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ラスト これは居場所のはなし ネタバレ

2016/11/26 9:52 by さくらんぼ

この世界の片隅に

映画「私は貝になりたい」〈1959年〉や、映画「なくもんか」など、ときどき映画には、密かに在日の方に向けたメッセージも内包させた作品が生まれるようです。

この映画「この世界の片隅に」の予告編に「悲しくてやりきれない」が流れてきたときも「おやっ」と思いました。私の青春時代、フォークの名曲として誕生したこの歌は大好きですが、歌のモチーフとなったのは当時の日本では放送禁止歌になっていた「イムジン河」(朝鮮半島の河)だったからです。その辺りの話は映画「パッチギ」にも登場しますね。

映画「この世界の片隅に」の中でのヒロイン・すずは、行間を読むと、どうやら在日との設定みたいですね。すずは広島・呉に嫁ぎますが、日本海軍の軍港だったそこは何度も空襲されます。絵の好きな彼女が丘の上から港を描いていると憲兵に見つかって大変叱られました。これは在日の方ならなおさら怖い話でしょう。

さらに、町で偶然逢った出征まじかの幼なじみの男を自宅に連れてきたすずを見て(二人は喧嘩するほど仲が良い)、夫は「あいつは家には泊められん。物置に寝てもらう」と追いだし、すずに「これを持っていって、ついでに積もる話でもして来い」と、冬なので「炭のあんか」を持たせ、自宅のカギをかけて、締めだしてしまうのです。

つまり「出征まじかの男だから、妻が望むなら一晩抱かせても良い」という意味です。

結局なにもありませんでしたが、後に妻は夫に「なぜあんなことをしたのか!」と詰め寄りました。すると夫は「お前たちは喧嘩するほど仲が良いが、私とは喧嘩もしれくれない…」と。するとすずは「今喧嘩してるじゃない!」と返します。この一件で夫婦の仲はいっそう深まりました。

このエピソードは「日本と、在日の方の母国」がモチーフになっているのではないでしょうか。韓国映画でおなじみの「北朝鮮と韓国・二つのものにゆれ動く葛藤」にも似ています。映画の主題もこの「居場所」ではないでしょうか。

そして原爆が落ち、玉音放送が…。

日本が負けたことを知って、すでに片手を爆弾で失っていたすずは、「私はまだまだ戦える!」と泣きながら家を飛びだしました。本土決戦、一億総玉砕の魂です。

確かあのとき、遥か遠くに小さく「太極旗(テグッキ)」らしきものが一瞬だけ映るのです。私は目の錯覚かと思いました。このクライマックスに「日章旗」や「旭日旗」ではなく「太極旗(テグッキ)」が出てきたことは重要記号です。

映画「私は貝になりたい」〈1959年〉が、戦場で日本人として戦った在日の方々への鎮魂歌なら、この映画「この世界の片隅に」も、銃後で日本人として戦った在日の方々への、それであったのでしょう。

ところで映画の予告編には能年玲奈さんが登場し、「私が主演した…」と言います。彼女のファンですが、正直に言えば、私は「アニメの声優なのに主演!?」と思っていました。

でも映画を観てなっとくです。

彼女の声からNHK朝ドラ「あまちゃん」の主人公をもっと煮詰めたようなキャラが聴こえてきて(いや、観えてきて)、まるで絵に魂が宿ったように、アニメではなく実写を見ている様に感じられたからです。「私が主演」という言葉にウソはありませんでした。熱演です。

そして、観ている内に昔のモノクロ時代の名作邦画(実写)を観ているような気持ちになるほど「大人のドラマ」していました。

失恋ドラマを観れば、失恋の古傷が疼き、容易に主人公に感情移入できる私ですが、戦後生まれのせいか、こんなに上質な作品なのに、いまだ戦時中の人々の哀しみが実感として湧きません。その己の薄情さに気づかされもした一本でした。


★★★★★




追記 ( タンポポ )

私の地元では、タンポポの花は黄色しか見た記憶がありません。しかし西日本を中心に白いタンポポもあるらしいのです。

ためしにネットで調べてみると、一口にタンポポと言っても、専門的にはここに書ききれないほどの、たくさんの種類があるのを知りました。又、中には、ざっくりと「在来種(白)と外来種(黄色)」という区別もありました。

