ただいまの掲載件数は タイトル60665件 口コミ 1162467件 劇場 589件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > ローマの休日 > 掲示板 > 「ローマの休日」、赤狩りの嵐の中で

情報 「ローマの休日」、赤狩りの嵐の中で

2013/12/1 22:12 by 星空のマリオネット

今から2年ほど前にハリウッド誕生100年を記念する番組の一つとして放送された【シリーズ・ハリウッド100年@「ローマの休日」、赤狩りの嵐の中で】が、先日、BSプレミアム(NHK)で再放送されました。興味深い内容だったので、概要を紹介します。
なお、明日12月2日(月)21時からBSプレミアムで『ローマの休日』が放映されます。

世紀のラブストーリー、ロマンティック・コメディー『ローマの休日』(1953年)の背景には、「赤狩り」というアメリカの闇の歴史が刻み込まれていた。
第二次世界大戦後激化した、激烈で陰湿な、共産主義排斥運動「赤狩り」の最初の標的になったのがハリウッドの映画人だった。ハリウッド・テンと呼ばれ、映画界から先ず追放された10人の中の一人が、本作の脚本家であり共産党員だったダルトン・トランボ(当時人気抜群の脚本家で、大戦中は反ファシズム国策映画やコメディー等にも手腕を発揮した職人脚本家)。
彼は投獄されることがほぼ見えていた時期に、『ローマの休日』の脚本を書いたらしい。すでにハリウッドから追放された身であったので当然脚本を発表することができない。それで、親友のハンターの名前を使った(ハンターもそのリスクを引き受けた)。

この脚本を映画化したのが、名匠ウィリアム・ワイラー。彼は共産主義から距離を置いていたものの、思想と言論の自由を奪う「赤狩り」を主導する非米活動委員会を先頭をきって批判し、ハリウッド・テンを擁護したが、挫折した経験を持つ。
ヨーロッパの紛争地域・アルザスに生まれ育ったユダヤ系のワイラーは自由を求めて若くしてアメリカに渡り、下積みを経て映画監督として頭角を現した人格者。アカデミー賞監督賞に12回ノミネートされ、3回受賞している。

ワイラーの抵抗は成功しなかったが、別の方法で追放者たちを支援した。
その最たるものがこの『ローマの休日』であった。彼はダルトン・トランボの脚本で、オールロケでこの作品を撮った。当時のハリウッド映画はスタジオ撮影が主流であったのを、ワイラーは映画会社にかけあってローマでの異例のオールロケ・編集を実現した。その代り、予算上の制約からモノクローム映画になった。
ワイラーが海外ロケにこだわったのは理由があったという。海外では映画会社の目が届きにくくなるので、追放された仲間を使うことができる。共同プロデューサーもブラックリストに載っている人物だった。
主演も変更させた。ケーリー・グラントとエリザベス・テーラーを、グレゴリー・ペックとオーディションで選んだ新人のオードリー・ヘップバーンに代えたのだ。
グレゴリー・ペックはワイラーともに赤狩りに反対した俳優。オードリーはオランダに住んでいたころ、反ドイツ・レジスタンスのためのバレエ公演を行って秘密裏に支援した少女だった。

「真実の口」のシーンは脚本にはなくワイラーが付け加えたシーン。お互いに嘘をついている二人にはなくてはならないシーンだと考えた。ペックの手がもがれるシーンはワイラーとペッグが仕組んだアドリブで、オードリーのびっくりした自然な反応を撮るのに成功した。「赤狩り」の嵐の中で、裏切りや偽証が相次いでいた米国・ハリウッドへの非難という意味もあるのではないかと見方も。

このドキュメンタリー番組では、藤原帰一(アメリカ映画に詳しい国際政治学者)を進行役に、斉藤由貴(女優、ミュージカル「ローマの休日」の作詞)、中村うさぎ(作家)、上島春彦(映画評論家)が語り合う。取材先はワイラーの娘やトランボンの娘など。

「赤狩り」の背景の説明などを含め、分かりやすい番組になっているうえに、斉藤由貴や中村うさぎの率直な意見も加わり、期待以上に面白い番組になっていました。
非米活動委員会の公聴会での委員長とトランボとの実際のやりとりの映像も見ることができました。ハリウッドに恐怖を与え恐怖は検閲を呼び、検閲はスクリーンを麻痺させるという、ラジオ番組でのワイラーの声も聴くことができました。

