映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 影踏み > 掲示板 > ネットとリアルの人格統合
ネットとリアルの人格統合
2019/11/30 22:35
by
さくらんぼ
純文学でしょうか。
地味で暗い作品です。
ラスト近くには意外な展開もありますが、概ね同じトーンで映画は進行します。
それにしても、そんなダークな世界に長時間ひたっている自分に、一番驚きました。
たくさん居眠りもしましたが、
こんな醒めた感覚もめずらしい。
それはともかく、
主人公は、双子の兄弟であることに悩みを持っていました。
しかし、これは双子を描いた作品ではないでしょう。
双子を通して、何か他の、似たものを描いているのだと思います。
最大公約数的に考えると、「一人の人間が、ネットとリアルで違う人間を演じている姿」なのかもしれません。
あるいは「世論が見た自分と、自分が見た自分」。
出所した主人公は、確か図書館へ行き、ネットか何かで、自分に関するニュースを検索するのです。
★★★
-
追記 ( 埋もれていたもの )
2019/12/2 9:59 by
さくらんぼ
『 戦艦大和は「おじさん世代のトラウマである」という意味の話しを、どこかで読んだことがあります。つまり、日本の命運をかけて建造された巨大戦艦大和(もはや戦闘機の時代になっていたにせよ)が、十分な戦果をあげられないまま撃沈されてしまったことを、今でもおじさんたち(当時の少年たち)の多くが、心の奥底で無念に思っているというわけです。
宇宙戦艦ヤマトの映画チラシの中には、朽ちた戦艦大和が土(干上がった海底)に半分埋もれている印象的な絵が書かれているものがありますが、あれがトラウマの記号的絵画なのでしょう。
あの朽ちた戦艦大和と、後ろに昇り来る太陽の絵。これを見たら、尋常な気持ちではいられない人たちが、べつに軍国主義者でなくとも日本人にはたくさんいるような気がします。もしかしたらトラウマは、ある意味、民族の集合的無意識の様になり、おじさんたちだけでなく現代の若者の中にも広がっているのかもしれません。
映画「リアル・スティール」でも、少年マックスが土に埋もれていたATOM(インナーチャイルド・マックスの幼児期トラウマ)を掘り起こすシーンが出てきますが、それはヤマトとの意外な共通点でありました。
マックスは父チャーリーの協力を得て、ATOMを通し、やり残したことをやり遂げて、自らのトラウマを癒していきます。さらに、子供の養育、それは同時に、父にとってもやり残した事だったので、やり遂げた時には、父にも父親としての、そしてボクサーとしての自信も回復してきました。
宇宙戦艦ヤマトでは、観客と、すべての登場人物のトラウマを、イスカンダルの女王スターシャからの導きで、ヤマトを通して、遣り残したことをやり遂げて、癒やしていく映画だったのだと思います。』
( 映画「リアル・スティール」の追記2012/1/10 13:39 by さくらんぼ より )
この映画「影踏み」でも、深夜泥棒“ノビ師“の修一が、寝静まった家に忍び込むのは、「自分の心の奥底へ降りていく儀式」の記号でしょう。
ですから、闇の中で出会った女性が見せてくれた事件現場は、修一が抱えていたインナーチャイルド(少年時代のトラウマ)に触れるものだったのだと思います。
返信を投稿
Copyright©2019 PIA Corporation. All rights reserved.