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解題 ネタバレ

2017/9/10 21:41 by 無責任な傍観者

関ヶ原

今年の邦画暫定No.1も解題してみよう。

司馬遼太郎原作としながら原作を見事にぶちのめした快作(笑)
司馬は小説というよりも、分析・解釈がメインで、様々な要素が一つの戦いに収束する「関ヶ原」はその特性を最大に発揮出来た、氏の代表作。

原作の映像化と言えば、TBSの加藤剛、三船、森繁他当時考えられる最高のキャストを揃えた正月ドラマが最高傑作。いつ見てもシビレる。

ただ、司馬は解説者であって、小説家ではない。あくまでそれぞれの武将をキャラとして駒として、それぞれの言動のアヤから来る運命のもつれを面白さとして、人間悲喜劇としたもの。だから架空キャラである初芽が原作でも致命的な欠陥となっていて、ドラマでも唯一の大根である松坂慶子もあいまって、完璧であるべき玉のキズになっている。

本作は解説である原作に「熱」を吹き込むことに成功している。
駒である各キャラに生命を吹き込むことで、見事に当時の時代の「熱」を表現している。

当時、義務教育は無い。もちろん現代的な一般常識も存在しない。ほとんどの武将がガキの頃から戦いが生活であり、エゴ丸出しの野生に近い言動になるのが自然。その意味で、本作の福島、加藤、黒田、浅野等の七人衆あたりは実にイキイキしており魅力的である。七人衆の部下にしても、毎日命のやりとりしてるんだから、理論がどうのゃなくて、ああいうボスに引っ張られるからこそついて行く。
また、秀吉にしても、その行動からしてかなり自分本位で他人に合わせるようなことをしないだろうから、北政所との関係はああいう状況というのが大いにあり得る。
主人公である三成vs家康の対立を軸に、七人衆を起爆剤とした緊張感あふれるドラマをクライマックスまで畳みかけるように展開している。

つまり、本作は原作の足りない部分で構成されたあの頃の熱が画面からあふれ出てくる力作です。
64前編がが原作の良さを引き出した力作であるのと対照的。
今年全体的に極度に低調な邦画品質の中で出色の完成度の高さ。

そうは言いながら、評価としては80点にとどまるのは、伊賀者の扱いと金吾中納言。
伊賀者は初芽自身が全くキャラクターとして魅力が無いし、無理に架空キャラを狂言回しに持って来たせいで、半ば以降の初芽の扱いが無意味になってるし、蛇や耳はあんな不自然なシーンを作って無理矢理な消し方をしないといけない。
金吾も1つの言動が次の言動と全く整合性取れないし、三成も金吾との会話部だけが奇妙奇天烈になってる。確かに金吾の裏切りが勝負を決定づけたけど、あくまでも結果に過ぎず、三成の人をまとめる能力不足の1要素に過ぎない。
サブストーリーつけるなら、こんな存在価値がない雑魚じゃなくて、北政所と淀の対立とかの方がよっぽどストーリーとして引き締まって充実したと思うよ。

 



  • Re: 解題 ネタバレ

    2017/9/11 10:50 by sophia703

    誠に的を得た解題かと。
    わが意を得たりの思いで拝読しました<(_ _)>。

    > 原作の映像化と言えば、TBSの加藤剛、三船、森繁他当時考えられる最高のキャストを揃えた正月ドラマが最高傑作。いつ見てもシビレる。

    私も、今作品で抜け落ちていた間隙を埋めるべく
    改めて「関ヶ原」DVDを観ました。
    名演・快演・脚色の妙(若干「え?」な部分はあってもメインストーリーが歪められることはない)
    音楽はややイタダケナイですが(苦笑)、
    【司馬遼太郎・原作】の看板に偽りない、超大作&名作でした。
    (AMAZONにレビュー書きました)

    >
    > ただ、司馬は解説者であって、小説家ではない。あくまでそれぞれの武将をキャラとして駒として、それぞれの言動のアヤから来る運命のもつれを面白さとして、人間悲喜劇としたもの。だから架空キャラである初芽が原作でも致命的な欠陥となっていて、ドラマでも唯一の大根である松坂慶子もあいまって、完璧であるべき玉のキズになっている。
    >

    同感です。
    司馬遼太郎作品の魅力は、丹念な史料&資料の読み解きによる【歴史を観る眼】にあると思っています。
    でも、“小説”としての彼の作中の創作人物は、
    残念なことに全く魅力がない。


