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『希望のかなた』の映画論評・批評


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シビアな現実問題に優しく光を灯す
カウリスマキの真骨頂

written by:斉藤博昭
(2017/12/01更新)

ジャンル 人間ドラマ
気分 しみじみと感動できます
原題 TOIVON TUOLLA PUOLEN
製作年/国 2017年/フィンランド
配給 ユーロスペース
ヘッド館 ユーロスペース
時間 98
公開日
監督

 


『希望のかなた』


切実な現実を描くとき、軽いユーモアや、とぼけた味わいを強調することで、逆にその切実さが静かに、深く胸を締めつけることがある。この法則を証明する監督のひとりがアキ・カウリスマキだが、今作は最も素晴らしい見本になったと思う。『ル・アーヴルの靴みがき』に続いて、難民の密航問題にフォーカスしたカウリスマキだが、『ル・アーヴル…』以上に過酷な試練を主人公に与えつつ、作品全体に心地良い軽さや、日常と地続きな感覚を意識的に強調した感がある。タイトルが示すように、ささやかな希望が常に漂っており、観ているこちらも妙な幸福感を味わっていることに気づくのだ。カウリスマキ作品らしい、無表情での潔い決断や言動は今回の難民の主人公はもちろん、脇役に至るまで、過去の作品以上に効果的で、終盤のある人物のひと言に、カウリスマキ映画で初めて熱い涙が流れた。

日本人にも未体験ゾーンにある曲を流すなど、今回も監督が仕込む日本ネタは絶妙。海外の寿司屋“あるある”な光景は、今作で最も素直に大笑いできるシーンとなった。こうした細部と、芯に貫かれた社会派テーマが美しい化学反応を起こし、結末後の余韻はしばらく消えることはない。

 

1
【関連作品】
希望のかなた

(C)SPUTNIK OY. 2017

 

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