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『君の名前で僕を呼んで』の映画論評・批評


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この美しい世界と一体化すること

written by:宇野維正
(2018/05/01更新)

ジャンル ラブ・ストーリー
気分 しみじみと感動できます
原題 CALL ME BY YOUR NAME
製作年/国 2017年/伊=仏=ブラジル=米
配給 ファントム・フィルム
ヘッド館 TOHOシネマズ シャンテ
時間 132
公開日
監督
PG12

 


『君の名前で僕を呼んで』


誰かに一目惚れをして、その思いを相手が受け入れてくれること。それは、人生に一度でもあれば幸運な、でもまったく非現実的な話というわけではない、ありきたりにして最も尊い奇跡だろう。『君の名前で僕を呼んで』で132分をかけてじっくり描かれるのは、その“ありきたりな奇跡”だけだ。舞台は1983年のイタリア北部の田舎町。80年代リバイバルを通過した現在からすると、主人公ふたりが着ているポロシャツやTシャツや、劇中で流れるジョー・エスポジートやF. R. デヴィッドやサイケデリック・ファーズの流行歌に、絶妙なセンスを感じたりもするのだが、それらも当時はヨーロッパのどこにでも転がっていた(それこそ流行の最先端とは程遠いイタリアの田舎町にも転がっていた)ありきたりなものにすぎない。

もし『君の名前で僕を呼んで』に“ありきたり”でないものがあるとしたら、主演のティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの非現実的な美しさと、ふたりが男性であることだが、それも彼らの生活の背景にある、美しい風景と、美味しそうな食事と、優雅な会話と、高度な文化資本の中にごく当たり前のように溶け込んでいる。監督のルカ・グァダニーノは前作『胸騒ぎのシチリア』でも“バカンス中の女性ロックスター”という、多くの観客にとって本質的に“どうでもいい”題材を、驚くほど大胆で瑞々しいタッチで美しい作品に仕立て上げていたが、今作においてその美的感覚はさらに研ぎ澄まされている。豊かな自然を前にしたら、美味しい料理を前にしたら、本物の芸術を前にしたら、すべてのことは“ありきたり”で“どうでもいい”。君が君の名前で僕を呼んで、僕が僕の名前で君を呼んだ時、僕らはその美しい世界と一体になる。グァダニーノが描き続けているのは、その瞬間の儚い恍惚だ。

 

1
【関連作品】
君の名前で僕を呼んで

(C)Frenesy, La Cinefacture

 

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