    > 本作は解説である原作に「熱」を吹き込むことに成功している。
    > 駒である各キャラに生命を吹き込むことで、見事に当時の時代の「熱」を表現している。
    >
    > 当時、義務教育は無い。もちろん現代的な一般常識も存在しない。ほとんどの武将がガキの頃から戦いが生活であり、エゴ丸出しの野生に近い言動になるのが自然。その意味で、本作の福島、加藤、黒田、浅野等の七人衆あたりは実にイキイキしており魅力的である。七人衆の部下にしても、毎日命のやりとりしてるんだから、理論がどうのゃなくて、ああいうボスに引っ張られるからこそついて行く。
    > また、秀吉にしても、その行動からしてかなり自分本位で他人に合わせるようなことをしないだろうから、北政所との関係はああいう状況というのが大いにあり得る。
    > 主人公である三成vs家康の対立を軸に、七人衆を起爆剤とした緊張感あふれるドラマをクライマックスまで畳みかけるように展開している。
    >
    > つまり、本作は原作の足りない部分で構成されたあの頃の熱が画面からあふれ出てくる力作です。

    そうかもしれません。
    多くの方が「聞き取れなかった」とおっしゃるセリフのやり取りの
    怒涛のような勢いとパワー、熱量、土臭さ。
    歴史のナマの現場は、きっとそういうものに満ち満ちていたことでしょう。

    > 伊賀者は初芽自身が全くキャラクターとして魅力が無いし、無理に架空キャラを狂言回しに持って来たせいで、半ば以降の初芽の扱いが無意味になってるし、蛇や耳はあんな不自然なシーンを作って無理矢理な消し方をしないといけない。
    > 金吾も1つの言動が次の言動と全く整合性取れないし、三成も金吾との会話部だけが奇妙奇天烈になってる。確かに金吾の裏切りが勝負を決定づけたけど、あくまでも結果に過ぎず、三成の人をまとめる能力不足の1要素に過ぎない。

    伊賀者の登場のさせ方と本筋への絡め方には…ホントに悶々としました。
    原田監督が、どうしても【忍者映画】を作ってみたかったのでしょうか。
    その方が海外でウケるから???

    金吾中納言の人物も思いも、結局最後までわからずじまいでした。
    「ダメダメ金吾」に描きたくなかった気持ちはわかりましたが
    大津城門前で、人払いまでして三成と何を話してたのか…ついに不明なままです(^_^;)。

    私としては、柳生家兄弟の仕官のエピソードも
    なぜ挿入する必要があるのか、ついにナゾなままでした。
    「母衣」のエピソードには、監督の想いが滲んでくるのを感じましたが。

    でも、これだけの観客動員数と興行収入を上げて
    賛否両論が渦巻くだけでも、
    この作品は成功した、と言えるのかもしれませんね。
    少なくとも歴史好き・時代劇好きには
    こういう議論そのものが巻き起こること自体
    喜ぶべきか…と思ったりします。

  • Re: 解題 ネタバレ

    2017/9/11 22:47 by 無責任な傍観者

    sophia703さん、こんちは。

    >伊賀者の登場のさせ方と本筋への絡め方には…ホントに悶々としました。
    >原田監督が、どうしても【忍者映画】を作ってみたかったのでしょうか。

    たぶん、男だけの世界では華が無いから、女を入れたい、でもそれにふさわしいキャラがいないから、司馬と同じ理由で初芽になったと思います。

    >金吾中納言の人物も思いも、結局最後までわからずじまいでした。

    冒頭で家康に絡め取られて三成を恨んだのに、何故か伏見城攻めしてるし、
    北政所が三成の血を、の理由で家康を攻めろ!なら、あの最後の最後じゃ無くて、最初から三成に加担するでしょ。
    三成は三成で、利で動く世の中を変えたい、なのに何故か金吾に出す条件は関白の地位をどうのこうの。
    最後の、三成が「生きてる姿を見たかった」も意味不明だし、金吾の「長い期間で家康に絡め取られました」は直前に出てきた金吾の意図に反して部下が暴走するシーンとかみ合わない。
    脚本家は脳みそあるの?って感じです。

    >少なくとも歴史好き・時代劇好きには
    >こういう議論そのものが巻き起こること自体
    >喜ぶべきか…と思ったりします。

    もっとガンガンに論客が出てくることを期待してます(笑)

    ではまた。

満足度データ

関ヶ原
100点
5人(7%) 
90点
3人(4%) 
80点
10人(14%) 
70点
14人(20%) 
60点
19人(28%) 
50点
6人(8%) 
40点
3人(4%) 
30点
5人(7%) 
20点
1人(1%) 
10点
0人(0%) 
0点
1人(1%) 
採点者数
67人
レビュー者数
33
満足度平均
64
レビュー者満足度平均
66
ファン
7人
観たい人
52人

 

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