『ローマの休日』は1953年度のアカデミー賞の主演女優賞とオリジナルストーリー賞(ハンター)を受賞。
赤狩りは1954年のマッカーシー上院議員の失脚以降、下火になりましたが、追放された300人以上の映画人の復帰は容易ではありませんでした。
アカデミー協会がトランボにオリジナルストーリー賞のオスカーを授与したのは、ソ連が崩壊した後、1993年になってです(彼はすでに亡くなっており夫人が受賞)。

『ローマの休日』を見終えた、トランボの今や老いた娘がしみじみと語ります。
「いくつもの思いがこみ上げてきます。無邪気さそして純真。アン王女の人々の友情を信じる、信念は裏切られないという言葉は、父自身の言葉であったと思う。(疑いと裏切りのハリウッドの中にあって、)新しいアメリカが生まれることを願っていた父の言葉。」
後年、トランボは語っています。「あの時代に悪魔も聖人もいなかった。みな悪夢の時代の犠牲者だったのだ。」と。それだけ苦しい記憶であったのだと思います。

中村うさぎは言います。「(悲しいかな)魔女狩りはこれからも繰り返すのだろう。」と。
斉藤由貴は言います。「自らの力では如何ともしがたい不条理な境遇に置かれても、(トランボのように、或はアン王女のように)それでも人間は負けずに善きものにむかっていくことができる。そんな目でみれば、『ローマの休日』も二重三重の見方ができるように思う。」と。

明日12月2日の放映が楽しみです!

 



  • 今晩は、星空のマリオネットさん ネタバレ

    2013/12/1 23:28 by 青島等

    >ワイラーは映画会社にかけあってローマでの異例のオールロケ・編集を実現した。

    業界コード遵守でフランスのアンリ・アルカンを雇わざるを得なかった。

    >その代り、予算上の制約からモノクローム映画になった。

    何度も本番繰り返すワイラーはフィルム浪費家
    でも150万$は中の上です。
    テクニカラー(イーストマンカラー)は50万$加算されるから
    当時パラマウント稼ぎ頭だったディーン・マーティン&ジェリー・ルイス
    彼らの最高予算だったテクニカラー&純正ビスタビジョン
    「底抜け最大のショウ」「画家とモデル」「底抜け西部へ行く」
    はいずれも製作費150万$だから

    >ワイラーが海外ロケにこだわったのは理由があったという。
    >海外では映画会社の目が届きにくくなるので、追放された仲間を使うことができる。
    >共同プロデューサーもブラックリストに載っている人物だった。

    複数いますね。フランク・キャプラとダルトン・トランボ

    >主演も変更させた。ケーリー・グラントとエリザベス・テーラーを、

    ケイリーは当時(鬱病とは言えないにせよ)スランプで遠回しな引退表明
    リズ・テイラーはイタリアロケを嫌がって辞退し、企画は暗礁に乗り上げた

    >グレゴリー・ペックとオーディションで選んだ新人のオードリー・ヘップバーンに代えたのだ。

    これはチョイと違うな、ワイラーは男優C・ヘストンと同じく
    手柄を横取りする自己顕示欲旺盛な人格
    複数のユーザーにレスした如くワイラーには黒澤明天皇や
    セシル・B・デミル帝王みないな俳優選択権はなかった。
    製作補ロバート・ワイラー(実兄)の尽力ですね。
    グレッグは専属契約先20世紀フォックスを退社してフリー
    理由は「真昼の決闘」オファーを勝手にエージェントか或いは
    ダリル・F・ザナック社長が断ったのが原因
    当時グレッグは妻子を伴ってパリに引っ越していました。
    共同製作者フランク・キャプラがグレッグに打診し契約成立
    グレッグはジミー・スチュアートと重なる部分もあったから

    >グレゴリー・ペックはワイラーともに赤狩りに反対した俳優。

    そう、カメラマン=エディ・アルバートも、
    グレッグの好敵手B・ランカスターもK・ダグラスも

    >オードリーはオランダに住んでいたころ、反ドイツ・レジスタンスのためのバレエ公演を行って秘密裏に支援した少女だった。

    その時の朋友がユベール・ド・ジバンシー! 「ティファニーで朝食を」
    「シャレード」「おしゃれ泥棒」でお馴染み世界的デザイナー

    _もしかして 俺は釣られて いるのかな?

