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『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の映画論評・批評


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夢と現実が隣接する町
子供たちが無邪気にその境を越えていく!

written by:清藤秀人
(2018/05/10更新)

ジャンル 人間ドラマ
気分 しみじみと感動できます
原題 THE FLORIDA PROJECT
製作年/国 2017年/米
配給 クロックワークス
ヘッド館 新宿バルト9
時間 112
公開日
監督

 


『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』


フロリダ州のキシミーはディズニーワールドの門を出てすぐの町。通りに面して建ち並ぶモーテルはどれも“マジックキャッスル”とか“フューチャーランド イン”とか、ディズニーにちなんだ名前になっている。それがジョークにしか見えないのは、モーテルの宿泊者というより住人たちが、夢の対極にある貧困と日々格闘しているからだ。

シングルマザーの母親が近くのダイナーで働いているスコッティや、多分、父親の仕事が見つかってニューオーリンズに引っ越していくディッキーはまだましで、6歳の少女、ムーニーは観光客相手の売春で日銭を稼ぐ母親とその日暮らしを続けている。

とこう書くと、アイロニーに満ちた世知辛い社会派ドラマを想像するかもしれない。しかし、子供目線の低めにセットしたカメラが捉えるのは、モーテルの階段下や管理人室に忍び込み、そこを即席の遊び場に変えてしまう子供たちの想像力が描き出す、厳しい現実とは裏腹な無邪気で楽しい世界。それに協力するように、神様はときおり紫色のモーテルの上空に虹のアーチを描いたりもしてくれる。

やがて、ムーニーの楽しい時間が終わるとき、カメラは子供たちの背後に回り、それでも現実から夢へダッシュしていく小さな背中を、祈るような気持ちで後押しするのだ。

前作『タンジェリン』では自前のi P h o n e 片手にL .A .で暮らすトランスジェンダーの女性たちを徹底追跡したショーン・ベイカー監督。作られたドラマに違和感を覚えるという彼が、モーテルの支配人を演じるウィレム・デフォー(終始キリストのように穏やか)以外、もちろん子役も含めてほぼ全員素人で固めた彼らが織り成す世界の、何とリアルでみずみずしいことか!?
オスカー候補もれが信じがたいリアルファンタジーの傑作だ。

 

1

(C)2017 Florida Project 2016, LLC.

 

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