにもアンチ説明的になってしまっている。最近の海外ドラマはすごくわかりやすいけれど、説明的なセリフを使っているわけじゃなく、的確にものを見せていき、編集でつないでいく、監督の上手さの見せ所こそが作品の「わかりやすさ」なんです。よっぽど天才的な何かがない限り、「わかりやすさ」に無頓着な作品は、単純に下手な作品だと自分は思ってしまいます。

それと今回の3本すべてに言えることですが、やっぱりどの作品も私小説性が強いと思いました。制作に他者を巻き込み、他者に見せる以上、映画というのは社会的なものです。そして、世界的にも社会性のない映画って、ますます誰からも求められていない時代になっています。例えば最近はホラーやアクションのようなジャンル・ムービーでも、そこに人種問題や女性の権利問題を絡めたりするのが当たり前のことになってます。これからの時代はますます、自分自身に対してだけでなく、社会に対しての強い関心がないと映画は作れないと思います。

あと、引きのあるタイトルの作品が少ないのが気になりますね。自主映画の作り手は、自分が無名であることにもっと自覚的になった方がいいと思います。編集者の存在も大きいんでしょうけど、若い作家とかはそのあたりとても意識的です。『桐島、部活やめるってよ』にしても『君の膵臓をたべたい』にしても、タイトルに引っかかりのある最近の日本映画の多くが小説の映画化作品であることは偶然じゃない。今回のアワード作品の中だったら、『赤色彗星倶楽部』は「おっ!」て思ったし、『ブンデスリーガ』も「えっ?」って思いましたね。いい映画を作ることはすごく大変なことだけど、その中で音楽やタイトルは作り手の意識一つで変えられる部分で、それによって絶大な効果をもららす可能性がある。それだけに、もっと気をつかった方がいいと思います。

PFFアワードは観る側の“鑑賞力”も試される場
門間雄介(編集者/ライター)

『あみこ』山中瑶子監督 『風船』中尾広道監督 『情操家族』竹林宏之監督

――アニメと実写で描かれた『風船』、真面目な教師を主人公に新しい形の家族を描いた『情操家族』、女子高生ヒロインのキャラクターが炸裂する『あみこ』を観ていただきました。
今回の作品は芸術的、実験的、エンタテインメント的というバランス良い3本でした。『情操家族』はプロの役者を使っていて、一番商業映画らしく思える作品です。監督はこの作品で、実験的なことをしたかったんじゃないかと思いました。一見すると展開を予想させるところがあるけれど、絶対にそこにはたどり着かない。そんな受け手のイメージを利用して、そうではないものをいかに作るかっていうことを、実験的に取組んでいる。でもその実験は必ずしも成功しているわけではない。完成までの途中の段階ですね。

ぼくは映画を観るときに、“作り手が何を作ろうと思ったか”、“それをどう表現したか”、“実際にどう伝わってきたか”の3点を重視して観ています。『情操家族』は、何を作ろうと思ったかという点で、何か並々ならぬものを撮りたいという意図がすごく感じられました。でもそれをどう表現するか、どう伝わるかというところは、ちょっと詰めきれていないなと。だから心を揺さぶられるというよりも、頭で理解するような映画になっていると思いました。

『風船』は非常に素晴らしく、観ていてテンションが上がりました。30分くらいの長さでこれだけ豊かな表現ができるんだなと。実写映画と絵本を融合したようなタッチで、一見淡々と穏やかに見えるんだけど、その裏に隠された監督の意図はすごく尖って鋭いなと思いました。その意図をどう表現しようとしたかというスタイルの面白さもあり、心を揺さぶられました。それに現代的な映画にもなっていると思います。顕微鏡を覗くと、それまで見えていたありふれた何かが違う何かに変貌していくっていう、AR(拡張現実)的な、現代的な想像力の延長線上につながっている。違う世界に連れて行かれるような感覚になる。ストーリーを伝える作品ではありませんが、観客を誘うためには、起承転結が必要なわけでもなく、時間も関係ないんだなと実感しました。

