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『ダウンサイズ』の映画論評・批評


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キャッチーな仕掛けを起点に“幸福論”へと
拡大していく意欲作

written by:森直人
(2018/03/08更新)

ジャンル コメディ
原題 DOWNSIZING
製作年/国 2017年/米
配給 東和ピクチャーズ
ヘッド館 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
時間 135
公開日
監督
PG12

 


『ダウンサイズ』


アレクサンダー・ペイン監督の“挑戦”と“一貫”が同居している。まず彼が、飛び道具のような仕掛けを作品に設置するのは初めて。希望者には身長約13cmに縮小手術して、コスパの良いミニチュアサイズの暮らしを提供する――という、奇想天外な寓話仕立て。このキャッチーな前半の面白さに、ヴィジュアル面も含めて惹かれる人が多いと思う。だが、むしろその設定の奥行きを補完しながら、ユートピアの実験の全貌に向けてお話を拡大していく後半に、作者の真の意図は集中しているはずだ。

郊外で慎ましく生きてきた普通の中年男に扮するマット・デイモンの生真面目さが良い。これは内に屈託を抱えた大人の冒険物語だ。新たに人生を回復させるための心の旅――といえば、『アバウト・シュミット』『サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』と連綿と続くペイン監督おなじみの主題。しかし今回、主人公の運命の決め手となるキーパーソンは、ホン・チャウ演じるヴェトナム人女性である(チャウ自身はタイ出身)。一見ステレオタイプなアジア系の印象を付与されつつも、実は反体制派の元活動家で、片足を失くした難民。タフな生活者でもある彼女は、いかにも欧米的(もっと言えばキリスト教的)な観念へのカウンターとなる存在だ。

こうしてペイン流の“幸福論”は、大きく旋回して、もう一度地に足のついた問い掛けへと戻ってくる。風変わりな意欲作だからこそ、逆にこの監督の本質をはっきり確認できる一本。噛み応えは充分!

 

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(c)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 

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