  • Re: 「ローマの休日」、赤狩りの嵐の中で

    2013/12/2 4:51 by 星空のマリオネット

    夢寝さん、いろいろと情報ありがとう。勉強になりました!
    ローマでの撮影を主張したことで、ワイラー監督は自由に映画を撮れたことがより分かり、興味深かったです。

    このテレビ番組では、スタジオ撮影になれたハリウッドのカメラマンではなくて、ロケ撮影でも優れた技術を持ったフランスのアルカンをメンバーに加えたことが良かったと、上島さんが語っていましたが、そもそも業界コードの制約があってアメリカのカメラマンは使えなかったということなんですね。

    また、エリザベス・テーラーや、ケーリー・グラントではなくて、オーディションで自ら発掘した新人女優オードリーと、「反赤狩り」運動の協力者だったグレゴリー・ペックを起用できたのは、ワイラー監督にとっては願ってもないことだったのかもしれません。
    異例のオールロケが、俳優選択権のなかったワイラー監督に、まるでローマでのアン王女のように、自由を与えたということでしょうか。
    イタリアオールロケへのワイラーの強い主張が、結果として強い映画会社の力から自由度を確保することになり、周囲の協力もあって、うってつけのキャストとスタッフに恵まれたんですね。
    当時のアメリカ映画としては初めての海外オールロケ。イタリア人スタッフが多いなかで、いろいろと苦労もあったでしょうが、生き生きとした映画が撮れたのは、そんな自由な環境もあったのかしれません。予算制約によるモノクロ化も奏功したように思います。

    なお、この番組では、赤狩りの抗議団体に加わった映画人としては、夢寝さんが挙げていただいたカーク・ダグラスのほかに、ハンフリー・ボガード、フランク・シナトラ、ジーン・ケリー、ジュディー・ガーランド、キャサリン・ヘップバーンの名前が挙げられていました。
    また、この映画の共同プロデューサーを務めたレスター・コーニックは、非米活動委員会のブラックリストに掲載されていたようです。

    PS
    深夜に目が覚めてしまってネットを見てしまったら、夢寝さんからのレスがあったので、PCの前に座りレスしてしまいました。
    これから、もう一度眠れるかどうかトライします(笑)

  • Re: 「ローマの休日」、赤狩りの嵐の中で

    2013/12/7 21:50 by 未登録ユーザヘップバーンのファン

    >>グレゴリー・ペックとオーディションで選んだ新人のオードリー・ヘップバーンに代えたのだ。

    >これはチョイと違うな、ワイラーは男優C・ヘストンと同じく
    >手柄を横取りする自己顕示欲旺盛な人格
    >複数のユーザーにレスした如くワイラーには黒澤明天皇や
    セシル・B・デミル帝王みないな俳優選択権はなかった。


    なんですか、これ??
    Filmography: Roman Holidayで語られている以外に何か根拠ありですか?

満足度データ

ローマの休日
100点
219人(30%) 
90点
169人(23%) 
80点
181人(25%) 
70点
86人(12%) 
60点
34人(4%) 
50点
8人(1%) 
40点
5人(0%) 
30点
1人(0%) 
20点
0人(0%) 
10点
6人(0%) 
0点
3人(0%) 
採点者数
712人
レビュー者数
109
満足度平均
85
レビュー者満足度平均
89
ファン
172人
観たい人
355人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※レビューはレビュー投稿フォーム
ネタバレ? ネタバレ無し ネタバレあり
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
 

掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2018 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


 

この映画のファン

  • ちとせあめ
  • pandara
  • 左利き
  • Marienewyork
  • 10年目のソフィ
  • tobutyan
  • chiemaru
  • 秋楡
  • さんじ
  • ぴか
  • コナン
  • たか戎
  • ユルユル
  • ありりん
  • Pava

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連動画がありません

関連DVD

ローマの休日 [DVD]

  • 定価:1620円(税込)
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』 4DX体験レポート
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる冬号が12/1発売!
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
『インクレディブル・ファミリー』特集
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる秋号が10/1発売!
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』まとめ
音を立てたら即死!? 全米大ヒットホラー『クワイエット・プレイス』をはじめ、あの“くまのプーさん”を実写化した『プーと大人になった僕』、豪華キャスト集結の『食べる女』など新作続々更新中! 映画論評・批評の新コーナー“critic”