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『スリー・ビルボード』の映画論評・批評


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映画でしか語ることのできない、
アメリカ社会の病とその処方箋  

written by:宇野維正
(2018/02/05更新)

ジャンル サスペンス
気分 ハラハラドキドキ興奮します
原題 THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISOURI
製作年/国 2017年/英=米
配給 20世紀フォックス映画
ヘッド館 TOHOシネマズ 新宿
時間 116
公開日
監督

 


『スリー・ビルボード』



原題を直訳すると『ミズーリ州エビング郊外の3つの看板』。2014年には地元白人警官が黒人青年を射殺したことで全米規模の暴動が起こり、2016年の大統領選では当たり前のようにトランプを選出したアメリカの田舎=ミズーリ州のさらにど田舎=エビング(架空の町)が舞台の本作。これ以上ないほど悲劇的状況から物語は始まり、登場人物たちの言動は時にヒドさを通り越して喜劇的だが、最後には悲劇でも喜劇でもない、まったく想像もつかなかった精神的な境地へと観客を誘う。もし本作に欠点があるとしたら、脚本も演出も、それに応えた役者の仕事も、すべてが見事すぎて“嘘のよう”に素晴らしいことだ。

現在のアメリカ社会が抱えている問題をこれだけ目一杯詰め込んで、一つの物語として完璧に紡いだマーティン・マクドナー(製作、監督、脚本)がアイルランド系の英国人だと知って、驚く人もいるだろう。もしかしたらこの物語の完璧さは当事者=アメリカ人ではないからこそ獲得することのできた、ある種の“神の視点”から語られているのかもしれない。しかし、もしリアルさに欠けるからといって、本作の価値はまったく損なわれない。そもそも、リアルであることによって現実を糾弾するのは、映画の役割ではない。ワインスタイン事件を筆頭に、ハリウッドの誰もがリアルな問題に向き合っているこの時代に、本作はその先の可能性を提示してみせる。それこそが映画=芸術の使命だ。

 

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【関連作品】
スリー・ビルボード

(C)2017 Twentieth Century Fox

 

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