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『検察側の罪人』の映画論評・批評


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裏テーマは現在の日本社会への“違和感”か  

written by:宇野維正
(2018/09/04更新)

ジャンル サスペンス
気分 原作が有名です
製作年/国 2018年/日本
配給 東宝
ヘッド館 TOHOシネマズ 日比谷
時間 123
公開日
監督

 


『検察側の罪人』


本稿執筆時点で、『検察側の罪人』は週末動員ランキングで2週連続1位。その興行を牽引しているのは“木村拓哉と二宮和也の共演”というトピックであることは間違いないが、今や必ずしも“スター映画”の動員力が盤石でないことをふまえれば、この結果は快挙と言えるだろう。作品の題材選びやメッセージだけでなく、その映画的手法において、ここまで監督の作家性が強い実写日本映画が大ヒットしたのはいつ以来だろうか。

原作はミステリー小説の本作だが、ストーリーに関して言えば、冒頭、木村拓哉演じる最上検事が司法修習生たち(その中に二宮和也演じる沖野検事もいる)を前にした講義内容が、まるで予言のようにすべてを語ってしまっている。観客は、そこから2時間かけて、最上がいかに堕ちていくのか、それを沖野がいかに受け止めるのかを固唾を飲んで見守ることになる(冒頭シーンの重要性については取材などでキャストも語っていることなのでネタバレではない。念のため)。本作の真のミステリー、そして本当のスリルは別のところにある。

第2次大戦中の日本軍の“インパール作戦”というキーワード、一見ストーリー上は必然性がないように思えるキャラクターたちの細かい設定、日本会議やアパホテルなど現在の日本の政界周辺を連想させる小ネタ、そして主要人物たちの背景で随所に差し込まれる謎の舞踏シーン。作中、それらいずれも原作にはないモチーフが積み重なっていくことで、観客は得も言われぬ違和感を覚えることになるだろう。そして、その違和感を加速させるのが、これまでの原田眞人監督作品にさらに輪をかけてスピーディーなカット割りと乱暴(に思える)な編集だ。しかも、その乱暴さが最も威力を発揮するのは、肝心のラストカットからエンドロールが流れる瞬間なのだから恐れ入る。

1回目はそんな驚きが連続する興奮の中で本作を体験。あまりにも気になる点が多かったので慌てて原作を読んで、スクリーンで何が起こるのかもすべて承知した上で再鑑賞に臨んだが、その興奮は2回目もまったく減じることはなかった。“観終わった時の感情があらかじめ分かってる作品にしか客が入らない”などと言われて久しい現在の日本の映画興行において、原作ものであるにもかかわらず、感情の着地点がまったく予測できない、違和感のジェットコースターのようなこの作品が支持されたことの意義は大きい。観客にとってはもちろん、本作に参加したすべてのキャストたちにとっても。

 

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【関連作品】
検察側の罪人

(C)2018 TOHO/JStorm

 

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