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暁の脱走 [DVD]
『暁の脱走 [DVD]』を価格比較。★★★★(80点)『暁の脱走』に対するみんなのクチコミ情報などもあります。
監督 | 谷口千吉 |
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出演 | 池部良,小沢栄,山口淑子 |
発売日 | 2004年9月25日 |
定価 | 4,860円(税込) |
価格比較
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4,374円 (税込)
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売り切れ |
商品詳細情報
販売元 | 東宝 |
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発売日 | 2004年9月25日 |
リージョン | 2 |
ディスク枚数 | 1 |
形式 | DVD |
関連商品
ぴあ映画生活ユーザーによる「暁の脱走」のレビュー
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李香蘭の歌声
2010-08-22 by
出木杉のびた
谷口千吉監督と共に、黒澤明も脚本を書いている。黒澤作品『わが青春に悔いなし』の原節子は、当時の女性としてはかなり積極的に行動する役柄だった。本作の山口淑子演じる春美も、軍人である男が圧倒されるくらいに、猛烈なアタックをしかける。恋するお相手、三上上等兵役には、池部良。良い男だ。
中国での戦線に連れて行かれた慰安歌手の女性の一人、春美と、彼女たちの面倒をみるように命令された三上。三上は副官の世話係でもあった。この副官が立場を利用して、とにかくやることが嫌らしい。演じているのが小沢栄太郎なので、ますます嫌らしい。僕は何本か小沢栄太郎の出演作品を観ているが、大体こんな役ばかりだ。まさにはまり役。春美を自分の女にしようと、あれこれ手を出してくるのだ。
その副官の魔の手から、機転を効かせて救ったのが三上であり、その前にも銃撃から春美を守ったこともあり、春美はすっかり三上にお熱なのだ。戦争の真っただ中である今、三上もいつ命を落とすか分からない。春美は思いを遂げたくて、必死なのだ。
ところが三上は、かなりストイックであり、表向きはとにかく副官に使えることを最優先してしまうので、春美も観客も相当焦らされることになる。
この映画の目的は、反戦である。敵は中国ではなく、あくまでも日本軍の身内にいる。敵は副官だ。最後に至るまで。軍の上層部の人間こそ、諸悪の根源だと言っているように感じられる。酒場で騒ぎまくっている日本軍人たちもまた、戦争の被害者なのだ。
中国軍に捕まってしまった三上は、その捕虜という立場に耐えきれない。脱走するか、死ぬか。中国側の軍医や将校は、日本軍の上層部よりも、人格者として描かれている。
それに引き換え、三上に対する、いや兵隊全体に対する日本軍上層部の態度は、人間を消耗品としか扱っていないようだ。
三上と春美に対しては、他の軍人たちと同じ思いで、観客も画面を見詰めていたことだろう。そんな二人の前に立ちはだかるのは、やはり副官だ。
暁の脱走とは、日本軍を象徴する、日の丸からの脱走ではなかったかと、感じた。 -
ヤマトナデシコ離れの積極性
2014-08-13 by
カメラマンのあっきー
反戦映画としてとみに知られた映画ではあるが本作はたまたま上官として赴任してしまった性悪の一個人(副官:小沢昭一)がその立場を利用して私欲を満たそうとする現代の二時間ドラマにも通ずる人間ドラマに思えた。それだけ戦争が遠いものになりつつあるということか・・・。
新文芸坐にて同じ谷口千吉監督の「独立機関銃隊未だ射撃中」との併映を観賞。 -
雰囲気は似てますが「モロッコ」とは正反対の映画...
2012-06-07 by
クリス・トフォルー
『生誕百年記念 谷口千吉監督特集』にてスクリーン鑑賞。
谷口・黒澤明共同脚本、反戦映画としても名高い作品だが、やはり、『肉体の門』の田村泰次郎の生み出した、戦場でですら恋に燃え上がらずにはいられない慰問団の歌手・春美を、熱く扇情的に演じてみせた“李香蘭・山口淑子の映画”という気がした。
中国との前線で孤立している城砦を守備する、帝国陸軍歩兵一個大隊。副官・成田中尉(小沢栄)付の上等兵・三上(池部良)は、敵襲から救い出した慰問団の歌手・春美(山口淑子)の、激しい求愛に応えられずにいたが、成田の執拗な誘いを拒み続ける春美に、次第に心を寄せてゆく。或る夜、三上は夜襲を受けた砦を防戦してたが、負傷して、敵中に取り残されてしまう。三上を追って、砦の外へ出た春美は、負傷した三上とともに、中国兵の捕虜となるが・・・。
『軍人勅諭』や『戦陣訓』に従順な下級兵士と、恋に一途に身も心も捧げる女(原作では従軍慰安婦の設定)。二人の恋の運命が、上官の横暴がまかり通る砦の中で、多くの仲間の兵や女たちの心を揺り動かしてしまう。
多くのスタッフ、キャストが、実際の戦場や前線を経験している時代に生み出された、戦場のリアルな日常の描写が、今となるとなお更貴重だが、実際には臨めなかった、帝国陸軍の暗部への抵抗のシーンも、フィクションを超える実在感がある。反戦がスタイルではなく、個々人の実感として作品に込められている時代が、確かにあったのだ。
2011年の「マイウェイ 12000キロの真実」と似ていても、伝わってくる思いが段違いのラストシーンです。