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『花筐/HANAGATAMI』公開記念

緊急特集 塚本晋也&手塚眞が熱烈応援!
大林宣彦監督と『花筐』を語ろう。

『花筐/HANAGATAMI』12月16日(土)有楽町スバル座ほか全国順次公開
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余命3カ月の宣告で死と向き合った撮影

大林宣彦監督待望の新作『花筐』が16日から全国公開される。『この空の花−長岡花火物語』『野のなななのか』に続く「戦争三部作」の最終章。クランクイン直前に肺がんで余命3ヶ月と宣言され、死と向き合いながらの撮影だった。映画は完成、公開前から高い評価を受けている。特に、試写を観た後輩映画監督たちからは「反戦思想と高度な映像表現が合致した今日的な作品」という声もあがっている。そんな、過去の大林作品の影響を受けてきた監督のなかで、戦争と向き合い、『野火』という問題作を作った塚本晋也監督、自主映画でファンタジーを作り続ける手塚眞監督のおふたりに、『花筐』を語ってもらった。緊急特集第一回は、“敗戦少年”大林宣彦と“戦無少年”塚本晋也の対話――。

【第一回】塚本晋也監督と語る!

“敗戦少年の映画史”と“新しい戦前派の戦争映画史”のジョイント

大林 2015年の夏以来ですね。

塚本 はい。シネマ尾道での『野火』先行上映のときに、トークショーにでていただきました。その節はありがとうございました。

大林 今回は、手塚眞君ともお話をするんだけれど。眞ちゃんと塚本さんというと、年齢でどのくらいの違いがあるの?

塚本 僕の方が確か数年上ですかね。日大の芸術学部にいた時に、手塚さんは下級生でいらっしゃいました。ですから4年の範囲の中には間違いなく入っていますね。

大林 じゃあ、ほぼ同世代ですね。僕が塚本さんを知ることになるのは、眞ちゃんよりもう少し後になってからかな。やっぱり、ぴあが縁でしたね。PFFに出品された『電柱小僧の冒険』(1988年)だっけ。あれを観まして、とんでもない、途方もない、作家が出てきたなと思った。しかもコマ撮りを使っている。当時コマ撮りを使っているのは、僕とあなただけなんだ。素晴らしいアマチュアの人だと思っていたら、いきなりプロになっちゃって。『鉄男』(1988年)ですよね。あれはもう、プロアマを超えて一人の作家としてね、国際的に認められた作品で、僕も仰天しましたけど。そういう不思議な出方をした人で。この人はずっと不思議な人なんですよ。自主映画というか、特殊な映画、非常にユニークな映画をずっと作り続けていますよね。それで、世界にも認められて、ヴェネツィアだっけ、国際映画祭の審査員までしていて。あれは、北野武さんが…。

塚本  『HANA−BI』でグランプリを取られたときですね。

大林 話題になりましたよね。でも塚本さんが、実はその審査員だったということは、あんまり日本で知る人はいないんですよね。僕は武さんが賞を獲るのもすごいことだけど、その審査員に塚本さんが入っていたことをどうしてもう少し取り上げないのかなと言ったら、“賞の価値が落ちるでしょう”って言われたの。これが日本のね、芸能界マスコミの悪いところなんですよ。実はそういう形で、塚本さんは国際的なところに構えていた大アマチュアでね。ということは、つまり、アマチュアであり、プロを超えて、ひとりの作家として存在してしまった。その塚本さんが、僕が“敗戦少年”として戦争を描いているときに、“戦前の作家”として『野火』をお撮りになった。ここで、“敗戦少年の映画史”と“新しい戦前派の戦争映画史”とが繋がっていくという、いいジョイントを起こしてくださったと思っているんです。

“3・11”で始まった敗戦後の日本の洗い直し

塚本 僕が作った『野火』は、戦場で若者がこんなひどい壊れ方をするという恐さを否が応でも見せて、戦争の恐ろしさを教えるという方法だったのですが、大林監督の『この空の花−長岡花火物語』『野のなななのか』、今回の『花筐』の“戦争三部作”には、死んでいく人と今この地上にいる人は地続きであるという感覚が共通してあります。戦争と人間を優しい、大きな目線で捉えていることに感銘をうけました。

