ただいまの掲載件数は タイトル63587件 口コミ 1168183件 劇場 589件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 旅の重さ > 掲示板 > 懐かしい

懐かしい

2006/2/4 16:55 by 未登録ユーザ 羅刹女

2005年に発売されたDVDを店頭で見て、パッケージの写真の女優になぜか興味を引かれた。最初の公開が1972年だったことも興味を感じた理由である。主演の高橋洋子が、「サンダカン八番娼館 望郷」と「宵待草」に出演していたことを知ったのはその後である。この2つの映画はリアルタイムで見ているが、そのときは、同じ女優が出演しているということは気がつかなかった。実は、「明日の火花」もリアルタイムで見ているし、パンフレットも購入しているのだが、看護婦の下条由美を演じていたのが「サンダカン−」と「宵待草」に出演していた女優だとは全く気がつかなかった。
これまで、数多くの映画を見ているが、「サンダカン−」と「宵待草」、「明日の火花」はいずれも、もう一度見たいと思うほど、記憶に残っている映画である。前2者を見たのは、大学の受験生の時期であった。もっとも、同年齢の若者は浪人1年目だが、私は中卒で働いていたので、通信制高校の4年生という立場だった。大学を受験することは当時勤めていた会社には隠していたので、会社の寮では勉強はしにくく、休みの日に市立図書館(当時、私の住んでいる地域の図書館には、受験勉強できる施設があった。)を利用して勉強していたのだが、あまり根気のある方ではなく、よく映画をみたものである。
幸い、現役で大学へ合格(といっても年齢は一浪)し、会社を辞めて新聞配達をしながら通学したのだが、同じ大学の学生に「サンダカン−」と「宵待草」を観たと言ったら、「この不良」という顔をされた。そのとき、この手の映画を観ることは、普通の高校生には「不良」と思われることなのだと、初めて知った。因みに、秋吉久美子の「妹」と「バージンブルース」も観ているが、これも「不良」が観るものなんだろうな。きっと。

さて、DVDで「旅の重さ」を見て、懐かしい感情が沸き起こり、胸がいっぱいになった。いや、見るのは初めてである。その雰囲気に懐かしさを感じたのだ。映画というものは、しばしばその時代の潜在的なあこがれを表すことがあるが、当時は、あのような生き方にあこがれていたのだと思う。だから、懐かしさを感じたのだろう。映画の初めのころに、中年女性の遍路(新村礼子)が、少女(高橋洋子)に「あんたぐらいの歳のころにピカドンに遭った」というシーンが出てくる。当時の農民や漁民は、現在の女性より老け込んで見えたが、この女性遍路は40歳程度であろうか。すると、少女は女性に、自分の年齢を20歳と言っているので、映画の時代設定は、昭和40年頃ということになろうか。
また、少女はよく泣く。私も、昔はよく泣く子だった。しかし、中卒で働き出してからは、泣くことなど忘れていた。誰はばかることなく泣けることに一種の懐かしさを感じたのかもしれない。

ただ、少女が、不幸な生い立ちで、感情の起伏の激しい母親と2人きりで育った割には、良い子すぎるような気がしないでもない。雨宿りをしたときに、他人の好意を素直に受け入れるところや、酔っ払いの喧嘩を見ておろおろするあたりや、トラックの運転手から多少の嫌味を言われたくらいで、腹を立てて黙り込んでしまうあたりは、いかにも育ちのよさそうな印象を受ける。まあ、この部分などは、理想的な少女像を描いた映画ということで理解することはできるのだが。
しかし、旅芸人の女性から不条理な暴行を受けながら、無抵抗で、しかもショックを受けて逃げ出してしまったり、男女の行為を目撃したことをやたらに重大にうけとめるところなどは、多少の違和感がある。まして、木村(高橋悦史)の布団にもぐり込んだり、逆立ちを見せるシーンなどは、客観的には誘っているとしか見えないのだが、本人にそのつもりがなさそうなところは、非現実的な気さえしないでもない。
また、最後に木村と仮想的な夫婦になりながら、いつまで続くか分からないと自己分析をしているところは、愛情に飢え、また父親の愛情を知らない不幸な少女が、優しい中年の男性に魅かれて、他が見えなくなるという単純な構図では図れない。

しかしながら、このあたりは、かえって、高橋洋子という、童顔でありながら大胆という、アンバランスな女優の不思議な魅力とあいまって、この映画を印象深いものにしているのかもしれない。

ところで、岸田今日子、高橋悦史、三國連太郎の3人は、同時期に造られた映画「戦争と人間」で、それぞれ個性的な悪役を演じている。悪役のイメージを持つ俳優を、起用したことも、この映画の魅力なのかもしれない。高橋も三國も、少女の肉体に魅かれつつ(あまり表には出さないが、魅かれないとしたら異状である)、自制して、自分たちから離れさせようとするストイックな中年男性をみごとに演じている。

ところで、どうでもいいようなことだが、高橋洋子は1953年5月生まれで、映画の公開は1972年10月末だから、編集に3ヶ月かかっているとすると、撮影は6月か7月頃(映っている植物もその季節のもの)なので、19歳のときということになる。不思議なのは、映画では、母への手紙の中で16歳だと言っているのに、映像特典の予告編では18歳という設定(画面上に文字で書かれる)になっていることである。現在では、法の定めで18歳未満の児童の裸体の写真を販売することは許されないため、新たにDVD化をするにあたって、16歳という設定を憚って、予告編の中の文字だけ書き換えたのだろうか。しかし、それでは、少女が学校の中を歩くシーンの痛々しさが薄れてしまう。演じた高橋が19歳(撮影が4月だったとしても18歳)である以上、法違反にはならないのだから、余計なことという気がしないでもない。
それと、いくら昭和40年代の田舎でも、川の水を平気で飲むのはどうかと思うよ。生活排水や、農薬だって混ざっているだろうしね。絶対に下痢するって。
映画としては高橋洋子の生きの良さで、8点くらいかな。

 



満足度データ

旅の重さ
100点
2人(9%) 
90点
5人(23%) 
80点
2人(9%) 
70点
6人(28%) 
60点
3人(14%) 
50点
1人(4%) 
40点
1人(4%) 
30点
0人(0%) 
20点
1人(4%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
21人
レビュー者数
12
満足度平均
72
レビュー者満足度平均
78
ファン
5人
観たい人
13人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※レビューはレビュー投稿フォーム
ネタバレ? ネタバレ無し ネタバレあり
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
 

掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2019 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


この映画のファン

  • rps1979
  • カメラマンのあっきー
  • STB139
  • すえりん
  • yoiko

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連動画がありません

関連DVD

旅の重さ [DVD]

  • 定価:4104円(税込)
  • 価格:3591円(税込)
  • OFF:513円(12%)

旅の重さ [DVD]

  • 定価:2880円(税込)
  • 価格:2520円(税込)
  • OFF:360円(12%)

 

その内容に業界激震!“最速・最短”全国劇場公開プロジェクト『岬の兄妹』緊急特集
又吉直樹原作、衝撃の舞台が映画化!『凜−りん−』特集
日本映画界屈指の俳優陣が集結! 『赤い雪 Red Snow』 永瀬正敏&菜葉菜インタビュー
ど迫力の海中バトルがヤバい!『アクアマン』4DX体験レポート
DCヒーローの動向をチェック!『DCコミック映画』まとめ
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる冬号が12/1発売!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】