まずは「物語」がちゃんとしてなきゃあね
2004/2/21 19:43
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最大素数
あっと驚く意外な結末、驚愕の大ドンデン返し・・・。そうした惹句にはついつい心惹かれてしまうわたしですが、さすがにそれ“だけ”が目的の映画には興醒めです。
本作においては、ドンデン返しのネタのとして(ジェイムズとレイラの)恋愛関係と(ジェイムズと父の)親子の情愛があり、ドンデン返しによってそれらの「愛」がより強く確認されていくという仕掛けの筈なのですが、そうは機能せず、ドンデン返しだけが浮いてしまい、結果空疎なエンディングとなってしまいました。
恋愛関係は、ディスコでのトラップから嘘発見器の実習までは上手く絡んで展開にも期待が持てたのですが、拉致監禁から拷問で破綻してしまいました。ポイントは彼女のオモラシズボンをつきつけられて陥落というヘタレ展開だと思います。ここは、ガラス越しの隣室で、真っ赤に灼けた鉄棒をレイラの背中にジュウと押しつけ、次は乳房か顔か、と迫られて(どちらかにちょっとだけジュウする方が良いかも)陥落、程度まではエスカレートしてくれなきゃあね。落ちたあと、全部フェィクさ、という意味で、黙って貼りモノのケロイドを引き剥がす、というような演出ね。“背中ジュウ”では落ちなかったことを巡ってのわだかまりを最終的なバークの誤算の伏線とし、その一方で二人は確執を克服して愛がより強固になり、その信頼関係が最後の最後でジェイムズを救うことになりました、というような展開でなければイケマセン。
ジェイムズ父子関係も、父を具体的に描かなかったのは良かったのかまずかったのか分かれそうですが、わたしはちゃんと“フェィク”としての父親を具体的に描くべきだったと思います。つまり、観客に、CIAのメンバーってのはバークの作り話じゃないのか、と思わせての引っ張りの方が面白かったと思います。
さて、後半部にはいって、ますます一人相撲感の強まる雰囲気の「ウソくささ演出」ですが、最後に至って、実にもう、そんなことはどうでもいいことになり果ててしまったのでした。
つまり、本作のラストは、実は一番のワルはバークでした、なのですが、これが“銃殺”された後にむくりと起きあがって、トップと思しき人物と「さてこれで“バーク”ミッションは完了ですね」「次はイラク支局でのミッションだ」「来年はイラクですか」「来週だ」みたいなやり取りがあってThe_ENDでも全然おかしくないのです。その分“意外”感が増すとも思えないし・・・。
と、考え直すと、なにもバークが“実は”ワル、でなくてもいいのではと思ってしまうのです。正体不明だったジェイムズの父が実は、というかたち(のドンデン返し?笑)で盛り上げることだってできたのではとも思います。
と、まあ、どうとでもなっちゃうじゃんというか、どうでもいいじゃんということになってしまうのは、バークの正体が暴かれるドンデン返しへの伏線である筈のジェイムズとレイラの恋愛関係の描写に力が無く、恋愛感情が説得力を持ち得ていないためです。
最後の父を語るシーンも同様です。バークの正体のドンデン返しが、ジェイムズの中で父親が再認識されるとか、より偉大な存在になるとかと結びついて、あらためて父子の絆が確認されるというような大団円=カタルシスとならないのです。
ところで贔屓のA・パチーノ、今回も結局「今一うだつの上がらない中年」というキャラだったわけで、しかも「現状の待遇に不満」が動機ということは、キャラ自体が言ってみれば「伏線」になっちまってたわけで、いくらなんでもそれってどーよと思ってしまいました。
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