大林 地続き、という解釈は嬉しいですね。戦争と平和というのはあろうことか、まさに地続きなのです。それをどう実感してもらうかが『花筐』の大きなテーマだった。僕は“余命三カ月”と宣告されて撮影を始めたから、当然、死んでいく人間と生きていく人間とのコミュニケーションをどうするかということが強くあったし、それを受け止める側の塚本さんが地続きで繋がっていると受け止めてくださったことに、“ああっ、繋がったな”、と。映画というのはやっぱり繋がるために作るのであってね。人はてんでんばらばらなんだけど、何かひとつの軸で繋がっていくとそこに共鳴や反省や感動や生きるということの意味を感じることができる。

塚本 大林監督の“反戦”というテーマは全作にあったと思いますが、最近の“戦争三部作”ではより強くなってきていますね。

大林 誰も言ってくれなかったけれどメジャー・デビュー作の『HOUSE ハウス』からテーマとしています。バブルのころは日本人が“平和難民”になっていたので、何を言っても受け止めてもらえませんでしたが、“3・11”以降、日本人が“日本人とは何であったか”ということを考え始めましたね。そして平和と地続きの戦争が近づいてきていることに気づき始めた。

塚本 確かに“3・11”以降、大林作品は変貌しました。僕もそれまではボーッとしていて、『野火』をいつかは作らなければいけないと思っていましたが、あの瞬間からすぐに作らないと間に合わないと思うようになりました。それは怒濤のような感覚でした。

大林 日本人がみんな皮膚感覚で切迫感を感じ始めましたね。今こそ自分が自分でなければいけないという思いにかられたんです。僕は、敗戦後をやり直すチャンスかもしれない、“3・11”こそ日本人の敗戦後の間違いを全部洗い戻せる、と。しかしそれが洗い直せず、おかしな戦争が近づいてきている状態になっていることが、今回の『花筐』に切羽詰まった形で表れていると思っています。そこに撮影直前に受けた“余命三カ月”宣告が火花を散らしている。

戦争が廊下の奥に立っている気配を伝えたかった『花筐』

塚本 僕は、戦争が露骨に近づいているのに世の中はあまり切迫感をもっていないということに焦りを感じて『野火』を作りました。

大林 塚本さんと尾道でトークしたときもお話したのですが、昭和初期に無季派(超季派)の俳人として活躍し“銃後俳句”と呼ばれる句を作った渡邊白泉の作に、『戦争が 廊下の奥に 立ってゐた』というのがあります。僕は『花筐』をそういう映画にしたいと思ったのです。廊下の奥に戦争がいつの間にか立っているぞ、今もう立っているぞ、と。その渡邊白泉には「戦場に手ゆき足ゆき胴ゆけり」という句もあって、戦場に人格ではなくて手が行って足が行って胴が行ったというのは、まさに『野火』でしょう。塚本さんの『野火』は戦争の痛ましさ、現実をしっかり描き切った作品だと思うし、その近づいてくる気配を撮ろうとしたのが『花筐』ですね。その二作品が相対的になっているのがとても嬉しいのです。

塚本 尾道でトークしたときもでましたね。僕は大岡昇平さんの原作を深く読みこんで映画化したつもりだったのですが、大林監督は、『野火』の全然違うところに深く目を向けてらした。具体的には、原作で「私はこれまで反省なく、草や木や動物を喰べていたが、それらは実は、死んだ人間よりも、喰べてはいけなかったのである。生きているからである。」と書かれている箇所が大事なんだと指摘されたのですが、僕はそこがピンと来なくて簡単に読み飛ばしていた。ところが大林監督は人間が人間を食べちゃいけないのと同じぐらい、自分たちは草花さえも食べちゃいけないと書いてあるところが大事なんだ、と。

