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『万引き家族』の映画論評・批評


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新しいコミュニティの可能性を模索する
世界的先端の“強い”映画

written by:森直人
(2018/06/05更新)

ジャンル 人間ドラマ
製作年/国 2018年/日本
配給 ギャガ
ヘッド館 TOHOシネマズ 日比谷
時間 120
公開日
監督
PG12

 


『万引き家族』


全方位的に“強い”映画だ。勝負作、と端的に呼んでもいいが、役者も演出も初見でガツッとくるエネルギーを湛え、そこには地道かつ大胆に自己刷新を続ける是枝裕和監督の気迫が漲っている。撮影の近藤龍人、音楽の細野晴臣など、初めて組む実力者を迎えつつ、ガサガサした骨太の生活感、日常的なエロスなど、これまでの自作で埋めていなかった部分をクリアしていくような凄みに溢れている。

テーマは家族。ひと口に言うとシンプルに聞こえるが、しかし本作の場合は一筋縄ではいかない主題設定だ。犯罪で結ばれた関係性――という社会的に許されないチームをお話の中心に置き、彼らの幸福の在りどころや、絆の強さと脆さの両面を見つめる。そして家族の既成概念を塗り替え、新しいコミュニティの可能性を模索するラディカルな試みである。

監督自ら「10年くらい考え続けてきたことを全部込めた」と語っているが、むしろ『誰も知らない』や『そして父になる』が描いてきた血のつながりの絶対性に対する疑問を、くるっと反転させた趣。リリー・フランキーと安藤サクラが演じるワケありの夫婦は、若い両親に疎外された少女など他者を家族として受け入れる。これまでの疑似家族をモチーフとした映画の問題提起からさらに踏み込み、生活を持続させていくための柔軟な機能として、この奇妙な一家の持つポジティヴな効用をまっすぐに問いかける。

同時にそれは、安易な良識で個的な思いを蹂躙する世間の目に向けた鋭い風刺でもある。社会のコードが前面化するミステリー的な後半は、監督の前作『三度目の殺人』を発展継承したものだろう。

いま海外、とりわけ欧米の作家的な映画監督に話を聞くと、気になる日本の現役監督として最もよく挙がるのが是枝の名だ(筆者の印象では北野武より多いかもしれない)。先日来日したショーン・ベイカー監督も『誰も知らない』からの影響を語っていたが、彼の傑作『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』と『万引き家族』はやはり深く共振している。同じカンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作でも、日本の土着性を打ち出した今村昌平監督の『楢山節考』や『うなぎ』と異なり、是枝はグローバル社会の先端的な問題意識の中で多方向の作家と響き合っているのだ。

 

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(C)2018『万引き家族』 製作委員会

 

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