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『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の映画論評・批評


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人間は変わらない……映画では難しいテーマを極上の
演技・演出で達成

written by:斉藤博昭
(2017/05/11更新)

ジャンル 人間ドラマ
気分 しみじみと感動できます
原題 MANCHESTER BY THE SEA
製作年/国 2016年/米
配給 ビターズ・エンド=パルコ
ヘッド館 シネスイッチ銀座
時間 137
公開日
監督

 


『マンチェスター・バイ・ザ・シー』


兄の急死で、その息子の面倒をみる孤独な主人公。設定だけ聞くと、主人公に親心が目覚め、新たな出会いで成長する……という展開が予想される。もちろんそういう一面も備えた本作だが、観る者の心に深く刻まれるのは、主人公が“変わらない”ことによる切実さだ。人生の転機が訪れても、人間の本質はそう簡単に変容しない。だからこそ愛おしくも見える。映画で主人公の成長曲線を描くのは難しくはないが、“成長しない”曲線を成功させるには、演出と演技の完璧な融合が必要だと、本作は教えてくれる。

便利屋を営む主人公リーの過去をじわじわと伝える構成も巧みだが、抑えた演技で孤独感を表現しつつ、ポイントでの激しい感情表現で観る者の胸ぐらをつかむ、ケイシー・アフレックに感服(兄ベンを軽々と超えました!)。そのケイシーと、元妻を演じるミシェル・ウィリアムズの後半の会話シーンは、複雑にすれ違う思いを、あまりにナチュラルな動きとセリフ回しで見せ、奇跡的瞬間へと到達した。海沿いの曇り空にかすかに射す光が、主人公たちの明日への希望を示し、そのあたりの“わび・さび”の境地も、我々日本人の感覚に合っている気がする。

 

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