大林 それはやっぱり飢餓で死にそうだという感覚は、本当に実感として体験しているかどうかなんですよ。それには想像力も必要ですけど、それを表現するのは体験ですからね。それを言えば、ぼくがガンにかかって良かったなと思っているのは、道を歩いていて草を踏まなくなりましたよ、いつの間にか。同じ命だよなあ、俺が踏んじゃかわいそうだ、“一緒に生きていこうぜ、草よ”、という感じでね。これは表現者としてはとてもいい感性を授かったなと思うんです。だから、それから自分の腕に蚊が止まっていても、“おい、元気で生きていけよな、血を分けた仲だからな”、というふうに語り合えるようになっちゃった。それは、僕がもう命が亡くなるということを実感したからなんです。だからそのように、自分が体験したこと、感じたことを噛みしめて、表現者としての感性として生かしていくと、自分のスケールを超えた世界が、自分の手の中から生まれることにも繋がると思うのです。もうそろそろ塚本監督も老いを感じる世代だから、それを大事に生かしていくと、戦前と戦後は繋がっている、結びついているということが分かってくると思う。だってね、世界中の映画というのがそうなんですもの。それを伝えることが映画に携わるものの責務だと思うんですよ。


プロフィール/大林宣彦監督

1938年、広島県尾道市生まれ。幼少の頃から映画を撮り始め、自主制作映画のパイオニア的存在となる。以後、CMディレクターとしてチャールズ・ブロンソン、ソフィア・ローレンなど海外スターを起用したCMを多数手がける。77年、『HOUSE ハウス』で商業映画デビューし、ブルーリボン新人賞を受賞。故郷・尾道で撮影した『転校生』(82)、『時をかける少女』(83)、『さびしんぼう』(85)の“尾道3部作”、『この空の花−長岡花火物語』(11)、『野のなななのか』(14)、『花筐/HANAGATAMI』(17)で“戦争三部作”を完成させる。


『花筐/HANAGATAMI』

大林宣彦監督が、檀一雄の純文学『花筐』を基に、1977年のデビュー作『HOUSE ハウス』より以前に書き上げていたという脚本を映画化した青春群像劇。大林監督にとっては、『この空の花』『野のなななのか』に続く“戦争3部作“の最終章となる。戦争の時代に生きた若者たちの姿を描く。窪塚俊介が主演を務め、満島真之介、矢作穂香、常盤貴子らが共演する。尾道三部作をはじめ数多くの“古里映画”を撮り続けてきた大林監督に、佐賀県唐津市が全面協力。ユネスコ無形文化遺産の祭り「唐津くんち」もカメラに収められている。


プロフィール/塚本晋也監督

1960年、東京都生まれ。日本大学芸術学部美術科を卒業後、『電柱小僧の冒険』(87)で、ぴあフィルムフェスティバルPFFグランプリを受賞。『鉄男』(89)がローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞、『六月の蛇』(02)がヴネチア映画祭コントロコレンテ部門の審査員特別大賞、『KOTOKO』(11)がオリゾンティ部門の作品賞にあたるオリゾンティ賞を受賞。『東京フィスト』(95)、『バレット・バレエ』(98)、『双生児』(99)、『ヴィタール』(04)など。『鉄男II BODY HAMMER』(92)、『鉄男 THE BULLET MAN』(09)、『悪夢探偵』シリーズ(06、08)など。

『野火』 (2015年)

1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を、塚本晋也が監督、脚本、製作、主演により再び映画化した作品。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島で、野戦病院を追われ、はてしない原野を彷徨うことになった日本軍兵士を描く。塚本監督は自ら主演した他、製作、撮影、編集なども担当。兵士役で、リリー・フランキー、中村達也、森優作らも出演。ロードショー公開終了後も、毎年夏には各地で上映会、アンコール上映が行われている。

塚本晋也監督の近況

最新作の時代劇、撮影を終え、2018年公開を目指して仕上げ中。12月2日には、福岡の小倉昭和館で、ことし最後の『野火』上映にゲスト出演。

『花筐/HANAGATAMI』本予告編

(C)唐津映画製作委員会/PSC 2017 (C)大林千茱萸/PSC (C)SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
構成:植草信和(編集者・元キネマ旬報編集長) インタビュー写真:源賀津己

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