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原作読みました。とても参考になりました。 ネタバレ

2014/5/3 19:07 by くりふ

あなたを抱きしめる日まで

マーティン・シックススミスによる原作(ニュー・ジャーナリズム仕様)は、主にフィロミーナの息子の生涯を丁寧に追ったものでした。映画版とうまく補完しあっているんですね。もちろん、映画にはかなり創作が含まれていましたが。もう図書館に返さなきゃいけないので(笑)、手元にあるうち原作について、気になった幾つかを書いてみます(原作のネタバレしています)。

■当時の赤ちゃん輸出業のこと
それがいつ、どう始まったのかは書かれていませんが、50年代には海外メディアにも「子どもの売買市場」などと疑惑が報道され始め、当時のアイルランド政府は頭を抱えていたようです。しかし市場(笑)はカトリック教会が牛耳っており翻すことができない。政府が盾突くと、信者への説教の場で反政府キャンペーンを張られ票を失ってしまうので、怖気づいていたんですね。

教会が止めなかったのは、以下のメリットがあるからでしょうか。

・婚前交渉は大罪という教義を徹底できる
・上記の恥ずかしい行為を世間から隠せる(信者家庭含め)
・ズバリ、儲かる(赤ちゃん料と、修道院で営むクリーニング料。働かせた母親には賃金渡さないから丸儲け)

そんな中、外務省のある人物が、部外者にはぷぷぷな文書を入手します。当時のカトリック大司教マッケイドと「不適切な関係」になったことが書かれた、ある少年の告白書です。裏は取れていないものの、彼は司教側にこの文書をそっと提出します。するとあら不思議!教会が頑なに阻止していた養子縁組法案(母親の承認抜きで養子縁組できない)がすんなり通ってしまいました!(爆笑) …しかし敵もさるもの、実際は修道院内で強制的に承認させてしまうから、成立した法案は骨抜きになってしまうんですね…。そんな騒動の中で、フェロミーナの息子アンソニーはアメリカに買われてしまった…という経緯でした。

■アンソニーの罪悪感
映画では、アンソニーの心情には触れていませんが、これは切実でした。彼は何故、母親が自分を養子に出したのかを最後まで、知らされていません。孤児の方に多いそうですが、自分が悪い子だから手放されたんだ…とどうしても思い込み、心に刻みつけてしまうそうなんですね。アンソニーもそうなってしまい、自虐的な行動を繰り返すようになります。このトラウマがなかったら、エイズにも羅患しなかったかもしれない…。妊娠した少女を罪人に仕立て上げることで、その子供を罪人と思い込ませてしまっていることを、当時のカトリックの連中は自覚していたのでしょうか。これは私でも腹立ちますね。映画にあった、マーティンのあるセリフを叫びたくなります。

■レーガン政権、エイズ見ざる言わざる聞かざる
これは本作に限ったことではありませんが、レーガン政権がエイズに対していかに出遅れてしまったかがわかり易く書かれており、参考になりました。ゲイであるアンソニーが、この政治の中心部にみるみる近づいてしまうことが本当にあった皮肉ですね…。クローゼット・ゲイであることはそうとう大変だったんじゃないでしょうか。またこの件は『ダラス・バイヤーズクラブ』も補完しており、参考になります。

…他にも多々ありますが、時間もないのでとりあえずこのへんで。
興味を持たれた方は、原作に触れてみるのもよろしいかと。実話が元である映画への理解が、より深まると思います。

 



  • Re: 原作読みました。とても参考になりました。

    2014/5/7 12:01 by 小波

    くりふさん、
    はじめまして。私も図書館から借りて読みました。

    カトリック教徒が政治的にも影響力の強いアイルランドで婚外子として生まれ、アメリカに養子に出されたアンソニーが、同性愛者であることを隠して、キリスト教右派の政治的影響力が強い共和党のために働く、という何重にも重なる自身のアイデンティティへの揺さぶりがとても心に残りました。

    くりふさんが書かれているように 「ダラス・バイヤーズ・クラブ」や「チョコレートドーナツ」とも重なって、とても興味深く読みました。映画→原作→映画とつながっていくのが楽しいと感じました。

  • フィロミーナへの贈り物

    2014/5/8 11:19 by くりふ

    小波さん、はじめまして。レスありがとうございます。

    私は原作(…と言っちゃってるけど原案に近いですかね)を読んだ後に改めて映画を振り返ったら、これはフィロミーナさんの長年の苦難に対するねぎらいであり贈り物なんだな、と感じました。だから映画のデキには色々言いたいこともあるのですが、こういう体裁になることはよくわかります。

    しかし、たまたまフィロミーナさんはマーティンとの出会いがあり、こういう結果に結びつきましたが、彼女と同じ境遇で、未だに子供の行方がわからない人もたくさんいるわけでしょう?まだ打ち明けられずにいる人や、打ち明けられずに亡くなった人もいるかもしれない。国の対応も酷かったですが、私はカトリックの犯した罪は大変なものだと思いますね。

    この事件に関する関連作品では『マグダレンの祈り』も参考になりました(<リンクURL>)。こちらはマグダレン施設で助産婦をしていた女性の回想録を元にしていますが、告発の要素が大きい映画なので『あな抱き』のような暖かみは皆無。あの施設内での、シスターによる虐待が延々と続くんですよ。だからお勧めはしませんが、『あな抱き』でサラリと流された部分をより知ることができます。私の実感では、DVDの特典にあるドキュメンタリーの方が端的でよかったんですが(笑)。

    『チョコレートドーナツ』は、予告編の「いかにも臭」がキツくて(笑)敬遠していたのですが、アレ、このお話って『トーチソング・トリロジー』に似てね?と思い直しまして。かなり前にみたので忘れかかっていましたが、あちらもゲイのカップルが養子を迎える話で、とてもよかったんですね。
    久しぶりにみ直して、『チョコレートドーナツ』と比べてみようかな、という気になっています。『チョコ』は70年代の話、『トーチ』は80年代に作られた話ですが、後者もひょっとして同じ事件を参考にしたのかなあ…という気もして、時間あれば調べてみようかとも思っています。

    原作と映画の棲み分けが巧くできている場合、一粒で二度も三度もおいしいですよね。また、映画を関連作品で繋いでみていくと、より一つの作品を深く楽しめたりもしますね。

    では、今回はこんなところで。

満足度データ

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採点者数
103人
レビュー者数
56
満足度平均
79
レビュー者満足度平均
81
ファン
15人
観たい人
78人

 

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