この監督は入選監督の中で一番年上なんですね。何を作りたいかという部分は、その歳の数だけ熟成されたのかもしれないですね。30分の長さですし、作品の性格的にも劇場ではなかなか出会えない作品ですが、今回出会えて良かったです。

『あみこ』はエンタテインメントですね。冒頭、オープニングタイトルのところまでですごく期待が高まりました。監督の映画的IQの高さを随所に感じたりして、センスの良い監督なんじゃないかと。キャラクターの面白みも感じました。お客さんは好きな人が多いんじゃないかな。一方で、女子の思い込みが暴走していく話ってわりとありふれていて、何を作りたかったかという点で突出した個性を感じない。共通の文脈を持たないような人に対して、もっと分かってもらおうとする表現もあってほしいなと。この映画は女性監督が撮っていますが、映画というフィールドの中で、男性監督とはまったく違う表現を女性監督が確立していく可能性はあるんじゃないかと思っています。PFFのような場でアピールするためには、もっと何かひとつでも突出させて、磨き上げていかないと埋もれていってしまいます。

――他にはない、その人だからこその魅力を磨き上げてほしいですね。
そう意味で言うとやっぱりタイトルも大事ですね。お客さんに選ばれることになるわけだから。センスが問われるところです。タイトルで判断して観に行くのは選び方として正しいと思います。『うつらうつら』『春みたいだ』はタイトルに主張がありますね。この中では明らかに違うものに見えます。主張しすぎるのが恥ずかしいという人もいるかもしれませんが、お客さんが勝手に感じ取ってくれるのを待っていてはダメだと思います。タイトルにしてもメイン画像選びにしてもそうです。PFFのような場ではちょっと過剰なくらいでもいいのかなと思います。

――PFFアワードってどんな場だと思いますか?
もちろん作り手の力試しの場でもありますが、観る側の“鑑賞力”を試される場でもあると思います。原石を発見したいと思って観に来る方も多いと思いますが、実はそこで、観る側も「ちゃんと分かってますか?」というようなことを問われている。しかも劇場公開作以上にシビアに。評価軸が確立されていない生のままのものを観るわけですから。ぼくは思わず背筋を伸ばして、プレッシャーを感じながら観ていました。

作り手側について言うと、こういったアワードって、名前も知られていない監督たちが、今まさに世に出て行こうとするその瞬間だと思うので、きっとその監督の中にある一番極端なものを出したほうが、何かを打ち破りやすいのかなと思います。あと自主映画って稚拙と感じてしまう部分は多いと思いますが、稚拙さも味にもなり得るのでマイナスではない。その人らしさが十分に出た稚拙さだと味になると思うんです。

モルモット吉田
(映画評論家)

雑誌『映画秘宝』『キネマ旬報』『シナリオ』、web『リアルサウンド映画部』などで執筆。著書に『映画評論・入門!』(洋泉社)、共著に『園子温映画全研究』(洋泉社)『「シン・ゴジラ」をどう観るか』(河出書房新社)などがある。

宇野維正
(映画・音楽ジャーナリスト)

『リアルサウンド映画部』主筆。『GLOW』『装苑』『NAVI CARS』『文春オンライン』『Yahoo!個人』などで連載中。著書に『1998年の宇多田ヒカル』『くるりのこと』(新潮社)がある。

門間雄介
(編集者/ライター)

CUT元副編集長。雑誌『AERA』『BRUTUS』『CREA』『DIME』『ELLE』『Hanako』『Harper's BAZAAR』『POPEYE』、書籍『二階堂ふみ アダルト』『星野源 雑談集1』『伊坂幸太郎×山下敦弘 実験4号』ほか。

映画のプロに聞いた!
「PFFアワード2017」
「映画の闘い/闘いの映画」ほか特集企画 アワード作品をオンライン
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★第1回配信 9月4日(月)予定
★第2回配信 9月14日(木)予定

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