映画「この世界の片隅に」のチラシには、ヒロイン・すずの周囲にタンポポが描かれているものもあります。そのタンポポは白と黄色が共生しているのです。私の地元では見た記憶のない構図ですが、西日本では当たり前の風景なのでしょうか。これは映画の冒頭にもアップで出てきました。だから重要記号だと思います。

私は、あの色は日本人と在日の方を表現しているのではないかと思いました。共生する姿を。

そうすると、突然すずが舞妓さんみたいに顔を真っ白に塗った意味が分かるような気がします。白い波ウサギや、白いサギが象徴的に使われていることも。



追記U ( 花咲く野原にて )

チラシには、花咲く野原にしゃがみ、こちらを振り返っているすずの絵があります。よく見ると下駄の片方はひっくり返っています。すずは裸足で足をふんばっています。

あのとき、すずもタンポポの花なんですね。素足で大地に根を張った。すずは何色の花なのでしょう。

映画のラスト、玉音放送が流れたとき、淡々と受け止めていた周囲の人々とは対照的に、ひとり激高して飛びだしたすずがいました。



追記V ( 二隻の戦艦 )

「大和が二つおる。いっこは武蔵じゃ」。

予告編でも聴かれるこの言葉、

これも「色違いのタンポポ」と同じ事を語っていたのでしょう。



追記W ( 片手になったすず )

チラシに、すずが床に広げた野草などを、「両手を交差させて」数え、思案するシーンがあります。

あえて「両手を印象付ける」ためでしょうか。あのような愛らしいシーンは数か所あった記憶です。

二種類のタンポポや、二隻の戦艦のエピソードもそこへ収束して行くのでしょう。

幼なじみ(在日の方・母国の記号)と、夫(日本の記号)の二人も。

そして、すずは夫婦の契りを結んだ夫だけを選択したのと同じように「片手も無くす」のです。生来の利き手(母国)を。

あれは、敵味方・二者択一の戦争に生まれる、ある意味「踏み絵」を、すずが踏んだという事かもしれません。

これからすずは、不自由な左手を訓練して(日本人として)生きていくのです。母を亡くした孤児といっしょに。子育ては生きがいでもあります。



追記X ( そして戦争自体もまた )

映画「ウインドトーカーズ」は、部下であるナバホ族暗号通信兵を、上官の白人軍曹が、任務終了後、口封じのために殺害する命令を受けて葛藤する話でした。根底にあったのは人種差別だったと思われます。

その舞台となったのがサイパンでした。

あの「小さな島で日米が戦う」ことで、軍曹の「心の中の葛藤」を表現していました。つまり戦争を描く為ではなく、葛藤を描く為にあえてサイパン戦が選択された(あの映画が存在した)とも言えるのです。

この映画「この世界の片隅に」も「居場所」、つまり「人は同時に二つの場所には存在できない」、「だれも、二人の主人に仕えることはできない(聖書より)」などを語っていますが、それを描く為に戦争が舞台になったと思われます。そのあたり、二つの場所、二人の恋人に葛藤する映画「ブルックリン」も思いだします。

だから軍港と民家が隣接する呉、そして民間人までもが原爆の被害を受けた広島が選択されたのかもしれません。

そして戦争自体もまた、いつか勝敗がつくものです。両者ともが勝利者になることはできません。



追記Y ( すずのホクロ )

すずを見初めて結婚した男は「すずにはホクロがある(左あごのあたり)」と言っていました。あらためてチラシを見ると、確かに何カットかにありました。野原で振り返っているすずは、ホクロが見えるようにか、左に振り返っていますし。

唐突なセリフは重要記号の可能性大ですので、ぼんやりと考えていましたが、少し解った気がしました。

それは「太極旗(テグッキ)」の周囲四隅にある「卦」と呼ばれる黒いマークの事だったのかもしれません。つまりすずは「太極旗(テグッキ)」をモチーフにされていたのかも。

