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『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の映画論評・批評


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他者に無関心な都会で惹かれあう孤独な二人を通して
日本の“いま”を掬い取る

written by:森直人
(2017/05/16更新)

ジャンル ラブ・ストーリー
気分 しみじみと感動できます
製作年/国 2017年/日本
配給 東京テアトル=リトルモア
ヘッド館 新宿ピカデリー
時間 108
公開日
監督

 


『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』


ボーイ・ミーツ・ガールのお話。田舎から単身上京した看護師の美香(石橋静河)と、生まれつき片目が見えない青年・慎二(池松壮亮)が、都市の喧騒の中で出会う。渋谷・新宿でのゲリラ撮影を主としつつ、街の同調性からどこか乖離したふたりが、互いの周波数をキャッチするようにゆっくり惹かれ合っていく。

最果タヒの詩集をもとに、その言葉の海にインスパイアされる形で、映画監督・石井裕也がオリジナル脚本を書いて撮りあげた。共に1980年代半ば生まれ、同世代のふたりの対話から生まれたような傑作。“詩から映画へ”という表現のバトンリレーが魂の共振となり、硬質の抒情を美しく結晶させる。

アニメーションなども取り入れた映像世界は、湧き上がるイメージのままスケッチブックにざらざらと絵を描くように自由闊達で瑞々しい。一方、“出会い”に関しては数値的と言っていいほどの緻密さで運命の糸が演出される。“どうでもいい奇跡”からひとつの決定的な縁を育む新人女優・石橋の無骨な瑞々しさと、繊細かつ達者な池松のアンサンブル。ドキュメンタルで流動的な街の風景の中、彼らのやり取りは観念性と抽象性の薄い膜に柔らかく包まれ、その光景は街頭演劇のようでもある。

石井裕也は『川の底からこんにちは』や『舟を編む』など、明快な主張や物語性を持った作品が人気だが、今作は彼のナイーヴな文学性が深く抉られた。生や世界への不安は、彼の初期作品『反逆次郎の恋』に通じる。また主演のふたりを取り巻く群像にも、いまを生きる人々の気分が見える。ある種の“日本論”と言えるだろう。2020年の東京オリンピックに向けて再開発などが進む、宙ぶらりんな時代の空気を捉えたシネエッセイとしても極めて貴重だ。

 

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(C)2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

 

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