コロンバイン高校での事件はなぜ起きたか
2010/6/15 16:46
by
A.T.
「サイコパス」という言葉をご存知でしょうか?他人に対する冷たさや共感のなさ、過大な自尊心、良心の異常な欠如。。。これらが特徴の人格障害者のことです。
幾人もの犯罪心理学者によって確認されたことですが、コロンバイン高校銃乱射事件を巻き起こした犯人の一人、エリック・ハリスは、このような人格障害を抱えていたいわゆるサイコパスでした。
サイコパスなら誰でも殺人鬼と化してしまうのかというと、決してそうではありません。エリックのように殺人へと手を伸ばす人格障害者もマレですが実在します。
「誰だっていい。人を殺してみたい。」エリックは、そう考えるようになったのです。学校での殺人計画は、すべて彼によって練られたものでした。
その点、相方のディラン・クレボルドは違います。ディランは、うつ病を抱えていました。もともと根が優しく傷つきやすい彼は、自分に対して激しい怒りを秘めていました。エリックの影響により、その怒りも次第に他人に向けるようになったのです。
前から自殺を謀っていたディランは、エリックの計画に加わることになりました。「どうせ死ぬんだ。お前らも道連れにしてやる」と考えたのです。
犯人たちの動機をたどっていくと、こういう事に結びつくのです。
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コロンバイン高校での事件はなぜ起きたか
2010/6/17 17:24 by
A.T.抗うつ剤、ルボックスを服用していたのはエリックですが、うつ病と苦闘していたのはディランの方でした。エリックはうつ病ではなく、考え方及び脳の仕組みそのものが一般の人と異なっていたのです。
「サイコパス」(Psychopath)は、現実と妄想との区別ができなくなる「サイコティック」(Psychotic)とは異なります。おぞましい対策を練りながらもエリックは十分正気でした。自分が試みてる事が不正であるということも分かっていました。それでも、彼は自分の悪意に心を許したのです。
コロンバイン高校での事件は、犯人2人が運動選手(ジョック)たちに復讐するため起きた事件だと言われていますが、それは不的確な発言です。エリックとディランがジョックたちによっていじめを受けていたのは事実です。でもこのいじめが事件の根拠となったのではありません。事件が起きた1999年当時、エリックとディランはSenior(日本の高校3年)となっていて、ジョックたちの嫌がらせにも慣れ、何食わぬ顔をしていました。彼ら2人も下級生の何人かをいじめていたのです。
この事件は、ジョックたちへの復讐ではなく無差別殺人に他ならないものでした。銃撃を開始する前、エリックたちは学校の食堂に、ダッフルバッグに入った2つのプロパン爆弾を設置しています(それぞれ9キロの重さ)。ちょうど昼食中の午前11時17分に爆発するようセットされた時限爆弾でした。幸いこれらは爆発しませんでしたが、もし成 功していれば500人近くの人が犠牲となっていたはずです。
これはもともと全校生徒を狙いとした「爆破事件」となるはずだったのであり、爆発に巻き込まれず学校から逃げ出してきた生徒たちを射殺するという計画でした。爆破失敗に気付いた2人はその後、校内に突入し、なりふり構わず、生徒12人と教師1人を射殺し、他21人の生徒を負傷させます。殺された13人の内、ジョックと称される人は結局1人もいませんでした。
ちなみに、エリックとディランはTCM(トレンチコート・マフィア)という集団には所属していませんでした。友達の何人かはメンバーでしたが、エリックとディランは違います。トレンチコート・マフィアは、この事件と一切係わっていません。事件当日2人がトレンチコートを着ていたのは、身につけていた武器などを隠すためでした。
死ぬことを十分承知の上で始まったその日。銃撃を開始して40分程が経過した頃。この時点で既に13人の死者、21人の負傷者が出ていました。外では幾人もの警察・SWAT隊員が校舎を囲んでいました。エリックとディランは、最期を迎える場となる図書室に入ります。死者のうち10人は同じ図書室の中で横たわっていました。
血の臭いが漂う中、2人は西側方面の窓へと向かいます。外にいた警官と撃ち合おうとしましたが無駄でした。窓からはディランの車が停めてある駐車場が見えました。エリックの車は反対側の駐車場に位置されていました。2人の車にはそれぞれ爆弾が積まれていました。そろそろ爆発しても良い頃でしたがこれもまた失敗に終わります。
静まり返った図書室の片隅の床に2人は腰を下ろしました。火炎瓶を手にしていた1人はそれに火をつけ、近くのテーブルの上に置きます。2人は、西を向いたまま、それぞれの銃を己に向けました。エリックは口に銃を差し込み、頭頂部を打ち抜きました。左利きのディランは、自ら左のこめかみに弾丸を打ち込みます。その直後に火炎瓶が爆発しテーブルの表面が燃え始めました。火災報知機がこれを検波し、時間を記録しました。午後12時8分。
何の得もない、無意味で冷酷な殺害計画。自分を制そうとせず、ただただ憎しみと怒りに身を委ねたエリック。そのエリックに説得され、自害する前に周りの連中を道連れにしようと試みたディラン。1時間も経たぬ内に13人の命を奪い、果てには自らの命をも絶った2人の悲惨な結末。生存者に残されたのは困惑と虚しさと深い悲しみでした。
コロンバイン高校の教師や生徒及び遺族たちはその後、学校、そして生活の再建へと挑んだ。つらいながらも、エリックとディランへの憎しみを解き放ち、2人を赦すことができた人たちもいます。現場にいた人たちの心に刻まれた傷は幾分癒えてはいる筈です。しかし記憶から消える事は決してないでしょう。
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