さらに中央の丸は、「陰陽」の「太極」を表しています。大人しすぎるほどだったすずの感情がラストに大爆発したのは、陰から陽にスイングした姿だったのかもしれません。



追記Z ( 韓国の「旗」と「花」 )

> それは「太極旗(テグッキ)」の周囲四隅にある「卦」と呼ばれる黒いマークの事だったのかもしれません。つまりすずは「太極旗(テグッキ)」をモチーフにされていたのかも。(追記Yより)


つまり、すず自身が「太極旗(テグッキ)」その@ですね。

Aそして、あのチラシの絵では(すずが野原でしゃがみ、こちらを振り返っている)、丸まったすずが「陰陽」の「太極」を表し、周囲に置いてある下駄や花、ノートなどが「卦」を表現しているのかもしれません。とくに下駄の歯が「卦」ぽいですね。

そして、さらに俯瞰すると…

チラシではカットされていた周辺部も「公式サイトのトップ画面」で見ることができました。

B野原(畑かも)の周囲に注目してください。「四角」(手前にある階段)と、「点々」(奥にある麻雀パイみたいな模様)に記号化された「太極旗(テグッキ)」の「卦」が見えます。

そうすると野原の丸くなったすずと周囲に置いてある下駄や花、ノートの総体、あの丸が「太極旗(テグッキ)」の「陰陽」の「太極」になります。

当然に@ABは相似形です。

又、毛布をかぶってかっ歩するシーンの絵があります。あの珍奇な姿が気になっていましたが、あの毛布に書いてある花は、韓国の花である「むくげ」のようです。毛布をかぶったのは、花をまとうための必然なのでしょう。



追記[ ( 映画「戦場のピアニスト」 )

すずがまな板を抱かえ、刻んだ野菜を、包丁で鍋に入れるシーンがあります。

あれはヴァイオリンを演奏している様にも見えます。映画「戦場のピアニスト」では「戦争の極限状態でも人間は食と芸術」を求めると語られていましたが、すずの鍋のシーンも「食と芸術」を表現していたのかもしれません。

そうすると、すずが絵を描いていたのも、病院の音楽も、アリさんが砂糖のツボに行列を作るのも、お姉さんが砂糖の溶けた水を、それを知らずに喜んだのも「食と芸術」の表現なのです。



追記\ ( 絵と音 )

声を絶賛しましたが、絵と音も忘れてはいけませんでした。やわらかでクセのないアナログライクな絵と、爆撃を受けたときの刺激的なデジタルっぽい音作り。あの対比の妙。あの際立つ刺激音の痛さは、映画「プライベート・ライアン」だっかでしょうか、私の中では、あの着弾音の痛さを思いださせるものでした。

 



  • 追記] ( 映画「シン・ゴジラ」 ) ネタバレ

    2017/11/17 9:22 by さくらんぼ

    これは映画「シン・ゴジラ」の追記18です。

    >すると米軍のバンカーバスターで、ゴジラの体に空いたたくさんの穴も、「星条旗の星」だったのかもしれません。
    >すると、その穴から出た放射熱線は「星条旗の横線」になるのです。
    >それもご丁寧に、まず「喉に光の星」、続いて「赤い火炎→白っぽい熱線」と、星条旗の「星と赤白ライン」を、色と形の変化でも見せてくれました。(映画「シン・ゴジラ」追記16より)


    上記がバトルモード時のゴジラならば、一歩手前のゴジラの姿はこうなります。

    ゴジラの両手は異様なほど鋭く☆型に開いています。さらに沢山の歯については、「歯並びが悪いな…」という、わざとらしいセリフが入るぐらい強調されたポイントです。この「両手+沢山の歯」は、「(記号化された)星条旗の星」だと思います。

    そして「星条旗の赤ライン」はご存じ血のようなゴジラの赤い縞、「白いライン」は背びれの青白い発光だと思います。

    つまり、ゴジラは「歩く星条旗」だったのかもしれません。

満足度データ

この世界の片隅に
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146人(40%) 
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採点者数
359人
レビュー者数
180
満足度平均
85
レビュー者満足度平均
86
満足度ランキング
3位
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