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『ウインド・リバー』の映画論評・批評


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アメリカの“ボーダー”に執着し続ける、
現在最も重要な脚本家

written by:宇野維正
(2018/07/30更新)

ジャンル サスペンス
気分 ハラハラドキドキ興奮します
原題 WIND RIVER
製作年/国 2017年/米
配給 KADOKAWA
ヘッド館 角川シネマ有楽町
時間 107
公開日
監督

 


『ウインド・リバー』


ジェレミー・レナーとエリザベス・オルセン。いずれもマーベル・シネマティック・ユニバース作品では数百万ドルのギャラを稼ぐスター役者が、このような小さな、しかし社会的意義、政治的意義のある作品にも出演するところが、アメリカの映画界の懐の深さだ。そこには、役者自身が脚本をじっくり読んで、出演すべき作品を選び、自身のキャリアを設計していくという“健全さ”がまだ残っている。

その“出演すべき”脚本を執筆したのがテイラー・シェリダンだ。もともと役者として映画界に入り、脚本家として頭角を現し、本作で監督業にも進出。“フロンティア3部作”の“完結編”とされている本作だが、前2作、『ボーダーライン』と『最後の追跡』でシェリダンが手がけていたのは脚本のみ。『ボーダーライン』はシェリダンが脚本家として続投している続編『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』の日本公開も控えているので少々ややこしいが、長期休暇に入る予定だったレナーに本作『ウインド・リバー』の脚本を読むように勧めたのは、その『ボーダーライン』1作目の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴだったという。そのことからも、シェリダンが現在最前線に立つ映画人たちから、いかに厚い信頼を得ているかが分かる。

『ボーダーライン』と『最後の追跡』ではテキサス州西部、つまりアメリカとメキシコとの“ボーダー”を描いてきたが、本作『ウインド・リバー』で描かれるのはワイオミング州の山岳地帯にあるネイティブアメリカンの保留地。いわば、アメリカという国家の内側にあるもう一つの“ボーダー”が舞台となっている。シェリダン作品において“ボーダー”の向こう側は“無法地帯”を意味する。ひとりの少女の死体が発見されるところから静かに始まる本作も、物語が展開していくにしたがって野蛮さと凄惨さを増していく。シェリダン作品では、観客も無傷ではいられないのだ。

シェリダンの監督としての最新作は、パラマウント・ネットワーク製作ケビン・コスナー主演のテレビシリーズの西部劇『Yellowstone(原題)』。同作では脚本を手がけているのはもちろんのこと、役者としても登場しているシェリダン。映画でもテレビシリーズでも、脚本でも監督でも役者でも、その名前にきっとこれから何十年も我々は胸を躍らせ続けることになるだろう。

 

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【関連作品】
ウインド・リバー

(C)2016 WIND RIVER PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVE

 

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